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「いいふうふ」の日なのだとか。

あたし、最近 保険に入りました。

正直、一生ご縁のないことかと思ってたのよ。

結婚していたときは
旦さんのお母さんが保険屋さんで
特別スペシャルなやつに入ってたのよね、たぶん。

あたし、この類いのことに疎く、
そして、全くもって興味がないのよ。

「大きな病気したらどうすんの?」とか、
「御葬式のお金は?」とか、
とか、とか、とか、

大人なのに、アンタって人は全く!なんて
知り合いに怒られてたわいな。

あたし、病院に行かないと思ってるのよ。

皆んなが言う「大きな病気」てやつになったら、自然に任せたいとずっと思ってるの。

それでも痛いとか苦しいとか厭なので
それを緩和することは考えるかもなって。

とにかく、流れに身を任せたいと思ってます。

娘には迷惑をかけない方向で考えてるしね。

2年ほど前に死生観をまた見つめ直したとき、
やっぱり、あたしは何にも抗いたくないなと思ったの。

残された人のこと考えろとか
無責任だとか
それはいっぱい言われるのだけど

でも、やっぱり 自然に任せたいと思ってしまう。

命に期限があるなら
出来るだけ何も変わらずいたい。

いつものように過ごしたいと思うのよ。

誰かに怒られてもね。

それは、変わらないのよ今も。

そう、それで保険に入った話しよね。

うちの旦さんはたいそうな経営者さんなもんだから、彼がいる限り、娘はあたしに何かあっても経済的に豊かに暮らしていけるだろうと予想がつくのよ。

何かしら大きな相続もするのだろうしね。

あたしの旦さんは素晴らしい人なので、
そこはぜんぜん心配してないの。

娘も良い家族を築いているしね。

あたし一人だったら、
「猫の墓場でそっとしんでいくわ。」なんて
本気で思ってたのよ。

出来るだけ迷惑かけず、
ひっそりとね。

家族が悲しいかどうかとは別よ。

そんな自分の最後の準備をしている中で
ボンと出逢い、紆余曲折あり、

内縁ではあるけど
ずっと一緒を選んだ訳なのだけどね、

最近になって、
あたしはとてつもなくボンに感謝していることを気づいたのよ。

ボンとあたしはご存知の通り
20歳という歳の差があるのよ。

一緒に生きてゆくと決めるまで
何度も何度もその手を振り解いたの、あたし。

あたしは女よ。
いくつになっても女でいる。

でも、お母ちゃんでもあるのよね。
そう、人の親をまがいなりにもやっているわ。

長男なのよね、ボンは。

出逢ったころのあたしは、もう既に
「女の身体」の最終形態にトランスフォームしようとしていたもんだから、
ボンのご両親がどんなに望んでも、
孫の顔は見せてあげれそうにないと思ったのよ。

それに、あたしたちの年齢差は
いずれ介護のような生活になるやも知れないと思ったのよ。

あたしが80歳まで生きたら
ボンは60歳であたしという婆さんの世話をするのよね....

遂には決断が出来なくなってしまったの。

一時は保育士にでもなろうかと思っていたくらい子どもが好きなボン、
そして、そのボンを長男として、男として
伸び伸びと、そして優しく逞しく育ててくださったご両親、

その大切な人たちにとって何が幸せなのかを
とても
とても
とても考えたのよ。

そして、一緒に生きていくことを選ぶまで
時間がかかってしまった。

ボンと一緒に暮らしだしても尚、
将来などは見ていなかったのよ、あたし。

そして、世の中がガラリと音を立てて変化していく中、
「明日の自分の命」をも
自分で決めれないのだと痛感したわ。

あたしはどう在れば幸せなのか?

どんどんと自分の中で答え合わせが出来てきたのよ。

あたしとボンは、
もう随分前から家族なのよね。

そして、ボンのご両親は
あたしの家族なのよね。

うちの娘家族も
あたしとボンは家族だと思っているだろうしね。

色んなことがあっても
誰にも相談しないあたしが
もうどうしようもなくしんどくなったときも、
いつもと何も変わらず側にいてくれるボン。

IQの低い笑いで
いつまでも二人で笑っていられる相手。

〜あたし、やっぱり、最後は、ボンがいいな。

そう思ったとき、
「ボンに何か残したい。」
そんな風な思いが湧いてきたのよ。

それは、生きてるうちに手渡してあげれるものもあるだろうし、

あたしというカタチが無くなってしまってから手渡せるものもあると思ってる。

それで、保険に入ったの、あたし。

今はとても良い世の中よね。
内縁であってもそれを証明さえできれば
保険の受け取り人になれるのだもの。

ボンには伝えてないの。
「あたしに何かあった時、ボンにこのことを教えてあげてね。」信頼のおける知人にそんな風に頼んでいるのよ。

あたし、知ってるのよ。
ボンは素晴らしい男だってこと。

だって、あたしを見つけてくれたのだものね。

今はあたしが大暴れしているから、
自分のことに手が回らないのよ。

あたしを支えるだけで精一杯よね、きっと。

あたしから解き放たれたとき、
ボンはやっとこ
大きな羽を広げるわ。

どこにでも羽ばたいてゆける。

そんなボンを
お空で見守るのも悪くないわね。

その時が来るまで、
あたしはボンというナイトに守られながら、
イカれた人生を全うしようと思うのよ。

〜ボン、今生の世の中で
あたしという人間を見つけてくれて
ありがとう。
そして、
末永くよろしくお願い申し上げますで候。

2022年 11月22日(火)
〜いい夫婦の日に愛を込めて〜

ゆりえ

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