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ツレ妊 #45 終わり始まり

<38週  その6>

なかなか産まれないなぁと、この時間が永遠に続くようにも思えた。


帝王切開が濃厚。

口をしめらせて誤魔化したりうがいしたり。


判断のタイムリミットは15時ごろ。

破水をすでにしてるため、例の椅子でゆらゆらなどもできない。ベットで耐えて待つしかない。


昨日から続く、子宮口4.5センチの壁

なかなかコエラレナイ。

どんなに陣痛がきつくても、とにかく子宮口がひらかないと、子どもがおりてこないと、はじまらないのだ。


時計の針はタイムリミットをすぎている。

(何度か子どもの心拍が低下したため、急に促進剤の追加を止めた分、オーバー時間があるようだ)

もーむりやろー


そう思っていた、矢先


「ちょっと(子宮口が)開いてきてますよ?!」


という先生の言葉


まじっすか?



腕を組んで悩む先生。このまま下から産むか、帝王切開にするか、、、。


「このままいきましょう」



まじっすか?!!


さっきリアルタイム更新した時からなんと9センチまで開いたのだ!


もう帝王切開で、ご飯は明日だと思っていたのに、今夜ご飯が食べられるって?! (ちょっと違う)


帝王切開なら立ち会いはできない。

立ち会いができる!??!

カメラの電池パック準備!!!!!!



長い長い戦いのまさかのミラクル。

三日目の最後の時間にて、方針が決まったことで、にわかに活気づく分娩室。

赤ちゃん産まれた時用セットが一応用意されていく。

麻酔と疲労でボーッとしていて出遅れる本人ツレ。


「え、なに?どうしたの?」


「帝王切開じゃなくなったよ」


「えっ!!!!!」


時差〜〜!!!!


そして、戦いが始まる。

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陣痛に合わせていきんでいく。

「いきんでー上手です。もう一回行きますよーもう少し頑張ってー」


思わずアタシも息を止めて力が入る。

と、足元で何かを踏んでしまった。


するとフラッシュモブの様に色々なところから看護師さんが現れる

あーーーーごめんなさい!!!ナースコールを踏んでしまったぁ!

とにかく邪魔にならないようにしていたのだけど足元まで見えてなかった。



スミマセン


助産師さんが間違いだったことを説明してくれて、又ツレとイキみの世界に戻る。


そう、他は知らないのだけど、ここでは基本看護師(助産師資格持ち)さんとツレがマンツーマンで子どもに追い込みをかけている。(+ワタシが横で無駄にいきんでる)


真っ赤な顔のツレ。かなりしんどそうだ。


「痛いーーーーーーー痛い、痛い、、、、」


無痛分娩ーーーーー!!!!


どうやら子どもの頭ががっちりと骨盤にはまっているようで、そうすると骨周りが相当痛いようで、そこは麻酔では痛みが取れない箇所らしい。


一応麻酔科の先生が痛みは取れない可能性は高いけどと、追加の麻酔をしてくれる。


「いきんでー上手です。もう一回行きますよーもう少し頑張ってー」

「なんかかわってますか?」

「少しずつ進んでますよ!」


なかなかよくわからない世界線、、、


いきんでー を何度聞いただろう。


「頭みえてきてますよ」

え、そうなの?!


どこかに電話をかける助産師さん

そして、


「その足元のやつ踏んでいただけますか?」


え、さっき間違って踏んだこれ??!!


ポチッとな



再び色々なドアから出てくる看護師さん達、そして電話で呼び出されたドクター。



ぞろぞろぞろぞろ


急に活気づく分娩室 これは、もうすぐ???!!!



「後少しだって!!!」


「あ、はへ?!」

だめだ、ツレは違う世界線にいる。


それでも陣痛に合わせていきむ事は忘れない。

「次いきんだあと、ワタシがやめてくださいと言ったら力を抜いて深呼吸してくださいね。はい、いきんで!」


チラッ、、、、、、、、、、

!!!!!!!!!!!!!!!!



なんか今見えたぁぁぁぁぁ 毛が生えた頭がぁぁぁぁあああああ


「はい やめてください!!」


「へ?」


「さと子力抜いてーーーーーー!!!終わったよ!」


「ア、ハイ」

急な終わり宣告にキョトンとするツレ


赤ちゃんはまだ泣いていないが、、やがて

「ふぇ、、、、、、、ふぇ」


という声が聞こえてくる、が、まだよく見えない。


「今、そっちに赤ちゃん行きますからねー はい行きますー」


産まれた子どもがキョトンとしたままのツレの胸元に置かれる。


赤ちゃんの顔が見えた!!!!


、、、、、



、、、、、、、



、、、、、、、、


誰?!



今までずっと顔がないお腹に語りかけていたので、急に顔が見えて理解が追いつかないアタシとツレ。二人で、もぞもぞと手足を動かす生き物を見てポカンとする。


「おめでとうございます」


と言われて我に返る。


「ア、アリガトウゴザイマス」


とりあえず体を拭くために一旦ツレから離れる赤ちゃん。

ツレは胎盤が出てくるのを待たなくてはいけないのもあって、まだ現実に追いついていない顔でポカンとしている。


その間に体を拭かれる子どもを見にいくアタシ。


なんか、4Dの顔と一緒かも。鼻はツレに似てるな。(ツレの亡き父の遺伝子)

ひらひらと動かす手と足を見ていると、足の指の形もツレとにている。そうか、お腹にいた子か。


ようやく理解がおいつきはじめるアタシ。


体重も測られて、

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肌着も着せてもらったりしている。


そして、急に十何年もツレがこの日を夢見ていたことを思い出す。


子どもを妊娠するまでも本当に長くて、そして色々とあったツレ。

色々な人に反対されたりもした。でもこの何年かで応援してくれる人も増えた。そして今日その夢が叶ったのだ。


急にその実感が追いついて、涙が出た。

「よかったね、よかったね、、、、、大変だったね」


お産も本当に長かった。

「頑張ったね、本当に終わったよ。、、、そして、始まったよ。」


レインボー赤ちゃん


ようこそ、世界へ


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アタシはまーみーです。

どうぞよろしく。


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<オマケ>

ー家に戻ってから ツレからきたLINE

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ええええええええええええええええええ


お産は間に合ったけど、ご飯時間がタイムオーバー

子どもよ、これが現実だ!

ようこそ世界へ!!!


書いた人



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