東大英語リスニング講座②

【第2講】〜過去問を用いて実践〜


東京大学の英語リスニングの出題についてですが、設問方針が年によって微妙に違います

what,why,how…などの疑問詞で聞いてくるパターン
〇〇is that と、後続の内容を選ぶパターン
内容一致•不一致を選ぶパターン
空所に数字を記述するパターン
……
などなど、あまり知られていませんが多種多様なパターンがあるのです
2024は疑問詞(what)で聞いてくるパターンが主ですが、2022は露骨に後続の内容を選ぶ問題が出題されました

ここで最初に伝えておきますが
どのパターンの問題が出題されても、全て同じ解法で解ける、という事です
前回も書きましたが作業手順は以下の2つです
①設問からの根拠推測
②音声からの根拠取得

今回は、10年前の問題〈2014年〉の問題を素材として扱います

[理由]———————————————————-
新しい問題を使ってしまうと過去問演習の邪魔になってしまうので、近年の問題は避けました
あまり古すぎると学習効果が薄いためこの年度です
また、この年の問題は露骨に疑問詞で聞いてくるもので、疑問詞で聞かれる頻出パターンに慣れる事を、今回の学習の目標にします
————————————————————————

〈解き方〉を解説するための例題なので予習は不要
説明の便宜上、音声ではなくスクリプトを使います
とりあえず、見ていてください

東大英語-2014-3-(A)

さて、こちらが問題になります


【方針】
《注目するべきポイント》から《解答の根拠》の場所を『推測』して、確実に根拠を『取得』

それでは
①「設問からの根拠推測」取り掛かります

☆着目するべきポイント☆
•疑問詞
•メインとなる名詞
•固有名詞
•時間を表す副詞

説明の便宜上、以下のように色分けして解説します

疑問詞→紫色マーカー
メインとなる名詞→黄色マーカー
固有名詞→赤色アンダーバー
時間を表す副詞→ピンク色マーカー
解答の根拠→紫色アンダーバー

※今後講義の中では
「注目するべきポイント」を「伏線」と呼びます
そして、説明の便宜上、疑問詞以外の伏線を、出てきた順番にa, b,c…と識別します
なぜ伏線と呼ぶのかは、じきにわかるでしょう


手書きで申し訳ないのですが、①の作業を可視化すると以下のようにマーキングができます

(2)のbに紫色アンダーバーがありますが、これは解答の根拠そのものではなく、解答の根拠の頭の部分のみを指しています(つまり根拠の一部に過ぎない)


世間が公表するリスニングの難易度は主観要素の強い極めてテキトーでいい加減なもので、当てにならないのですが、リスニングの難易度の1つの基準としてポイント数というものがあります
それは、今回a,b,cという伏線の数が多ければ多いほど簡単で、逆に少ければ少ないほど難しいというものです
考えれば単純な事で、伏線が大量に落ちまくっていれば、その分答えに気がつきやすいという事です
その基準でいくと、(1)(2)に比べて(3)(4)(5)が難しいと判断できますが、所詮は難易度の1要素に過ぎないので軽い目安にしかなりません

さて、この段階で①の作業が終わりました
※この段階では私自身もスクリプトを一切見ていません

【伏線の次に根拠が来る】という原則に基づき
マークした部分に注目しながら音声を聞いていきましょう
なお、説明の便宜上
スクリプトを以下に貼り付けます


それでは②「音声からの根拠取得」に取り掛かります
こちらも手書きになりますが、作業を可視化したものをご覧ください




紫アンダーバーが解答の根拠です
集中して聴くべき部分を設問番号と共に赤で画定させました
分かると思いますが、伏線の直後に根拠が落ちてるんです
実は英語の情報展開の原則から当然の事なのですが
これを意識できていないと、何となく全部をフラットに聞いて、何となく選んで終わりという反知性的な解き方になってしまいます
しっかりと強弱をつけて「聴いて」ください

軽く解説しますと
(1)は露骨に伏線bが張られていて、その後にaがあり、直後にwhy[疑問]→as[理由]で解答の根拠が明示されています
非常に単純な構造ですが、①の作業がないと拾いにくい部分です
なぜならば、冒頭から長々と解答に不要な駄文が続き
①の作業がないと、どこから根拠が流れてくるか分からずに根拠を聴き逃す恐れがあるからです
1の正解はウになります

駄文が続きこちら側をイライラさせるという事はリスニングの定番です

さて、次に行きましょう
(2) は、伏線aが張られて、直後に根拠、根拠の途中に伏線bが組み込まれ、拾うだけの単純な問題です
正解はエ

(3)は、バレバレの伏線aが張られた後に長々と根拠が落ち続けています
根拠の最初の1文だけで正解はできるのですが、後ろに説明があるのでしたらそこも拾っておいたほうが確実です
正解はウ
また、英語の原則なのですが
「テーマ」+〈説明〉で英文が進行します
今回は、根拠の1文が「テーマ」、残りが〈説明です〉

(4)も、(3)と全く同じですね
全く同じ手順で根拠を拾えばエが選べます
やはり「テーマ」の部分は抽象的な内容が来て
〈説明〉の部分で具体的な内容が来がちですね
もちろん絶対ではないです
これを絶対だと思い込んで、一種の公式のように教えている人がいますが、それは間違っています
抽象的な事を書き続ける迷惑な著者もいるので、その場合に破綻します
この場合の対処法としては、自分で具体例を挙げながら読むという方法があります
詳しくはいつか長文読解の時に話そうと思います

(5)今回の中では1番難しいです
しかしながら、(4)まで解いていれば、残りの時間は全て(5)のことだけを考えながら聴けばいいのでそこまで難しくはないです
最初に伏線aが出てきて、根拠が出てくるかと思いきやButで斬り返されて、再び伏線aが登場
そして直後にある根拠を拾えばウが選べます

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2回目でしたがヘビーな内容となりました
皆さん、着いて来れたでしょうか
今回の作業を全ての問題に施すのが私独自のやり方です
安定して9割+αぐらいを取りたい方はぜひマスターしてください
正直なところ、東大リスニングは簡単なんです
世間が言う浅はかな簡単という言葉ではなく
対処しやすいという意味で簡単です

さて、次回予告になりますが
今回はあまり触れなかった選択肢の読み方•切り方を徹底的に解説していきます
ぜひ期待して待っていてください

お疲れ様でした

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