夫婦に起こる「モラハラ」

そもそも「モラハラ」って?

よく聞くハラスメントに「セクハラ(sexual harassment)」「パワハラ(power harassment)」があります。「ハラスメント=人を困らせること、嫌がらせ」なので、セクハラ=性的嫌がらせ、パワハラ=権力による嫌がらせと定義されます。

では、「モラハラ(moral harassment)」とはなんでしょうか?
モラル(moral)=倫理・道徳的なharassmentとされ、心無い言動で相手を傷つけたり、無視したり、精神的に追い詰める言動のことを示します。精神的DVとも言われますが、身体的な傷が残る暴力と違い目に見える傷がないこと、被害者も「喧嘩したから」「機嫌が悪かったから」と我慢してしまうことも多く顕在化しにくいと言われています。また、加害者側も外や機嫌のいい時は人当たりがよく、外面がいい場合も多いため、第三者からも認識されにくいのが特徴です。

どこからが「モラハラ」?

「モラハラ」が顕在化しにくい、もう一つの原因として、暴力と違って「明確なラインが引きにくい」という特徴があります。
「叩く」という行為は誰が見ても「叩く」ですが、「言葉や態度で傷つける」という行為は被害者側は強く傷ついていても、加害者に伝えた時に「そんなつもりはない」「あなたが悪いからだ」「受け取り方の問題だ」と返されてしまうことも多くあります。
特に夫婦間においては、「夫婦喧嘩の際の行き違い」として済まされる場合も多いでしょう。
だからこそ、被害者・加害者どちらかが気づくことが必要だと思います。

「モラハラ」と「フキハラ」

モラハラと並んで、最近よく聞くようになった言葉に「フキハラ(不機嫌harassment)」という言葉がありますが、ご存知でしょうか。
「フキハラ」とは自分の不機嫌さを過剰にアピールして相手を萎縮させたり、機嫌を損ねないよう気を遣わせることを望んだ言動をすることとされています。つまり、「不機嫌アピールをして思い通りにしようとする言動」です。
実は「フキハラ」も「モラハラ」の一種とされていて、加害者は不機嫌の原因は「相手にある」と思いこんでいるため「相手が〇〇したから悪い」「〇〇しなかったせいだ」と自分のハラスメントには気づかないことが多いため、やはり顕在化しにくいという特徴があります。
今回はモラハラ・フキハラどちらにも当てはまることをお伝えしていきたいと思います。

あなたも被害者かも?

こんなことを言っている私ですが、実はしっかり被害者になっていた過去があります。
相手は「夫」ではなく、過去にお付き合いしていた方です。
「咲は何もできない」「俺が機嫌が悪いのは咲が〇〇したせいだ」「そんな風にいうけど咲も〇〇できない、してない」と、日常的に言葉をかけられていましたが、当時の私は「自分が悪いんだ」と思い込み、彼の機嫌をとること、「怒り」の地雷を踏まないことばかりを気にして生活していました。
私自身、夜勤もある生活をしていたにもかかわらず、いつ彼が遊びに来ても彼好みの食事を作り「コレはまずい」「こんなの食べられない」なんて言葉にも「ごめんね」と謝り、休みの予定も彼の希望が第一優先、それでも彼の趣味のゲームでドタキャンされることもあるにも関わらず、私の予定を優先すると怒られるという日々でした。今思えばなんで付き合っていたんだろうと思うんですが、それがモラハラの盛大な罠。当事者となると自分の状況を客観視できず、「自分が悪い」と思い込んでいました。当時は「モラハラ」なんて言葉も知らず、知識がなかったことも原因の一つだったと思います。
じゃあ、知識のなかった私が一体どこで「これはおかしい」と気づいたのか、それが「一生この生活をしたいのか?」と冷静に考えた時でした。年齢的に彼との結婚を考えたこともありましたが、真剣に考えれば考えるほど「私幸せなのか?」と違和感を覚えてきて、最終的には「このままじゃ嫌だ!」と私の方から別れを告げました。別れ告げたとき、モラハラ加害者の特徴通り、手のひら返しして泣きながら復縁を望まれたという典型的な展開まで経験しました(笑)

