[連載小説]第十一話 / 犬だけど何? 野良犬の俺がホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話 / 第二章スカイドッグスター⭐️バンド始動!
[連載小説]第十一話犬だけど何? 野良犬の俺がホームレスのアイツに出会ってスミカをゲットする話 / 第二章スカイドッグスター⭐️バンド始動!
ここまでのあらすじ
第十二話イベント当日
いよいよイベントの当日。
俺らは特設会場…と言っても、老健施設の中庭に設置されたステージだけどね。そこから歌うんだ。
コロナ禍って事で施設内は立ち入り制限で俺らは入れない。
おじいちゃん、おばあちゃんは施設内の部屋や食堂の窓越しに観る感じ。
ちょっと淋しいけど仕方ないね…
とは言え「ソラの初ステージ」!!
俺さ、ばあちゃんとよくドラマ観てたじゃん?
デビュー前のインディーズバンドが「路上ライブ」するのって憧れてたんだ!
あっ、そろそろだ!!
ソラがスタンバイした。
「今日は、俺らのバンドの初舞台、
紅白仕立てのコンサートへようこそ!!」
ここにいるのは80代から100歳と幅広い。
それにハマるように、懐かしい主題歌やヒット曲、CM曲をじいちゃん二人が厳選。おじいちゃん、おばあちゃんも耳にしたような曲を選んだって。
始まるよ!
全員が並んでダンスみたいに手を左右に動かしながら歌い出した。
ザ・ドリフターズの8時だよ!全員集合でオープニング。
大ウケした。
みんな知ってるみたいで、笑顔になった。
ツカミはオッケー!
氷川きよしのズンドコ節
ザ・ピーナッツの恋のバカンス
ジュディオングの魅せられて
八代亜紀の舟唄、このくらいからはじいちゃん、ばあちゃんも歌いたがっていみたいだ。でも、「ヒマツ」が飛ぶからって事で、歌うのだめなんだってさ。
北島三郎の「与作」の俺の出番🐶
『ヘイヘイホー』♪を替え歌で、
『ワンワンワーン』で参加した。
ここで特設カーテンの裏から、
「男はツラいよ」のサックスとピアニカでイントロだ!
ここで、俺らの「寅ちゃん」こと、
寅造じいちゃんがブカブカの背広と帽子で登場した。
受けたなあー!!
そして知床旅情を源じいちゃんが歌いだした…
「え〜?!」「おー!」という声が。
源じいちゃん、森繁久彌に似てるらしい。
ここを演出したのは寅造じいちゃんと源じいちゃん。なんだかんだ言って二人のじいちゃん、ノリノリだ。
おばあちゃんたちに受けたのは、
冬のソナタの主題歌!
「タラララ〜♪」って流れただけで沸いたね!
俺の選曲なんだ。
ばあちゃんが「ヨン様!」って言いながら何回も観てたドラマの曲。
ペ・ヨンジュンに扮したのは秀樹さん、歓声上がってたよ!
「それっぽいカツラとメガネして、特徴的なマフラー」してね。上から「紙吹雪の雪」散らして…。
「韓国語で?」ってか?
秀樹さん、ハングル文字出来ないけどカタカナで書いて練習してたんだ。
ラストの数曲は、美空ひばり、MISIA、和田アキ子、また北島三郎…
実際の紅白なら大トリをとるような歌のオンパレードで締めた。
イベントは大成功!!
おじいちゃん、おばあちゃんたちが笑顔で拍手を送ってくれてる。
なんて気持ちいいんだろう。
シッポをブンブン激しく振っても足りない。ワンワンって歓声を上げた。
もう、嬉しくてたまらない。
ぴょんぴょんジャンプして、その場で駆け回った。
イベントは大盛況で終了した。
後片付けをして帰る準備中…。
おじいちゃん、おばあちゃんの中には体調悪い人もいるでしょう?
イベントは自由参加だったから、部屋で休んでいた人もいたみたい。
終了後、イベントの間は閉めてあった3階の窓が開いた。
その瞬間、俺は鼻に懐かしい匂いをキャッチした。
「あ!!この匂い!
ばあちゃんの匂いだ!!」
俺はリードをちぎって駆け寄りたい衝動に駆られた。
姿は見えないけど、この匂い間違いない!
「ばあちゃーん!!!
俺だよ!!!」
俺は声の限り叫んだ。
「ワンワンワン!!!
ワォーン!!!」
施設の庭に、俺の叫び声が響いた…
第十二話に続く
涙の再会?