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母と聴くジュンス   #推し短歌 #青ブラ文学部参加作品


キム・ジュンスXIA公式YouTube
   ユンナ:キダリダ(待つ)カバー曲


たらちねの母が背中でジュンス聴く
秋は夜更けて鈴虫の鳴く

母が寝ているのを気遣って、私は母が観ていた韓国ドラマを止め、音楽動画で推しのジュンスの歌を観ていた。

母が起きたのに気づいた私は、さっき観ていた母のお気に入りの韓国ドラマ「トンイ」の画面を再開しようとすると、
「お母さんも聴いてるのよ」とひとこと。

それからジュンスの動画をたくさん、母といっしょに観た。
母もいつの間にかジュンス推しとなっていった。
4月のことだった。

庭にはピンクのマーガレットが満開。そしてジニアや日々草、夏スミレ(トレニア)等々の草花を植え始めた頃、私はパソコンに向かった。初めての小説を書くために…

プロットを作る代わりに私は考えているストーリーを母に語った。

小説の風景。
小説の主人公の一人一人の事。
その生い立ち…
ここからの展開。
母を前に、そんな話をした。
語りながら筋を考えたりもした。
こんな話に付き合ってくれる人は、なかなかいない。

ある時、ある章を書き上げた時に、その風景を語った。
「そこに行ったみたいな気分だよ」
母は、そう言ってくれた。

白い古民家を照らす夕陽。
ラクダのかわいさも語った。
行ったこともない所なのに、その異国の地に私は母と二人で行ったような気がしている。

小説は素晴らしい…
パスポートが無くても部屋にいるそのままで直ちに母と共に旅が出来た。

重陽の秋。
外では鈴虫が鳴いている。
私はパソコンに向かう。

パソコンの
カタコトする音
鈴虫の
声だけがする
重陽の夜



山根あきら様の企画

短歌物語 | #青ブラ文学部募集要項 (~9/18)に参加させて頂きます。
ギリギリの投稿で失礼致します。


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