このラノベは盗作だろ、と出版社に電話で問い合わせした件

初めまして。普段はTwitterやブログでラノベに関する情報を発信している者です。

この記事もブログに掲載するために書いたのですが、内容が少しセンシティブな内容となった為にこうして匿名かつnoteで公開させて頂きました。

粗製乱造と言われることも多いラノベ業界。似ている作品は多々ありますが、私は読んでいる中で完全なコピペ(盗作)を発見しました。

買って読んでいるうちにこの2冊は内容が同じだ、と思って検証したところ、黒だと確信しました。

二つのラノベが似ているというレベルではなく、キャラクターの名前をWordなどのソフトで置換しただけと言えるほどのコピペでした。

ページにして50枚分。自分が気付いた部分がその範囲なので実際にはもっとあるのかもしれません。

その件に関して、コピペした側の出版社に問い合わせをしてみることにしました。

2冊分の料金を払って実質的に1冊しか楽しめなかったというのは損失です。それに些細なことであってもこのような案件を見過ごしてはラノベが盗作だらけになりかねません。単純に作品が面白くなかったので怒りが倍増したというのもありますが。

出版社と作家の皆様に「読者だってちゃんと読んでいるんだからな。コピペはバレるぞ」と意見を届けたくなったという気持ちもあります。

パクった作品の題名はこの記事では伏せておきます。しかし出版社とレーベル名は出します。

コピペした側のラノベレーベルは集英社のダッシュエックス文庫です。

最初にダッシュエックス文庫編集部のメールアドレスに「これはコピペなのでは」という内容の問い合わせメールを送りました。

二週間経過して返信がなかった為、電話してみることにしました。

平日の昼11時頃に 03-3230-7755 の集英社読者係に電話をかけました。

窓口の女性(名乗らず)が応答。


「御社の作品についてですが、他の出版社が出している作品と文章がほぼ同じ。人物の名前が変えてあるだけでコピペといっていい内容になっている小説を発見しました。」

「はい…作品名をお教えいただけますか」

「ダッシュエックス文庫の○○〇です」

「かしこまりました。少々お待ちください」

その後、保留(3分50秒間) そして別の女性(苗字を名乗った)に変更。

「意見は伺いました。該当の作品ですが…20××年発行で続編の予定もなく、現在は休止している状況にありますので…はい…その…」

※休止している状況にありますので…の後に続く言葉を待ったが何も言わず互いに無言状態になる。無言状態が続いたのでこっちから質問。

「電子書籍として販売されていますが販売休止や返金といった対応を取る予定はないのですか?」

「こちらは総合窓口になるのでそういった対応について回答できない。ダッシュエックス文庫の方に問い合わせしてほしいのですが…」

「ダッシュエックス文庫の問い合わせ窓口に2週間前の〇月〇日の〇時にメールで同じ内容をお伝えしたのですが、そちらから返答がない状況となっています。そのためこちらに電話したのですが」

「そうでしたか。ではこちらの窓口の方からいただいた意見をダッシュエックス文庫の方に転送してお伝えしておきますので…はい」

このまま終わるとうやむやにされそうだと思ったので更に突っ込んで聞いてみることに。

「ダッシュエックス文庫に直接TELすることは可能ですか?」

「はい。電話番号は○○です。ただ午前中は出社していないものが多く、お昼を過ぎた午後に電話した方がつながりやすいと思います」

「わかりました。電話してみます」

--電話終了--



ここから先は個人の見解と感想です。

コピペの詳細に詳しく聞かれなかったのが少し疑問でした。「どんな作品ですか?」「何処の出版社ですか?」「どの部分ですか?」と質問されると思ったのですが。

そして×年前に発行されて続編の予定もないから……の後に続く言葉はなんだったのか。「今更対応できない」が文脈から浮かびます。

古いコンテンツが再始動する今の時代に「×年前に発売されて、それ以降休止している作品のコピペを今更掘り返すな」と言いたいのでしょうか。

集英社だって「ダイの大冒険」といった10年以上休止していたコンテンツを再始動させているのに。

それに、その理屈が通るなら数年間バレなければコピペしてもOK、となってしまいます。9巻、10巻とシリーズが続く中で1巻、2巻のコピペが発覚したらシリーズが打ち切られるでしょうが、最初から単刊完結の作品なら売り逃げ上等になってしまいます。

というわけで午後になってからダッシュエックス文庫に電話してみることに。



13:30 に電話。最初の女性に要件を伝えると保留される。

保留1分ほど。男性に交代。

ダッシュエックス文庫を買ったら他の出版社から出ている作品と文章がほぼ同じ、キャラの名前が変えてあるだけで他はすべて一緒だ、と説明。

「コピペされている作品というのはどの作品ですか?」

「ダッシュエックス文庫の○○です。コピペされた側のは××社の△△文庫で○○という作品です」

「その作品からコピペされている…ということですか?」

「そうです。範囲にすると50ページほどです。○○ページから○○ページのあたりです」

「そうでしたか…」

「ダッシュエックス文庫の問い合わせ窓口に2週間前の〇月〇日の〇時にメールで同じ内容をお伝えしたのですが、そちらから返答がない状況となっている。メールは届いていませんか」

「すみません。すべての問い合わせに対応はできていないので現段階でメールは把握していません」

「…わかりました」

「あなたは○○社の作家や○○社の社員ではなくて読者様でいらっしゃいますか」

「そうです。読者として、買った2冊を読み比べて気づいたという形です」

「そうでしたか…かしこまりました。今は○○(作家の名前)の担当編集がいないのですぐに確認できない。こちらの方で今後の対応を協議して電話、またはメールを差し上げます」