被害者になっている人の特徴

実は「モラハラ」「フキハラ」の被害者になっているには共通する思考があると言われています。

・普段から自責の念が強く、相手に責められると「自分が悪い」と思ってしまう
・一緒にいると常に相手の機嫌を伺っている
・出張などで帰ってこない、今日は会えないとなると内心ホッとする
・機嫌がいい時の人柄や優しさから「いい人だから」「優しい人だから」と思っている
・自分の趣味や友人関係の楽しみを優先できない
・自分が我慢して上手く立ち回れば関係はよくなると思っている

いかがでしょうか?
自分の気持ちや楽しみよりも相手の生活や機嫌を優先してしまっている、そんな人は要注意かもしれません。

加害者が伝えたいこと

モラハラは治らない、モラハラする人とは別れろとよく言われますが、モラハラはカウンセリングなどの治療の対象となることは確かです。
では、モラハラする人はなぜモラハラしてしまうのでしょうか?
モラハラする原因は「自己肯定感の低さ」や「生育環境」「ストレス」など多様なものが挙げられますが、モラハラ加害者が伝えたいことはただ一つ「もっと自分の努力や成果を認めろ」です。
「相手が自分を認めていない」「自分の努力や成果を理解していない」と感じた時に怒りのスイッチが入ることが多く、精神的に相手を追い詰めたり、自分の方が優位だと感じたい欲求が出てきます。
ここで重要なのは認められたと感じるのはもちろん自分のものさし次第ということです。被害者はどんなに心から認めて感謝していても、自分が足りないと感じればモラハラ言動に走ってしまうのです。

モラハラされたらどうする?

もしも、私は今モラハラ被害者かもしれない、と思っているあなた、できることはただひとつです。
「相手のご機嫌とりをやめる」
不機嫌を感じた時、「私のせいかな」「何かしたかな」と気を遣ってご機嫌とること、相手の機嫌を損なうかどうかの基準で行動することをやめることです。
大事にするのは「自分の感情」、あなたが心地よいこと、あなたがご機嫌でいることを優先して生活しましょう。自分を幸せにできるのは自分だけです。
何か言われても「あなたはそう思うのね。私は〇〇だよ」あなたはあなた、私は私と自分と相手の境界線を引いていくことを意識します。
そして、「1人で解決しようとしないこと」です。これまでの2人の関係、考え方で徐々にエスカレートしていくことが多いのがモラハラの特徴です。
信頼できる家族や友人、必要な時は専門家に相談しましょう。

モラハラやめたい!

ここまで読み進めて、私が加害者かもしれない!と思ったあなた、大丈夫です。今日からでもやめられますよ。
もう一つ暴露すると、私実はモラハラの被害者だったくせに、夫にフキハラしていました。まぁ、うちの夫は「自分のせいだ」とふさぎ込むタイプではなかったので正確には「フキハラもどき」かもしれません。
Instagramの動画に登場する通り、以前は「ザ・昭和」な夫婦観・子育て観を持っていた夫なので、結婚して出産して、毎日大変で毎日しんどくて、そんな生活になったのは、全部とは言わないけど8割以上は夫のせいだ!と思っていました。何かを頼んでやってくれないとイライラを表に出していたし、「ただいま」と帰ってきた夫に「ああ、おかえり」と不機嫌は態度で対応したりしていました。
まさに「不機嫌で思い通りにしたい女」でした。

こんな態度取りたい訳じゃないのに、夫にだけイライラしてしまう!!全くやってくれない訳じゃないのに、これが違う、こっちがやってないと思い通りにいかないことがあるとイライラしてしまう、そんな相談もよく聞きます。
先ほど書いた様にモラハラ加害者の伝えたいことは「自分の努力や成果を認めてほしい」です。しかし、自分とパートナーは全く違う人格です。あなたが思う通り、あなたの理想通りの言葉や態度で認めてくれたり褒めてくれたりする人は存在しません。パートナーがそれをしてくれるというのはあなたの幻想です。
じゃあ、自分の中のその欲はどうやって満たすのか?
「自分を満たすのは自分」です。
自分自身を褒めて認めて感謝すること、それができれば相手から送られている認めてくれているポイント、褒めてくれていることは見えてくるはずです。しかし、加害者になる人は「自分で自分を満たす」ことが極端に苦手です。苦手でこれまでそれができなかったから、身近なパートナーにそれを求めてしまうけど、思うように満たされないということがきっかけとなっているのです。
「自分の満たし方」は学べば誰でも習得できるスキルです。
今の自分を知ったら、あとは行動するだけ、変わろうとすれば、人はいつからでも変われますよ。

最後まで読んで頂きありがとうございました。
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