【発売に先駆け】『FINAL FANTASY 7 REMAKE』大反省会

FINAL FANTASY7。
言わずと知れた日本を代表するRPGシリーズ「FINAL FANTASY」の中で、
もっとも多くの本数を売り上げ、同シリーズの看板タイトルとして四半世紀以上が経った今も根強い人気の作品です。

2020年からは3部作仕立てのリメイクシリーズが始動、現在もゲーム業界の第一線で話題を提供し続けている存在であり、
今月末の02月29日にはその第2作が発売予定です。

本稿ではそれに先立ち、リメイク1作目「FINAL FANTASY REMAKE(以下FF7R)」について、お話をしていこうと思います。

同作、トレイラー配信時から興奮をもってファンから迎えられ、販売本数も全世界700万本と好調な成績を残したのですが、意外なことに、プレイされた方々の感想のなかにはその興奮とは真逆の「平熱」で語られたものも少なくありませんでした。

今回は、この「興奮」からの「平熱」に変遷していった理由を語ったうえで、来る2作目「REBIRTH」への期待をお話しさせていただければと思います。

◆はじめに

さて、お話をする前に、僕の本作に対する立ち位置(意見?)を表明しておこうと思います。
まず同作に関しては「PS4」版でノーマルをクリア、50時間程プレイしました。その後、Steam版を買いなおし、ノーマル・ハード両方をクリアして、100時間程楽しみました。合計150時間プレイしているわけですから、立派に「ハマった」側であります。
※Steam版をプレイしていたのは昨年の秋から冬なので、プレイ記憶もまだ新しいです

とはいえ、「平熱」のレビューをしたためた方の気持ちも十分理解できました。
そういう方が語る、
「うーん、面白いんだけどね、65点くらいの評価になっちゃうかな」
という言葉にも、頷かざるを得ないというのが正直なところでした。

「楽しめたのに、興奮しなかった人の気持ちも理解できるの?」
と疑問を持たれるかもしれません。
そうなんです。「面白いん『だけど』」の部分が今回語らせてもらいたい部分となります。
このため(熱心なファンの方には申し訳ないのですが)「反省会」と題させていただきました。

さて、では「65点」評価をされた方や、本作を評価しなかった方は、どのような点に不満を憶えたのでしょうか?

多く見られたのは下記のような意見でした。

「敵が固すぎる!クラウドがバスタードソード振り回してるのになんでダメージがペチペチなんだよ!!」
「アクションが難しすぎ!最初のボスから敵が強すぎてぜんぜん楽しめない!!」

特に敵の防御力が高くて勝てないという反応は、発売から数年経った今でも定期的にこの話題でスレッドが立ち、まとめサイトも作られているほど「鉄板」のようです。

まずはこの批判が妥当なものであったかどうかから、考えていきます。

◆敵は本当に硬すぎたのか?

特によく耳にするこの批判ですが、実際正しかったのでしょうか。
率直に言って、「クラウドでブレイブモードのまま『たたかう』連打」プレイの場合、序盤の神羅兵相手でもダメージが通りにくく、苦労します。

未プレイの方に説明しますと、主人公「クラウド」にはフットワークよく動ける「ブレイブモード」と機動力を捨てて攻撃に専念する「アサルトモード」の2種類があり、戦況に合わせてモードを切り替えて戦う必要があります。
ぶっちゃけてしまうと、「モンスターハンター」の大剣で納刀状態が「ブレイブモード」で、抜刀状態が「アサルトモード」ですね。「ブレイブモード」のまま攻撃することもできますが、ダメージソースとして考えるのは難しい程度のダメージしか与えることができません。

適宜「アサルトモード」に切り替えてダメージを与える必要があるのですが、とはいえアサルトモードで攻撃しても、それほどテンポよく雑魚敵を撃破はできません。
同じスクエニ社から出ている「スターオーシャン2」(昨年末に発売されたリメイクが好評)では、雑魚敵は主人公クロードの通常攻撃4-5回で撃破できますが、FF7Rではもう少し攻撃する必要があります。(相手によっては10回以上攻撃する必要がある)

