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「ちゃんと戻ってくる。」

〜ある日の話し。


未だに何処かに引っかかったままの

ある出来事。

その日は表参道でお茶したのち

電車に乗った。


ふと、乗客たちの手を見ると.....傘。


「あっ!傘、さっきのお店に忘れてきてもーた!」


そう思ったけど、

結構使い込んでたし

ちょうど新しいのに買い替えようかと思ってたところだったから、


あえて取りに行かなかった。

でも、あたし、それ一本しか持って無かったから、

明日とか雨だと困るよなぁと思い、
帰りに最寄り駅で何となく傘を買っておいた。


1000円くらいの
なんて事ない真っ黒の折りたたみ傘。


前のは黒地に目立たない程度のヒョウ柄だったから

今度も黒。


結局、傘や鞄は黒で落ち着く。

あたし、持ち物で冒険しないの。

お洒落な人でもないから

派手なの買ったら持て余すのよ。

白黒、色違いで買っても

結局、黒しか使わなかったりして。

で、長年の経験から

小物の大冒険はしないと決めた。


今回も、無難ちゅーの無難、

真っ黒で折りたたみ、


強いて言うなら、ジャンプ傘ってとこだけかな。

前のヒョウ柄も折りたたみでジャンプ傘だった。


ボタン押すと" ガシャ! "って飛び出すやつ。

片手で出来るから

荷物いっぱい持ってる時とか便利なのよ。

かさ張るのやなので絶対に折りたたみ、

これだけは譲れない。

傘も買ったし、

これでいつ雨が降っても大丈夫!

そう思って帰路についた。

しかしながら、

しばらく雨が降ることは無かったのよ。

そのうち傘のこと、すっかり忘れて。

ある日、久方ぶりに雨が降った。

あたしはいつも通り、

折りたたみのジャンプ傘を取って

ガシャっと開いて駅まで向かったのよ。

で、電車に乗って

ふと、自分の持ってる傘に視線を落とした。

...............ん?

凄い違和感に包まれたの。

あれ?この傘.....


あたしが手に持ってたのは

使い慣れたヒョウ柄の傘だった。

どうりで手に馴染むわけだ。

でも、待って、


確か、
この傘はひと月ほど前に失くしたはずよねぇ.....

で、その日に駅前で黒い新しいのを買って.....


................??


頭がバグった。


うちにはこのヒョウ柄の折りたた傘しかなくて、

それを失くしたからってんで、

黒い新しい折りたたみ傘を買ったんだよなぁ。

えっ?元々あったのが黒だったの?

いや、違う違う!

そんなこと間違うわけないわな、

だって、このヒョウ柄

使い込んで年季入ってるもの。


ボタンなんて固くて

なかなか開かないのだもの。

時系列で整理、


ある日表参道でお茶してて、

そこに傘を忘れた。


その傘はヒョウ柄で、もう何年も使ってたから

あえて取りに行かず、

でも、次の日に雨とか降ったら困るからと

わざわざ、駅前で黒い折りたたみのジャンプ傘を買った。


そして、しばらく雨が降らず、

久しぶりに傘を使ってみて違和感。


手を見ると、失くしたはずのヒョウ柄の傘。


ねぇ、誰か教えて。


あたし、こんなこと割とあるのよ。


年末に失くした指輪も
年始に出てきたでしょ?


あれも、完全に時空を超えたのよ。


失くした物が

何処からともなく戻ってくる、

例えば誰かが届けてくれるとか

そう言うわかりやすいのだったら良いのだけど、


ある日突然、

あたしのところに戻ってくるの。

まあ、結局ね

今もガタのきてるそのヒョウ柄の傘を

使い続けているわけなのだけどもね。

なんかさぁ、愛おしいやないか?


わざわざ、あたしのところまで

どうやって戻ってきたんやろかって。


だって、歩けるわけやないやんかぁ。

そう思うとね、可愛いらしくなって

未だ捨てれないのよ。

ヒョウ柄の傘よ、

もうしばらくはよろしくね。

〜大切なものは
どんなことがあっても
あなたの側に在る。〜

ボンに

「どんなことがあっても、あたしンとこに戻ってくるんだよ。」って言ったらさ、


「わかった!」
そう言って元気よく出勤してゆきましたわなぁ。

まあ、やつもある意味
"時空を超えてきた"からねぇ。

じゃ、あの新しい傘は?

どうなったの⁇

きっとね、何処かの誰かのところに

ある日突然、あって、


「この傘、ある日突然、ここにやって来たんだよなぁ。」なんて言われてるのよ。


大切にされてるといいなぁなんて思いましたわ。






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