大奥完結 感想文
よしながふみ先生の大ヒット長編作品、大奥が2021年に完結し早一年がたっってしまった。
大奥の感想文を書いてみようと思う。
大奥は男女逆転SF時代劇漫画。もしも日本のショーグンが女性だったら、というユニークで実に少女漫画的な視点から描かれる、新たな少女漫画の金字塔。少女漫画はBLや男装の麗人などの潮流からジェンダー論とは切っても切り離せないテーマが多く、素晴らしい文化だと思う。
最終巻ではイギリスのエリザベス女王の話題を出し、女性政権なぞはしょせん傀儡だろうなんて一蹴するのだが、この漫画を1から読んできた読者には苦笑しかでないのではないだろうか。
特に印象深かった話は綱吉。
綱吉を女性にしたからなのか、出てきた話は月経がなくなっても大奥の制度を続けるもの悲しさ、父親へそのことを言えずにいる娘の話。ドラえもんのもしもボックスを思い出す様な人間のおかしみと悲劇のお話だった。いかにして女綱吉が犬公方となったのかという話が面白かった。
男女逆転という発想の勝利が一つの要素とはいえ、よしながふみ先生のネタの料理の仕方、構図の見せ方すべてに舌を巻くしかない。
BLや百合、恋愛に詳しい方であればものすごく切ない恋が無数に散りばめられている。もはや感動という地雷が紛争地域かのごとく埋まっており、ページをめくるたびに感動が爆発するので涙腺破壊兵器漫画である。こういう言い回しはあまりようないかもしれないので、、その時は削除させて頂きます💦
恋愛面だけでなく、男性が大奥で従士し、女性が政を仕方なく執り行うやれやれだぜ感が全体を通して漂い、特に堪忍袋の切れたキャラクターをかかせたらよしなが先生はやっぱりすごい笑 笑うミカエルなどの川原泉先生なんか理屈っぽくておもしろくて似ているのではないかなあ。双方とも愛に満ちているのでどんな逆境でも楽園にしてしまうパワーを持ち合わせていらっしゃる。
最終巻、おなかの子と母体とも命が助からないとわかった際の言葉が本当に素晴らしく心に響いた。きのう何食べた?を次は読んでいきたい。
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