まあ、雑魚敵の掃討に関しては確かに一般的なアクションRPGに比べると手間がかかります。
とはいえこれは、あくまで通常攻撃のみでプレイした時の話。
「FF7R」は、実は「通常のアクションRPG」ではないのです。

同作のダメージソースは実は通常攻撃ではなく、ATBバーを消費した「アビリティ」にあります。
クラウドなら「ブレイバー」、ティファなら「正拳突き」などのアビリティで当たるダメージの方が高く設定されています。
ATBバーは時間で溜まりますが、通常攻撃を当てるとさらに溜まるため、
「通常攻撃を繰り返してATBバーを溜める」

「ATBバーを消費してアビリティで攻撃する」
というサイクルで攻撃すれば雑魚敵との戦闘もスムーズにこなせるのですが、
どうもこの流れをユーザーに十分に認識させる流れがゲーム内に無かった(または乏しかった)せいで、
「雑魚敵が硬い」という批判につながってしまったのでしょう。

実際のところ、上記の流れを十分に理解したうえでプレイしていれば、
「敵が硬すぎてゲームテンポが悪い」という感想には、恐らく至らなかったでしょう。

誤解された経緯に推測はつくものの、的を得た批評とは言い難い内容ではあります

◆アクション性は本当に高すぎたのか

次によく見る批判が「JRPGを期待したのにアクション性が高くてがっかりだった」というものです。

まあ、そもそも「アクションが嫌だった」という方については、申し訳ないですが差し上げる言葉がありません。
時代的に難しいと言いますか、せっかく精密なグラフィックで世界観を作り上げられたのですから、
できる限りインタラクティブにゲーム世界を味わってほしいというスタッフの気持ちもよくわかりますし、
オープンワールド全盛の現代ゲーム業界でコマンドRPGをリリースするというのは正直難しいです。(無くはないですが)

「アクションRPGという点は飲み込んだが、要求される操作性が高くない?全然敵の攻撃よけられないんだけど」
という方については、おそらく「敵硬い」勢の方々とよく似た錯誤があったのだと推測しています。

まず前述のとおり、FF7Rは「一般的なアクションRPG」とは異なります。野村哲也氏のインタビューによると、
「リアルタイムアクションとFF的なATBシステムの要素両面のたのしさを追求」したとのことです。

野村氏:
 そうですね。オリジナルに引っ張られすぎて,一時期はアクションがなくなって,ATBみたいになったこともあります。
 もともと,最初に僕が出したお題が,「リアルタイムのアクションでありながら,数値を管理するFFとしてのバトルでもあり,FFVIIのATBの駆け引きもなくてはいけない」という,無茶なものだったんです。今の形になったのは,それらの組み込み方をあれこれ変えてどうにか作り上げた,スタッフ達の努力の結果ですね。

https://www.4gamer.net/games/305/G030589/20200226047/

野村氏のインタビューからも分かる通り、アクション要素は強いものの、同時に数値を管理する従来のRPG要素も用意されたシステムなんですね。
アクションだけで切り抜けられる局面ばかりではないんです。

たとえば最初のボス「ガードスコーピオン」は、回避不能な小型ミサイルやガトリング攻撃を行います。
確実に「免れないダメージ」が一定量発生するわけです。このため「ATBを消費した回復等の数値管理」が発生する。
全てアクションで切り抜けられるのなら「数値管理」の要素が無くなってしまうわけで、これは当然の調整ではあります。

おそらく、
「アクション要素が強いから、このミサイルも避けられるはずだ」
と判断された方が一定数いたのでしょう。モンハン風のクラウドのアクションに回避ゲーを連想したのかもしれません。

