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鉢植え

小学校2年くらいだったか…。

私たち子どもの頃もお誕生日会があった。
私も仲のいいお友達の家へ何度かお呼ばれし、
筆箱や消しゴム、かわいいメモ帳なんかを
プレゼントに買っては、ノリノリで
お邪魔させてもらっていた。

数人で集まることも楽しかったが、
みんなでご飯やケーキを食べ、
カルピスやオレンジジュースを
たくさん飲めることも
楽しさを倍増させていたんだと思う。
そして帰り際に、
今日は来てくれてありがとう!と渡される
ファンシーショップやサンリオで買ったと
思われる小さな袋を
私は何より楽しみにしていた。
袋の中は、匂いつき消しゴム、シール、
かわいいお弁当袋だったりと、
まずお母さんは買ってくれないもの
だったからである。

うちは裕福な家ではなかった。

でも母が私のお誕生会の開催を
了解してくれたときは、
ずっごく嬉しかった。小躍りしてしまった。

みんなのうちのように洋皿にピザがのっている
食事ではなかったけれど、
母も頑張ってくれたことがわかった。

そして帰り。
みんなにお返しとして
母が私の友達にあげていたのが、
名前もよくわからない1年草の鉢植えだった。

びっくりした。

友達もびっくりしていたと思う。
小学校2年の女の子が鉢植えをもらって
喜ぶはずもない。選ばない…。
ありがとうございます。と言って
受け取っている顔が微妙だった。
子どもながらみんなが苦笑いしているように
見えた。

悲しかった。
切なかった。

母は気の利く人ではなかったし、
オシャレな人でもなかったし、
垢抜けない感じの人であった。

誰が悪いのでもなく…
私は8歳になった。

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