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【翻訳】サイドボーディングをレベルアップさせる7つの鍵

Channel Fireball より、Frank Karstenによるサイドボードに関する記事です。
私自身、ウィッシュボードを取った都合で、サイドボードの枚数や、実践でのサイドボードがうまくいかず、悩んでいたので、引き続きサイドボードに関する記事を紹介します。

前回のサイドボードに関する記事もよろしければ目を通して下さい。
原文はこちら
※一部意訳を含みます。

はじめに

サイドボードは、マジックのゲームで最も難解な側面のひとつです。
今日、基本的にすべてのフォーマットで使える7つのサイドボーディングのヒントを教えます!
これらは、厳格なルールではありませんが、適切なサイドボードを構築し、正しいインアウトを行うのに役立つ有用なガイドラインです。
この記事は、PVの「ゲーム後に常にサイドボードをする」というアドバイスに触発されて書いた側面もあります。
彼の説明にあるように、サイドボードをメインデッキに入れてシャッフルする習慣を身に着ければ、相手に「実際にサイドボーディングしている枚数」を知らせないようにすることが出来ます。
しかし、他にも多くのあなたを優位にするサイドボード戦略があります!

Chapter1 サイドボードの方法に疑問がある場合、付加価値を与え、シナジーを減らそう!

普段、ネットにあるコピーデッキを使う場合、様々な相手に対し正確にサイドボーディングを行うのは簡単ではありません。
親和に対する《粉砕の嵐》のような特定のヘイトカードには、明確な用途がありますが、それ以外のカードは扱いにくい場合があります。

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そんなときは、次のガイドが役立ちます。
回答になるカードと価値を生み出すカードを入れ、シナジーを減らすか、簡単に回答となるカードを追加しましょう。

この理由は、後ほど詳しく説明しますが、通常、サイドボード後は、よりインタラクティブなカードと効率的な回答に直面するからです。
私の経験では、対戦相手は通常、適切な回答を持っています。

その結果、サイドボード後は、《ゼンディカーの同盟者、ギデオン》のような単体で機能するカードや、《不屈の追跡者》のようにカードアドバンテージを稼ぐカードを入れ、《信号の邪魔者》のように、他のカードとのシナジーが必要なカードや、《メムナイト》のような他のカードを有用にするカード、および、《エーテリウムの達人》のような、相手のサイドボードで簡単に対処されるカードを抜くようにしましょう。

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もちろん、サイドボーディングは常にデッキの細部に依存するので、デッキの核とマナカーブは可能な限り維持しておく必要がありますが、このガイドラインは、私にとっては非常に有用なものでした。

Chapter2 環境に対する予想勝率を最大化しよう!

全てのマッチに対して優位になるようにサイドボードを構築しようとするプレイヤーがいます。
そういったプレイヤーは、「このマッチはメインデッキの段階で既に有利なので、サイドボードを追加しても意味がない」もしくは、「サイドボードでこれ以上有利にすることが出来ないため、このマッチは切っている」と言うかも知れません。
私は、こういったアプローチは間違っていると思います。

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私の考えは、「環境全体を見渡したとき、有利になるマッチの数を最大化すること」ではありません。
目標は、「予想される環境に対する勝率を最大化すること」です。
(ここでは、少し簡略化していますが、さらに良い考えは「予想される賞金を最大化すること」です。これは、一般的でないため、上記のように抽象化しています。)

簡単に説明するために、環境に「アグロデッキ」と「コントロールデッキ」の2種類のみが存在するとします。
どちらも環境の半分を占めており、対戦する確率は50-50です。
メインデッキで、「アグロデッキ」に対して60%、コントロールに対して40%の勝率を持つデッキがあります。
この架空のフォーマットのサイドボードは1枚のみで構成されており、《光輝の炎》と《否認》のどちらかを選択することが出来ます。

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《光輝の炎》を入れると、アグロに対する勝率が60%から90%に上昇し、《否認》を入れると、コントロールでの勝率を40%から60%に改善することが出来ます。

この例の場合、あなたが選択すべきサイドカードは、《光輝の炎》です。《否認》によって、環境の全てに60%で戦うことが出来たとしても、《光輝の炎》を入れることで、それ以上の勝率を見込むことが出来ます。(90%と40%が半数ずつ存在するので、65%)
これが私の考え方です。

Chapter3 うまく機能する枚数になるようサイドボードプランを立てよう!