結果、ボス戦をアクションで立ち回ろうとして、
「全然よけられない!アクション難しすぎ!!」
という反応にいたったのではと推測しています。

その他、コマンド要素とアクション要素が同時に発生するゲーム性のため、
(ガードスコーピオン戦なら通常攻撃やテールレーザーをよけつつ、ミサイルで受けたダメージにも対処が必要、など)
コマンド要素を意識していたらアクションがおざなりになり、
結果的に「アクションの難易度が高い」という印象になった可能性もあります。

いずれにせよ、これも「ATB+アクション」システムを十分にユーザーへ理解させられていなかったため起きた誤解でした。

このほか、「召喚獣が何もしない」という批判もありました。
「呼び出してもうろうろしているだけで大した攻撃しない、こんなの召喚獣じゃない!」

召喚獣は、召喚後にATBゲージを消費してアビリティを発動させることで、
高ダメージの属性攻撃や全体バフなどが発動するものでした。召喚させただけでは殆ど意味がないんですね。
通常攻撃も行うものの、メインのダメージソースはATBを消費した行動という点は、通常のキャラクタ―と同様です。
ここでも「ATB+アクション」システムが理解されていなかったために誤解が発生していました。

全般的に、「このゲームはどうやって遊ぶものか?」という説明と誘導が不足していたため、起きたことです。
システムを理解すると非常に楽しめるようになるのは間違いありません。

例えばクラウドの場合、
「ブレイブモードでATBを溜めたあと、敵が攻撃したところを見計らいモードチェンジで
カウンターを発生させ、怯んだ相手にブレイバーを打ち込み、残った周囲の敵をラピッドチェインで蹴散らす」
なんてことをできるようになると、とんでもなく爽快なうえにテンポよく雑魚敵が掃討できるようになります。

他のプレイアブルキャラクターにもそれぞれ固有のアクションとアビリティが用意されていて、
操作キャラを切り替えつつ戦闘を繰り返していると、いつの間にか時間を忘れてプレイしているくらい、
本作の戦闘システムには高い魅力がありました。
僕も150時間ほど遊ばせていただきましたので、この点は胸を張ってお勧めできます。

しかし、FF7Rの戦闘に全く問題が無かったかというと、やはりそんなことはありません。
やはり評価を下げるだけの要素は潜んでいました。
ただ、それは一般によく耳にする批評点とは全く異なる部分でした。

◆何度も思った「ガンビット持ってこい!」

FF7Rにはプレイアブルキャラが4人(インターグレード版ではユフィも扱えるが本編に合流せず同時操作は不可)おり、
同時に参加できるパーティメンバーは3人です。
この3人それぞれに命令を与えつつ、戦闘を進めていくことになります。

ゲームバランス的に、一人のキャラクターを操作するのではなく、ぐりぐりと操作キャラを変更しつつ、
全員を満遍なく操作していくのが基本の流れです。

この「キャラクターを切り替えながら戦闘」はとても楽しいのですが、
プレイしていくうちにだんだん「これ自動化とかできんのかな」という考えが浮かんできます。

というのもこのゲーム、操作していない間のキャラクターの行動に指向性を与えることが全くできないんですね。
いわゆるドラクエやスターオーシャンでいうところの「作戦」にあたる項目が全くないわけです。
操作していない間のキャラクター達は、その辺をうろうろして気が向いた時に「たたかう」だけ。

バレットなどは遠隔で延々と攻撃できるキャラなのに、偶に何もせず休んでいたりするわけです。
「いや貴様が休んでられる時間なんてないぞ」というかんじなんですが。

ともかくこの「操作していない間の仲間の頭の悪さ」は地味にストレス要因となりました。
攻撃、回復、補助、くらいの設定があっても良かったと思うのですが。

また、ゲームを進めていくとできることも拡張され、
「エアリスに『じかん』マテリアを持たせて、ヘイストをかけつつ雑魚敵の動きをスロウで阻む」
といった戦略的な行動もとれるようになるんですが、これも最初の数回こそは楽しく、
「せんせいこうげき」マテリアで開幕ヘイストを可能にしたりと工夫も凝らしたりするものの、
何度も繰り返しているうちにやっぱり「これ自動化とかできんのかな」という気分になります。

