『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(内山節)

『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(内田節 講談社現代新書)の中に
キツネが人間を騙してゐた時代とは、日本人が山の自然と共生してゐた時代だとしてあります。
その本では、かつての山を
<豊かな自然>
の象徴としてゐますが、さうした自然と共生してゐたムラの暮らしとは、
自動車には乗らず
ガス水道電気のライフラインは無く
入院できる病院も無い
暮らしです。今なら誰も耐へられない生活です。
私達は、ソロキャンプにも自動車でゆくのです。

老若男女スマホを握りしめてる今の日本人。その日本人なら、誰一人、3日と持たない不便で安全でない暮らし
これが、山の木を伐採しない、(意識の高い人たちがしきりに望む)自然と共生する社会をもたらしてゐました。

そんな社会では人間はキツネに騙されることができた、つまり、動物には人間を超えた能力があることを感じ取れた。動物に代表される自然は人間を凌駕した存在であり、日本人は自分が存在する世界そのものを畏れ敬って生きてゐたのです。
それが神道でした。
神社に詣でて願ひごとをするのが神道ではなかった。
自然の精霊と交信し、交流する暮らしが神道でした。

この本では、
1965年(昭和40年)
を境に、日本人はキツネにだまされなくなったとあります。
1970年に日本に革命が起きる、と信じて、
戦後教育に洗脳された全共闘世代がうごめき始めた頃です。

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