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〜ある日、じいさんの部屋で、
一枚の写真を見つけました。


その写真は、


私の甥っ子と撮った写真で、


おそらく、それは、


じいさんを撮った最後の写真だと思います。


入歯はしておらず、


剥き出しの歯茎で、


ひ孫を愛おしそうに見つめて微笑む姿。




私が小さい頃、


日曜日の朝は必ず、じいさん過ごしていました。


まず、「兼高かおる世界の旅」(古っ!)を見て、

「おじいちゃん、この人の、お尻すっきゃねん!」


と毎週言うのです。



そのあと、私がじいさんのマッサージをします。

そしたら、おじいちゃんは、


お返しに「べっぴんさんになるように」


と私の顔をマッサージしてくれます。

それが心地よくてな。




うちのじいさんは、


スーパーじいさんで、


83歳の時に、


同い年の彼女をチャリンコの後ろに乗せて、

2人乗りで


ダイエーの回転寿しデートなどするような、


色気のあるじいさんでした。




お母ちゃんたちは、


「そんなん恥ずかしい」って言ってたけど、


私は流石だぜ!じいさん!って、

ちょっと誇らしかったです。




そんな、おじいちゃんが


94歳でこの世を去った時、

「ま、まだ、その辺にいるやろな〜」

何て、全く実感が湧きませんでした。

悲しくなかったんです。

だって、その辺にいつもいるんですから。




人は亡くなったら天国に行くと言いますが、


私は何か違う気がするんです。


いつも通り、家族の側にいて、

いつも通り生活をしてる気がするんです。 


もちろん、私達には見えませんが。

で、家族が困った時は、

いつも通り励まし、  

導いてくれる気がするんです。



もちろん見えませんが。



今日も、実家の部屋の縁側から、

外を眺めていることでしょう。


そして、家族の側で、

家族を見守り続けているのでしょう。



ありがとう、じいさん。





ゆりえ商店
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