「わかりました。失礼します」

--電話終了--

ここから先は個人の見解と感想です。

集英社総合問い合わせ窓口からダッシュエックス文庫編集部の方には連絡がいってないのでしょうか。昼を挟んで2時間以上あったのだから伝えることはできなくもないと思うのですが。

そして対応を協議して返信するといった割には連絡先を聞かれませんでした。電話は番号通知しているしメールも「〇月〇日の〇時に送付した」と伝えたので遡って調べることは容易なので電話及びメールでの返信は可能ではあるけど。

問い合わせ窓口から届いたメールをすべて読んでいない、という回答は本当だろうか。ラノベ編集部のメールアドレスには「俺の小説を書籍化しろ」みたいなメールが毎日のように届いているとは思うけど、それでもメールをすべて確認しないというのは会社の対応としておかしいのでは。

この電話から一か月間、何も返信はありませんでした。

ただし、動きはあって該当の作品の電子書籍版は販売停止となりました。Kindle、ブックウォーカーといった各種サイトでは検索しても作品名が出てこなくなりました。Amazonの実本の販売ページはありますが、古い作品のように中古販売しか出てきません。

私が電話する前ではまだ購入出来る状態だったことは確認しています。どの時期に販売停止になったのかは把握できませんでしたが。

そこで再度、電話してみることにしました。ダッシュエックス文庫にです。



「はい、ダッシュエックス文庫編集部です」

「△△と申します。〇月〇日に問い合わせの電話をした者です」

「はい。問い合わせというのはなんでしょうか」

「××という作品が他の作品からコピペされているという件についてです。前回の電話の際には担当編集が居ないという形で、戻り次第協議して返答すると返答されましたが、一か月経って返答がなかったのでこちらから電話しました」

「かしこまりました。少々お待ちください。」

1分半ほど保留。同じ人が出てくる。

「お待たせいたしました。担当編集もおらず、前回電話を出た者も居ないので、私がお受けします」

「前回の話では返金や回収と言った対応については協議中とのことでしたが、その件についてはどうなりましたか?」

「はい…少々お待ちください」

30秒ほど保留。同じ人が出てくる。

「該当の作品は今後の続刊や増刷の予定はなく、電子版も各社サイトに連絡して販売停止の措置を取っている。実質的に販売終了状態となっています」

「はい」

「…………」

「…………」

「私の手元にその本があるわけですが回収するつもりはないのですか」

「回収する予定はありません。一部の書店や通販サイトに在庫が残っている可能性は否定できませんが、それを回収する予定もありません」

※ちなみにヨドバシカメラの通販サイトでは3/18の時点で在庫ありで購入できる状態になっています。

「返金対応もですか?」

「返金対応は出来ません。お手持ちの本を送られても返金は出来ないです」

「電子版を販売停止にしたということはコピペであるということを認めることですか?」

「それについては回答できません」

「コピペであるなら回収や返金といった対応をすべき案件ではないですか?」

「それについては回答できません」

「わかりました…それでは失礼します」

「はい。失礼します」

--電話終了--



対応としては上記の通りでした。

ここから先は個人の見解と感想です。

対応としては片手落ちだと思いました。

コピペであることを認めて電子版の販売を停止した、というのは納得出来ました。

ただしコピペであったことを認めず、回収や返金といった対応をしない、そして公に声明を出すような形で謝罪する気はないという点はどうなのかと思いました。

全てをうやむやにしてしまえばいいという本音が隠せていない対応でした。

他の作品をコピペしてもバレなければいい、バレてもヒットしなかったのならうやむやにしてしまえばいい、

ラノベがそんな不健全なコンテンツでいいのでしょうか。

パクラレた側の出版社にも一応連絡はしました。そちらでは電話対応をしておらず、メールを送ることしか出来ませんが返信は一度もありません。

これ以降の進展は難しいと思われます。

前述しましたが、私はラノベに関するブログを運営している者です。

私の他にもラノベに関するブログを運営している者はたくさんいます。その中には私が発見したコピペ作品とコピペ元の作品の二冊を読んでいる人も居ました。

その人の感想を読むとコピペに全く気付いていないようでした。読めば一発で気付く量のコピペを見落としたとは考えにくいので、

本をちゃんと読まずにエアレビューをしているか、気付いたけど見なかったことにしているかのどちらかと思われます。

その人はラノベの帯にコメントを寄稿するなど、かなりの大手といっていい人です。

そんな人ですらこんなお粗末なのか、と失望しています。

あるいは癒着というのもあるのかもしれません。出版社から帯を依頼されるようになった人が、不正を見つけたからといって弾劾したら出版社との関係性が悪化してしまう…というのも想像できます。

私としては集英社と同じくらいにそのラノベレビュアーに失望しています。いつものブログではなく、こうして匿名を使って捨て赤で記事を投稿している私も偉そうなことを言える立場ではありませんが。

私は現在、消費者センターに事の次第を通報して連絡を待っている状況です。消費者センターがどのような対応を取るのか、現段階ではわかりません。

集英社に是正命令を出すかもしれませんし、お咎めなしとなるかもしれません。

ちなみに弁護士ドットコムで問い合わせしたところ、消費者センターに電話するのがいいと助言を頂きました。

続報が入り次第、追記する予定です。

この記事が話題になって、集英社の偉い人の目にとまったり、ダッシュエックス文庫が「これはもう隠せない」と判断して腰を上げたり、そんな可能性も考えてはいますが、期待は出来なさそうです。


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