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2020年本屋大賞受賞『アーモンド』を読んで

プロローグではじまるこの物語
一言でいうとこの物語は怪物である僕がもう一人の怪物と出会う話だ。

ではじまり、第一部から衝撃的なことが語られている。


その日、一人が怪我をし六人が死んだ。まずは母さんとばあちゃん。次に、男を止めに入った大学生。それから、聖歌隊の行進の先頭に立っていた五十代のおじさん二人と警察官一人。そして最後は、その男自身だった。・・・
僕は、そのすべてのことが目の前で前に繰り広げられるのを、ただ見つめているだけだった。 いつものように、無表情で。

普通、人が持つべき感情を持たない失感情症の少年ユンジェ。
父を亡くし母とばあちゃんと一緒に暮らしている。
笑わない、感情を、感じられない幼い息子に教育を施す母。それは、自ら危険を予知出来ないということにも繋がる。普通の人なら難なく身に付ける本能的な行動基準をひとつひとつ暗記させて。息子を守ろうと愛を注ぐ

この物語に出てくる舞台には学校や古本屋が出てくる。古本屋は母が営む店。
そこは彼にとって『居心地のいい場所』

もう一人の怪物ゴニ、そして今まで感じたことのない不思議な感覚をもたらすドラと過ごす場所にもなった。

ある事情で、転校してきたゴニ。感情をコントロールするというのが苦手で怒りを暴力で表した。
そんな二人が関わり合う中で変わっていく姿が、四部構成で描かれた物語で

2020年本屋大賞翻訳小説部門で第1位を受賞した作品。
読みやすい文章で淡々と、読むことが出来たが、涙無くして読めない本ということだけれどどうも私は泣けなかった。もしかしたら息子たちがまだ幼ければ何か心に突き刺すものが残るのかも

しかし、感情のないユンジェが本を読むこと
それを表現した言葉に引き付けられた。

ばあちゃんの言葉を借りるなら、本屋は何千、何万という作家たちが、生きている人も死んだ人も一緒になって押し合いへし合いしている、すごく人口密度の、高い所だ。でも本は静かだ。手にとって開くまでは、まるで死んでるみたいに黙りこくっている。そして、開いた瞬間から話始めるのだ。ゆっくりと、ちょうど僕が望む分だけ。

ゴニはユンジェにとって一番単純でいちばん透明。僕みたい馬鹿でさえも心の中を覗けるくらい。強くなりたい虚勢を張っている。
互いに似ているとはいえ言えない二人、
そして関わっていく大人たち。
あまり明るい話とは、言えないけれど
最後まで付き合っていこうと思える1冊。




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