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『鶴見俊輔伝』をようやく読み終えた。

 黒川創著『鶴見俊輔伝』(新潮社 2018)を電子書籍で購入したのは、1年以上前のことだ。その本を、主に移動の時に少しずつ読み進めて、数日前に読み終えた。568Pと、リアルな本だと結構の厚みになり、図書館で借りても期日内に読み終わらない気がしたのと、紙の本を増やしたくないと言う思いが、電子書籍の購入に踏み切った理由だ。
 鶴見俊輔という名前は、あちこちで見かけ、何冊かは著書も読んだ。鶴見さんの伝記を読むことで、この時代をもう少し知りたいという思いもあった。読みながら、自分が知らないことの多さに改めて気づく。私にとって読書とは、その繰り返しだ。もちろんそれらは、著者からの視点であり、同じ時代や出来事も書き手が変われば、また違う風景が見えてくる。
 『鶴見俊輔伝』は著者の鶴見氏への思いに溢れ、実に丁寧に描かれた評伝だと感じた。祖父はあの時代、誰もが知る後藤新平、そしてその娘である母の呪縛から逃れようとした自称不良少年が、アメリカに留学。そこで学問をすることの喜びを知り、その後の人生は大きく変わっていく。長い評伝を読み終えて、自分の中に多くのこだわりを持ち、人生を歩んでこられた方だと改めて思った。

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