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言葉の防衛網

 昨日の上司vs同僚その後。

 半泣きで改善を訴えていた子から『酎さんがすごく冷静に話すから、私も少し気分が落ち着けた、ありがとう』とお礼を言われた。

 私はただ……ひとりくらい俯瞰した冷徹なやつがいてもいいと思っただけ。いっしょになって戦ったわけじゃない。彼女たちの話す必死な言葉をほんのちょっと、具体例を出してみたり、語尾を変えてみたり、主語を付け足してみたりしただけ。上司たちの言葉の裏に潜む真意を聞きただしたり、本音を言わせるように誘導しただけ。

 私は当事者じゃないから、自分を否定されてるわけじゃないから、上司たちに何を言われても(このくぎバットで おまえらの頭を穴だらけホーリーウォーター・スプリンクラーに してやろうか😃)と思うくらいで、自分が傷つくことなんてない。ただ、それぞれの言葉から、感情を取り去って、あるべき姿にしようと試みていただけなんだよ。同僚に肩入れしていたわけでもないし、試みもたぶん上手くいってはいない。ただ疲れた、という感覚だけが残った。


 それでも……


 お礼を言われた。


 力及ばず申し訳ない、と思った。彼女たちの心をグサグサ刺そうと飛来する上司たちのキツイ物言いを、全部撃ち落とすことができなかった。さんざんな初陣だ。目の下にクマをつくって出勤してきた子に、(酎愛零が ここにいる!大船に 乗ったつもりで いなよ!😃)と、大船のフリをすることしかできなかった自分が歯がゆい。

 幸い(上司たちを除いて)みんな優しかった。みんなで、彼女たちの受けたダメージを癒やしにかかってくれた。やっぱり私はまだ、いっしょに悲しみや苦しみに浸って寄り添うことは苦手なんだろうと思う。

 でも、自分で全部やる必要はないよね。

 みんながよってたかって癒やしてくれるなら、私は守りを担おう。悪意や憎しみをもって飛んでくる言葉を、言葉の力で撃ち落とす、迎撃システムになろう。感情的になってうまく相手に届かない言葉を届かせるための、補助システムになろう。

 決して身代わりになるわけじゃない。代わってはあげられない。でも、あらゆるところに私は潜む。ロッカールームから、ランチタイムから、交代のさなかから、インカムでの通話から、私は飛び出してくるぞ、上司たちよ。

 私は酎愛零!言葉の求道者、表現の道を歩む者。

 冷徹なる私を言い負かすのは一筋縄ではいかないぞ。

 私の防衛網をすり抜けるのは無理筋と知れ、上司たち。


 ……でもまあ、そんなひんぱんに起こってほしくはないけどね!(+_+)

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