例えば戦闘開始時に使うアビリティ、HPが減った際に使うアビリティ、
MPが減った際に使うアイテム、等を個別に設定できるだけでも、戦闘を繰り返すのが楽になり、
ゲームの戦略性も向上するはずなのですがそれも出来ません。

この、「これ自動化とかできんのかな」という考えが浮かぶたびに頭によぎったのが、
「これ素直にガンビットシステム使ってた方が面白かったんじゃ」
という考えです。

「ガンビットシステム」はFF12で採用されていたシステムです。
同作はアクション性は一切ないものの、戦闘中も操作キャラを自由に移動させることが可能で、
「自分がこのキャラクターを操作している手触りを与えつつコマンドRPG的遊びをプレイできる」ゲームでした。

プレイアブルキャラには「ガンビット」という独自のオート戦闘機能が搭載されており、
「HP**%以下で」などの条件項目、「近くの敵に」などの対象項目、「ファイアを使う」などの実行項目の3種類を組み合わせ、
あらかじめ行動を設定させることが出来ました。
更に優先順位も設定でき、「HP20%以下だと最優先で味方にケアルをうつ」なんてことも設定できました。

流石にこのガンビットと全く同じ機能を持ち込み、各キャラが自動的にATBを消費して行動するようになると、
FF7Rの良さを殺してしまいますが、多少制限した形でも同類の機能があれば、
「アクションを楽しみつつ戦略的に戦闘をこなす」という感触をもっと与えることもできたはずでした。
この点は本当に残念というか、何故過去作にあった「遊び」を参考にしてくれなかったのか、悔やまれるばかりです。

◆いくつもの微妙な調整

このほか、プレイヤーの興奮を冷ますこまごまとした要素が幾つもありました。

まず「とにかく操作の手を止める敵が多い」という点です。

雑魚敵の中には、複数出現したなかに必ずと言って良いほど、こちらの操作キャラを行動不能にする敵が紛れています。
毒ガスで昏倒させるものや、顔や体に張り付いて動きを止めるものなど、やり方は様々ですが、
同じエリアで周回しているとコンスタントにこの「行動不能」を受けることなります。

恐らく「キャラクターの切り替えを促したい」という目的での調整だと思うのですが、
これがとにかく地味にストレスをためる要素でした。

やはり意図的にゲームの操作を奪うというのは、ストレス要素の方が強く、
キャラ切り替えの促進よりもゲームテンポの減滅への影響の方が大きかった印象です。

同様に、悪名高いボス「ヘルハウス」をはじめ、一定時間の「無敵状態」が発生するボスが多く、
能動的な行動を制限させられる局面が何度もありました。
特定の行動で解除されるパターンもありましたが、時間稼ぎを強いられることの方が多かった印象です。

また、ヘイト(敵キャラのターゲット優先順)が、「操作キャラに集中する」という設定もよくありませんでした。
このせいで「エアリス」のようなヘイトを集めたくないキャラは、自分で操作することが憚られます。
ATB消費行動はキャラを切り替えずとも実行可能なため、僕の場合、クリアまで一度もエアリスを操作しませんでした。
この辺りはガンビット同様、過去作を参考にもうちょっとブラッシュアップできたはずで、非常に残念です。

原作では戦闘後も持ちししていた「リミットゲージ」が、戦闘のたびにリセットされてしまい、
「リミット技」を発動する機会が激減した点などもマイナス要因でした。
派手で見栄えのするリミット技の発動を制限しても、ゲーム体験が地味になるばかりです。
ある程度カジュアルに発動させられた方がよかったと思うのですが、どうしてこういう調整にしたのか疑問があります。

