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山田君 不動産で世を渡る(プロになる)※宮城県松島のホテルで大失敗VOL10

契約の相手方の3人、社長、役員、経理担当と我々3人は立ち上がって名刺交換をした。契約関係書類は役員と経理担当があらかじめ案内した契約書類を用意していて、俺は重要事項説明に入っていった。

すると突然ヤクザ男が部屋に入ってきた。「たかだか5億ぐらいの契約でお前らなんでこんな大人数で来ているんだ。」と第一声。服装はもろに昭和のヤクザを演出して、スーツの上着を袖に通さず肩にかけている。

みんな黙ってしまった。俺は「ほら、お出でなすった。」と。予感はしていた。相手社長は黙っている。
俺はこの間はありがとうございましたと挨拶した。この手のヤクザは全然怖くない。逆に笑ってしまう。
笑顔の俺に対し、ヤクザ男は「続けてくれ」と言った。

その後相手先の経理担当の準備がよくて売買契約はすんなり済んだ。
ヤクザ男も何ら口出ししてこなかった。
こちら側の事前準備が功を奏して相手先の経理担当と合意ができ、契約行為に割り込む隙を与えなかったためかなあ。
まあヤクザ男も自分のせいで契約が壊れたら社長のメンツを潰すことになる。そもそもお金が目当てで、自分の不利益にあるようなことはやらないでしょ。そりゃバカでもわかる。
なにはともあれ俺はとうとう松島のホテルを契約してしまった。


契約後に中華料理をごちそうしてくれるかな。という甘い期待は裏切られ
京王線に乗って新宿に向かった。精神がつかれた。なにも考えられない。今日は早めに上がろう。会社に戻った俺は書類を机の引き出しの中にいれ、鍵をかけた。

喫煙室でたばこを吸っていると、同僚の麻雀仲間が入ってきた。奥さんから虐げられて家に帰りたくない夫である。彼の奥さんは潔癖症で、家に上がるのも一旦犬の足洗い場で手足を洗わないと入れてくれないらしい。
かわいそうなので麻雀に付き合ってやることにした。
場所は新宿西口、パチンコジャンボの入ったビルの4階の「葵」である。

広いフロアに麻雀卓同士の間隔も広くとられていて、遊戯環境の非常に良い有名な雀荘である。
難点は知合いにちょくちょく会う。「こいつまた来てやがる。」
きっと相手もそう思っているに違いない。

疲れていて、帰ればいいものの結局終電に乗って帰宅した。まあ勝ったからいいや。



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