対戦相手のデッキの絶妙な調整に応じて、こちらも微妙な調整を行う必要があるため、所謂【サイドボードガイド】を盲目的に使う方法は過大評価されていると思います。

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ただし、サイドボードを作成している最中に、サイドボードガイドを作成することは価値があります。
サイドボードガイドを考えることは、すべての対戦において、適切な枚数のカードを用意することの助けとなりうるからです。
何枚抜いて何枚いれるか、その枚数を一致させるように考える必要があります。

たとえば、サイドボードに、「対アグロ用のカード」を10枚入れたが、大会の最中に、「メインデッキから抜いた10枚目のカードが、サイドボードの10枚目のカードと同じくらい優れている」ことがわかったとします。
あなたは、事前にプランを考えておいたほうが良かったと思うでしょう。
事前に気づいていれば、サイドカードを変更し、10枚目の枠を別の対戦のために割くことも出来た筈です。
一般的に、1つのマッチアップに対して過剰にサイドボードを割くと、全体の勝率が下がってしまうため、多くのマッチで効果的になるよう、サイドボードで交換するメインデッキのカードを常に把握しておくべきです。

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このコンセプトは、以前、Zvi Mowshowitzが「エレファントメソッド」と呼んでいたものよりさらに理解しやすいです。
全ての主要な対戦で使用したい、理想的な60枚のカード構成を書き出して、それらのリストの合計が75枚になるようにします。
つまり、メインデッキに何を入れ、サイドデッキに何を入れたいかを考えるのではなく、対戦相手に対し、必要なカードの構成がどのようになるかを考え、その情報を使って75枚を微調整するのです。

最後の仕上げに、その75枚を60枚のメインデッキと15枚のサイドボードに分けます。
この構築の仕方には、様々な利点があり、例えば、75枚の中に、どのマッチアップでも、絶対に使わないようなカードを15枚以下に抑えることが出来ます。(60枚使うカードで決めているため。)

Chapter4 特に先手の場合は、場面を選ぶような回答をサイドインしすぎないようにしよう!

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1ゲーム目で、相手が《未練ある魂》であなたを倒した場合、《悪性の疫病》をサイドインすることを検討するかも知れません。
また、あなたが赤単をプレイしており、一部の相手がサイドに《神聖の力線》を入れている場合、《破壊的な享楽》をサイドインすることを検討して下さい。
しかし、このサイドプランはリスキーであり、手札に腐ったカードを持つことで気づくかも知れません。
あなたが積極的なデッキを使用しており、特定の状況に応じたカードをサイドインしすぎた場合、デッキの勝率を下げる可能性があります。

いくつか、具体的な数字を挙げて説明すると、《未練ある魂》以外のトークン生成呪文がないデッキに対し、相手が《未練ある魂》を引いた場合、《悪性の疫病》はとても有効に働く可能性があります。
しかし、相手はデッキの上10枚に(4ターン目までにプレイできる期待値)、《未練ある魂》が入っている枚数の期待値は、1枚以下です。
相手が《未練ある魂》をプレイしなかったゲームでは、《悪性の疫病》の効果は、4ターン目までに効果的に機能する見込みがなくなってしまいます。
ゲームが4ターン目までに終わる可能性があるゲームの場合、それまでにカードがうまく機能するかどうかを考える必要があります。

期待値の計算は、「カードの相対的な影響力」「ゲームの長さ」「相手のデッキの一貫性」に依存します。
たとえば、相手のデッキにトークン生成カードが8枚入っている場合、10枚のカードを見たうえで、《悪性の疫病》の期待値は7.1になります。
相手がドロー呪文や、ゲームを長引かせる展開になった場合、上から16枚のカードを見たとすると、《悪性の疫病》の期待値は《未練ある魂》が4枚のデッキに対しても6.5になります。

これらのようなすべての場面で、適切な比重を割り振ることは難しいですが、一般的な経験則として、相手のデッキに8枚以上のターゲットが入っている場合、もしくはある特定のカードがなければ勝利できない場合のみ、回答となるカードをサイドインします。
相手の戦略の中で、絶対的に重要でなく、ゲームがはやいと予想される場合、4枚のターゲットしかとれないサイドボードを入れる価値はほぼありません。

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これは特に積極的なデッキでは的を得ている戦略で、相手に対する回答よりも、相手に与える脅威に注目するのです。

Chapter5 毎回サイドインしているカードでも、必ずしもメインデッキに必要とは限らない!