上記にあげた点以外にも、細かい「調整不足」が目立つ出来でした。
(例えば、ハードモードで難度を担保するためにアイテムの使用を全面禁止にした点など)

こういった不満点の積み重ねが、本作から爽快さを奪っていったものの正体でした。

基本的なゲームシステムは面白いんですが、調整不足が目立ったせいでどうにもすんなりと遊びにくく、
結果として「中の上」程度の評価に収まった、というのが実態だったという認識です。

テーブルトークRPGで例えるなら、
「とても面白いルールブックなのに、GMがとんでもなく下手くそなため、あんまり楽しめなかったキャンペーン」
といったところでしょうか。
そのうえで、一般的な評価は「ルールブックが期待外れだった」という内容になっていると。

実体とも乖離がありますし、本当はもっと楽しんでもらえたはずなのに、残念です。
個人的に、プレイしながらこれほど「QA(品質管理)をもっと重視すべきだった」と思ったゲームは初めてでした。

それにしても、本作の評価はもっと高くても良かった印象はあります。
熱心なファンの方いがい「面白いんだけど、ちょっとな~」という評価になったのは、
やはりゲーム以外の部分で影響があったと考えざるを得ません。

僕が思うにそれは、「リメイクまでに時が経ちすぎていた」という点です。

◆違いすぎた「FF感」

FF7Rの原作にあたる「FINAL FANTASY7」の発売は、1997年のことでした。
本作発売の2020年の時点ですでに23年が経過しており、当時小学生だったプレイヤーも三十代になり、
社会人でプレイしていた方に至っては、五十代に差し掛かっているほど、時間が経っています。

その間に「FINAL FANTASYといえばどんなゲームか」という一般認識にも変化がありました。

「FINAL FANTASY7」発売の時点では、メインプレイヤーは小学生~高校生の低年齢層でした。
小学校の頃からFC版やSFC版の同シリーズをプレイしてきた子供たちが、ちょうど思春期に差し掛かり始めた頃です。
そういう小中高生にとって同作は、
「クラスの友達もプレイしている、みんな知ってる大人気作品」
という扱いでした。
JPOPの人気アーティストやアイドルなどと同じ、若者にとってメジャーな存在だったわけです。

とうぜん、楽しませ方も「メジャー」なものでした。
手堅いチュートリアル、ちょっと触っただけで分かるエンタメ性、
次から次へと発生するドラマチックなシーン、一目で若者の心を掴むキャラクターデザイン。

普段ゲームをやらない子に「ちょっと遊んでみて」とソフトを貸してあげても、
まず間違いなく満足してもらえるタイトル。

それから四半世紀以上が経った現在のFINAL FANTASYは、当然ではありますが、扱われ方が変わりました。

「誰もが知ってる大人気作品」
は、
「お父さん世代に人気だった作品」
となりました。

「クラスの友達もみんなプレイしているゲーム」
は、
「好きな人は今でもプレイしてる、どっちかっていうと海外で根強い人気のゲーム」
に変わりました。

ゲーム性も当然変化し、
「海外タイトルも視野に入れ、玄人ゲーマーも満足させられる要素をふんだんに取り入れたゲーム」
に変化していきました。
具体的には「13」あたりから、明確に「ゲーマー向け」に方向性を振り切った印象があります。

FF7Rが発売されたのは、同作「15」が賛否両論で迎えられた後のことであり、
プレイステーションで「FINAL FANTASY7」が発売された頃とは、明確に同シリーズに対する
世間的認知は大きく変化していました。

そこに、子供の頃にFF7を遊んでいていた「元子供たち」が、
昔プレイしていたゲームがリメイクされるからと、戻ってきたわけです。
そうして手にしたのがFF7Rでした。

