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東シナ海に浮かぶ島     甑島 こしきじま(870文字)

東シナ海に浮かぶ
甑島こしきしま


前回の記事で甑島(こしきしま)を紹介した。
甑島に関心を持ったのには訳がある。
甑島出身の方から聞いた話が印象的だったからだ。


網元で育った頃の話

甑島の網元の娘さんに会ったのは、もうかなり前のこと。
娘さんと言っても当時70歳。

網元とは漁師に船や網を提供する漁業提供者のこと。
食卓に並ぶ外海(そとうみ)の海の幸。
タカエビ、キビナゴ、アジ
冬はメジナ、ヒラスズキ、ブリ
夏はマダイ、カンパチ、キス
9月頃は、バショウカジキ等々…

絶好の釣りスポットで、「釣りバカ日誌9」のロケの舞台だったとのこと。


東シナ海で漁をする漁師の話

網元には多くの海の男たちが出入りする。
漁師からたくさんの話を聞いたそうだ。
「漁師言葉には北は長島、天草、長崎方向…南西諸島に連なる奄美方向…と、共通の漁師用語や道具があって海の向こう韓国の漁師とも共通の言葉があったらしいわ…
漁師同士では韓国の漁師さんとも言葉が通じてたかもね…」
と言っていた。
彼女の印象では「『一つの海の文化圏』みたいなものがあったように思う」と語っていた。

真っ青な東シナ海に浮かぶ美しい島々…
実際、島の海岸の漂着物にはハングル文字も見かけたとのこと。
魚たちにとって海は繋がっている。
南風にのって行き交う船。

「海の民」の交流が目に浮かぶ。


甑島は花の島〜
日本一のカノコユリ群生地

また岸壁には初夏から夏にかけて、黄色やオレンジ・ピンクの百合咲く
花の島でもある。
「かのこゆり」の日本一の群生地。

鹿の子百合には、白地にピンクのドット〜点々がある。
名の通り鹿の子(バンビ)のようだ。
香りも素晴らしい。
別名は七夕百合・土用百合で花期は今からがシーズン。(7月から9月)

この花は海外で変化を遂げた。
江戸時代、シーボルトが球根をヨーロッパに持ち帰った。
日本原産カノコユリ、ヤマユリ等を掛け合わせて作られたのがオリエンタル・ハイブリッド〜「カサブランカ」だという。



花を愛で、新鮮な海の幸を楽しみ、飾らない島の人たちとの交流。
ゆっくり流れる時を楽しむスロー・トリップ…

私の心は甑島に旅した気持ちになっている。








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