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ニュースつぶやき:「熱電池」

 ごきげんいかがでしょうか、お嬢様修行中のわたくしです。

 日々、震災関連のニュースが流れてきて、被災地で暖を取ることもままならない人たちの姿を見ると胸が締めつけられるような思いがいたします……
 電気やガスが通らないと、人間はかくも無力なものなのか。かといって練炭などを使えば火災や一酸化炭素中毒のおそれもある。
 夏の間に太陽の光を固形化して貯蔵し、冬に取り出して使ったりできないものか……と子供の頃に夢想しましたものですけど、今ほどそれを望んだこともないでしょう。

 そこでふと思い出したのが「熱電池」というものですの。

 熱電池とは、簡単に言えば「岩石などに熱を蓄え、その熱で水蒸気を作り出し、発電機のタービンを回す発電機構」のその「岩石」部分のことでございます。より単純なイメージなら、サウナで水をかけて湯気を立てる焼け石、となるでしょうか。
 岩石というものは、種類にもよりますけれど、金属よりも融点が高いものが多うございます。例えば鉄は融点が1,500℃少し、金属で最も融点の高いグループに分類されるタングステンでも3,400℃前後なのに対して、鉱物であるグラファイトの融点はおよそ4,300℃にも達します。グラファイトという名は馴染みが無いかもしれませんけども、「黒鉛」と言えば、おわかりいただけるのではないでしょうか。そう、鉛筆の芯の原料であるあの黒鉛ですわ。


グラファイト(黒鉛、石墨)。
画像はWikipediaより引用。


 この熱電池に熱を蓄える手段として、水力発電や風力発電、太陽光発電などのクリーンエネルギーを用いれば、化石燃料を使わずに、しかも風がない日や曇りや雨の日には発電できない風力や太陽光の弱点を補うこともできる、まさに次代のエネルギーたりえるポテンシャルを持ちます。
 加えて「熱」を蓄えておけるというのも大きなポイントですわ。熱というものはそれだけでエネルギーなのです。もし、災害が起きて発電することができなくなっても、熱エネルギーそのものが健在ならば、それこそ石焼き芋の石のように、長時間熱を発し、暖を取ることができるのではないでしょうか。これから熱電池の研究が進み、小型の製品ができるなら、それも可能になるのではないかと思いますの。

 夏の太陽を貯蔵することはできなくても、石を熱するという原始的な技法で、それに近いことができる──太陽表面の約6,000℃と言われる温度を数分の一でも蓄えておけるなら、これほど心強いことはないでしょう。もちろん、ひっくり返してそのへんに転がっていくだけで大火災を起こすのは想像に難くないので、取り扱いには注意が必要ですけども。

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