「元子供たち」が想像していた「FF7」は、「メジャー」な頃のもの、
広く子供たちに楽しんでもらっていた頃のものだったのですが、実際に発売されたのは、
「海外ユーザーも想定したゲーマー向けのゲーム」
でした。

ムービーや召喚獣などのビジュアルはしっかり「派手なFF」をやっていたばかりに、
この落差には驚かされるところがありました。

そもそも「7」までの「FINAL FANTASY」は、よくもわるくも「チャラい」ゲームでした。

丁寧なシステムでしっかり土台を構築したうえで、爆発的にダメージを増加させる要素を随所に配置し、
「急激に強くなった」という感触を意図的に与える「エンタメ性」を持ったものでした。

古くは「FF3」の「どんどん増えていくヒット数」などもそうですが、

「数ランク上の装備品を海底洞窟で早めに手に入れダメージが急激に跳ね上がる」(FF3)
「ブリーズビーストが大量に出現するゾットの塔の宝箱に配置されたフレイムソードで一気に与ダメアップ」(FF4)
「リクイドフレイムにブリザラ剣で攻撃してダメージが一気に一桁増える」(FF5)
「ステータスはそうでもないウィザードロッドを装備させたら属性ダメージ上昇効果でカンスト近いダメージが出た」(FF5)

など、「なんだかオレ急激に強くなった気がするぜ!!」と、子供が喜ぶ「チャラい強化」が
随所で発生するようにうまく配置されたゲーム性でした。

当然このゲーム性はFF7にも踏襲されていました。「神羅飛空艇」で「れんぞくぎり」マテリアを手に入れた瞬間、
「お、俺のクラウドはとんでもない領域に突入してしまった……!」
と子供心にテンションが上がったのをよく覚えています。

こういった「チャラさ」がFFの良さのひとつだったはずなのですが、時代が進むごとにしだいに薄れていきました。

少なくともFF7Rは、上記のような「チャラさ」からは背を向けた、
よく言えば「玄人ゲーマー向き」、悪く言えば「陰気で地味」なゲーム性になってしまいました。

この「FF感」の違いによる落差が、リメイクで戻ってきた過去作ファンには「違和感」として受け止められてしまったのでしょう。

◆「FINAL FANTASY 7 REBIRTH」に期待すること

これは非常に個人的な感情論なのですが、昨年大ヒットした「ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム」
をプレイしていて、またその好評ぶりを目にしていて感じたことは、

「昔はこの立場に立っていたのが、FINAL FANTASYだったんだけどな」

でした。

発売日まで心待ちに過ごし、親に買ってもらうとパッケージを開けるのももどかしくプレイに取り掛かり、
当たり前のように徹夜してしまい、眠い目をこすりながら学校に行くと、休み時間に友達たちと攻略情報の交換に精を出す。
友達が自分よりも先に進んでいようものなら、嫉妬と焦りと尊敬が同時に襲い掛かってきてしまう。
くそ、絶対先に攻略してやる。その日も気づけば親の目を盗んで深夜までプレイしていた。そんなゲーム。

それが約30年前は「エフエフ」でしたが、現代は「ティアキン」に成り代わっているわけです。
とうぜん僕も「ゼルダの伝説」は大好きですが、変わってしまった「エフエフ」の立場を見て、
寂しさを感じないと言えば嘘になります。

時代が進み、広く海外までユーザーを獲得した現在では、路線変更や方向性の微調整はなかなか難しいのもわかるのですが、
やはり「FINAL FANTASY」は広く子供たちに喜ばれるタイトルであってほしいというのが、
昔からのファンとしての僕の本音ではあります。

FF7Rに関して言うと、基本的なシステムはとても面白く出来上がっていますので、あとは調整に気を付けて、
FFらしい「チャラさ」をふんだんに用意していけば、必ず新規ユーザーを獲得していける、
広い「面白さ」を提供できるタイトルになると信じています。

「REBIRTH」ではこの調整が「メジャーな頃のエフエフ」となっていることを期待するばかりです。

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