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ウチの猫、ミーのこと


私が仔猫を拾ってきたのは2度目だった。
小さい小さい三毛猫。
私が小学校6年生だったと思う。

先に飼っていた、真っ黒カギしっぽ猫は何年か前、急にいなくなってしまった。(祖父が庭の片隅で亡くなっていたのを見つけてくれたんだけど。)

猫の名前はミー。なぜか、ウチに来た猫はいつもミーと呼ばれる。先の黒猫もミーだった。

三毛猫ミーはかわいかった。基本ツーンとしているけれど、ごくごくまれに気が向くと、私のお布団に入ってきた。しかし、ミーをなでまわすとすぐにどこかに行ってしまう。ひとに懐かないようなところが猫っぽかった。


数日前、兄とミーの話になった。

ところで兄は、煮魚や焼き魚を食べるのがヘタで、ミーがいなくなった今でも「あとはミーのぶん」と言って、もったいないくらい残す。きれいに魚を食べられないのをごまかす口実に、ミーを使う。
ミーがいた頃、兄の食べ残しをミーがもらっていたかは定かではないが、兄がミーをかわいがっていたのは本当みたいだ。


こないだ兄とミーの話になったとき、私の知らないことを聞いた。意外だった。

当時受験生だった兄は、家の別棟2階に部屋があった。夜遅くまで勉強している時、ミーはわざわざ兄の部屋を訪れていたらしい。カリカリとドアを引っかく音を聞き、兄はミーを部屋に入れていた。机に向かって勉強していると、ミーは膝の上に乗ってきて、ゴロゴロ音を立てていたんだとか。膝のミーを撫でながら勉強した、と兄は話していた。

そんなの、知らなかった。
ミーが兄にそんなに懐いていたなんて、知らなかった。


「おまえがミーを拾ってきたのに、面倒みてなかっただろ?猫はわかるんだよ、そういうの。」と、兄は言う。
確かに私はミーのぶんの魚を残さなかった。
そもそも、ミーが私に懐かなかったから、かわいがることができなかったんだよ。

そして私は、ミーとの別れを覚えていなかった。兄からそれを聞いて驚いた。「ミーが早産して、そのあとすぐ逝っちゃったんだよ。覚えてないの?」

ミーを拾ってきたのは私だ。だけどそれだけで、責任を持って面倒をみていたのは、兄だったのだ。ミーが兄に懐いていたのは、そういうわけだ。


ただ、かわいいから、
かわいそうだから、とか
そんなことで当時の私のように命を預かってはいけない、と思う。

反省した。

今は、私のところに来てくれた金魚のきーちゃんを、大事に大事にしたい。

かわいいきーちゃん
ちゃんと面倒みるから、これからもよろしくね


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