あらゆるマッチで、特定のカードをサイドインする「サイドボードガイド」を投稿するたび、多くの人が「そのカードをメインデッキに入れたらどうか」と提案してきます。
こういったコメントが、どれだけ適切に意図されたコメントであったとしても、このサイドボードプランは欠陥があるわけではありません。

たとえば、メインデッキに「アグロに9、コントロールに4の価値がある軽い除去」と「アグロに4、コントロールに9の価値があるカウンター」があるとします。
その場合、サイドボードで一般的な使い勝手の、価値6のカードがあるとリターンが得られ、メインの価値4のカードといつでも交換できます。
メタゲームがアグロ50%コントロール50%の場合、メインデッキのカードは期待通り機能します。
(0.5×4+0.5×9=6.5の値で、これはオールラウンドの使い勝手のいい価値6のカードよりも価値の期待値が優れています。)

もうひとつ。サイドボード後のゲームでは、メインと違ったプレイがされる可能性があります。
これは、より一般的な考え方ですが、通常、対戦相手はあなたの使う戦略とマッチするようなカードを選択してサイドボード後のデッキをつくります。
つまり、サイドボード後のゲームはより、遅いゲームになりやすいです。

その結果、ゲーム2、ゲーム3では、長期的な脅威となるカードや、ゲームの後半に価値の高いカードの評価点が高まる一方、シナジーを重要とするカードの評価点は下がる傾向にあります。
これが、アグロデッキのサイドボードにプレインズウォーカーが仕込まれており、サイド後のゲームで多く使われている理由です。

ですので、どんな相手にも入れるカードをサイドボードに置いても問題ないのです。
もしくは、どんな相手にもサイドボーディングで抜くカードもOKです!


Chapter6 相手のサイドボード後の構成に合わせてサイドボーディングする!

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これは、Chapter5とも関係する内容です。
サイドボード後のゲームは、サイドボード前のゲームとは大きく異なります。

ひとつ例を挙げると、自分がコントロールデッキを使っている場合、対戦相手は、ゲーム1で腐っていた除去呪文をすサイドアウトするため、すべての対戦で《氷の中の存在》をサイドインするパターンがあります。
《氷の中の存在》は、ゲーム1では除去の的になってしまいますが、ゲーム全体を見ると素晴らしいカードになり得ます。
対戦相手の予想される構築がサイドボードによって変化したためです。

時には変形サイドボードを自分で考えてみるが良い場合もあります。
数年前に、私が《よりよい品物》コンボで、《真髄の針》と《頭蓋の摘出》を相手に戦うのに苦労したことがあります。

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私はサイドボードに別の勝ち手段を入れ、《よりよい品物》をサイドアウトし、相手の《真髄の針》《頭蓋の摘出》を腐らせることに成功しました!

もうひとつ、覚えておくべきことがあります。
相手のサイドカードを有効に活かすようなサイドボーディングすべきでないということです。
モダンで親和をプレイしている場合、《エーテル宣誓会の法学者》はストームコンボに対して優れたサイドカードに見えるかも知れません。
しかし、相手が入れてくるであろうアーティファクト破壊の恰好の的になってしまいます。
この場合は、エンチャント等のストーム対策に変えたほうがいいでしょう。

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このチャプターで重要なことは、ゲーム1の構成を無視することです。
マッチの性質は、サイドボード後に驚くほど変わってしまう可能性があることを覚えておきましょう。

Chapter7 先手後手で調整を行う

マッチの愛称は、先手後手にも依存します。
後手の場合、ゲーム開始時からテンポとダメージレースに遅れが生じます。しかし、カードアドバンテージは有利です。
結果、土地や微小な脅威となるカードをカットし、デッキをシェイプアップすることが可能です。
《致命的な一押し》《軽蔑的な一撃》《光輝の炎》は後手でテンポをひっくり返す可能性がある呪文なので、後手の際に有用なカードの例です。
リミテッドにおいては、タフネスの高いクリーチャーがこれに該当します。
対照的に、《模範的な造り手》や《ゴブリンの熟練先導者》、《苦い真理》のようなカードは先行で特に優れたカードです。

先行のときは、サイドに土地がある場合追加することも検討しましょう。
さらに重要なことは、あなたはテンポを取るのに優位な立場にあることを有効に使えるということです。
相手がタップインランドや遅いカードを多く引いてしまうと、あなたがテンポよく繰り出す脅威は、より簡単に勝利を近づけます。
あなたは、相手より先に脅威を展開することができるのです。

同時に、先手の場合、あなたはアドバンテージを1枚失います。
そのため、1対1交換のカードや、相手に対応するカードを大量に入れた戦略は、効果的ではありません。

逆に、相手にプレッシャーをかけるカードをプレイすることは効果的です。
プレインズウォーカーを出し、それを守る展開は非常に優れています。
一般に、先手の場合はより積極性が求められます。

結論

いくつかの有用な考察を提供できていたら嬉しいです。
しかし、サイドボーディングは非常に深いテーマであり、私もまだ正解にたどり着いたわけではありません。
あなたの好みのサイドボード戦略はなんですか?
良い例やヒントはありますか?
ぜひコメントして下さい!

Frank Karsten

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