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外套をめぐる人間模様がすごかった【外套】ゴーゴリ著

「え、落語調?そんなの書いてないけど」

放送内で翻訳した人の名前を聞いて
違う出版社のものを読んでいたことが発覚。
さすがに翻訳者の人は噺家ではなかったので、
ごくごく普通の翻訳でした。

実績を見たらゴーゴリの作品を
数多く翻訳してました。
同じ本を読んだはずなのに、翻訳者によってこんなに変わるのかと驚かされました。

2022.11.27のメロディアスライブラリー放送。

・職場の人からで服装でネタにされる。

主人公は役場に勤めてるアカーキー・アカーキエヴィッチ。書類を清書する仕事をしています。

彼が着てる外套は、お直しをするたびに
襟がどんどん短くなっています。
ある日仕立て屋さんにお直しの依頼をしたら、
あまりの古さに断られてしまいます。

新調することを勧められました。
しかし、新しい外套を買うほどの
大金を払えません。
そこでアカーキーは節約して工面します。

ボーナスが入ったりするなど、思ったより早く新しい外套を手に入れることができました。
まるで結婚相手が見つかったかのようでした。

・外套を新調した直後の悲劇

新しい外套を手に入れてめでたし…では終わりません。
新しい外套を着て役場に出勤したアカーキー。
職場の人たちがそれを見に集まりました。
「今夜パーティーしよう」とある人が言います。

パーティーに参加したものの、
居心地の悪かったアカーキーは、
夜中に一足早く帰りました。

その帰りで男2人に襲われ、
追い剥ぎに遭いました。

警察に相談するもあしらわれました。
さらに上の人に言っても取り合ってもらえません。

この一件で、ショックのあまりアカーキーは病気になって死んでしまいました。

・主人公が死亡しても終わらなかった

主人公アカーキーの死後、
町ではこんな噂が立ちました。
「役人の格好をした幽霊が出る」

ある日、生前のアカーキーに対して
軽くあしらった上層部の人間が外出の予定。
馬車に乗ったら、死んだはずのアカーキーがそこにいました。

「外套をよこせ」
恐怖を感じた彼は自宅へ引き返しました。
それからは現れなくなったそうです。

・感想

生前に必死でお金を貯めて買った外套。
そんな大切なものを取られた上に、
助けを求めても誰も応じてもらえない様子に
やりきれない気分でした。

幽霊になって自分を軽くあしらった
上層部の人間が身に着けてた外套を
奪ったのに驚かされました。

幽霊にでもなって、自分をぞんさいに扱った人間に復讐したくなっても無理はないと思いました。

放送では
田舎の方で役人の姿をした幽霊を見かけるという
噂が絶えなかったと触れられてました。

小川さんの指摘で気づきました。
「アカーキー以外にも無念の死に方をした役人はいるのではないか」

この結末の捉え方に、背筋が凍る思いでした。

以上、ちえでした。
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