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「動物界・セキツイ動物門・哺乳綱・霊長目・ヒト科・ヒト属・ヒト である。」


図鑑が好きなのよ。

子どものころの愛読書は図鑑だったわ。


日本昔ばなしもグリムもアンデルセンも好きだけど、

図鑑が一番好きだった。
側に図鑑が無いと不安なほどにね。


大人しい子だったの。
ねぇ、あんた信じられる?

一日中、誰ともお喋りしない日もあるくらいだったのよ。

外で元氣に遊ぶタイプでも無かったしね。

いつも空想の中に居たのよ。

あたしの世界の中は最強よ。
何にだってなれるのだもの。


そうだわ、
いつだったか あたし
リボンの騎士だった時もあるわ。

そおね、二ヶ月くらいかしら。
本編とは違うよからぬ空想ばかりしてたわ。


あたしの空想は長いのよ。
一つの物語りを何日も何日もかけて空想するの。

主人公だったり、その恋人だったり、妻だったり.…

妻よ、妻。

ませたガキだったわ。


キャンディーキャンディーの
アンソニーとテリーに
何度 取られあったかしれないわよ。

二人ともあたしに夢中なのよねぇ。
あの時は困ったわ。

結局あたし、テリーの女になったのだけんど....



そうね、図鑑好きの話しだったわね。


あたし、世界で一番大きな蛾の名前 
知ってるわよ。

ヨナグニサンよ!


柿の種の断面の絵だって描けるし、
ヒョウとチーターの違いだって言えるのよ!

図鑑はあたしに多くのことを教えてくれた。

あたしの今の頭ん中は
子どものころ見ていた図鑑で作られたのよ。

あれがなきゃ
こんな風にいい感じにならなかったわ。

「あたしみたいな女に育てたきゃ図鑑をお見せ!」てな。
....全くどの口が言ってんだかだわね。


「良い子のみんなは真似しないでね!」
....厭よ、厭!それはそれでさみしいわ!


けんど、今は凄いわよね。

写真をパチリと撮るだけで、
何の植物かわかるアプリなんてものがあるの。

最近では、あちこちゆくたんびに
「これ何の植物かしら?」なんて
しこしこ撮っては知識を増やしてるわ、あたし。

仲間うちで博士と呼ばれる日は近いわね、きっと。


何だか久しぶりに図鑑が読みたくなってきちゃったわね。

図書館にでも行って見てこようかしら。


子どもに混じって必死で図鑑を読む婆婆を見かけたら声をかけてね!

十中八九あたしでんす。




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