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ひとにはどれだけの土地がいるか

昔、ロシアにパホームという農民がいて、パキシール地方ではべらぼうに安く土地が手には売るという話を聞きつけ出かけて行った。本当に安かった。

1,000ルーブルの金を先に渡し、ある丘を日の出に出発し、欲しい土地の周りを歩いて、日没までに戻ってきたらその土地を貰えるといわれた。

早速、翌朝出発した。歩いていくといい土地がいくらでもある。もう曲がって戻ろうとすると、その先にもっと肥沃な土地があり、なかなか戻れない。日が傾きかけたのに気づき、あわてて駆け戻るが、丘の上についたとき精魂尽き果てて倒れて死んでしまう。

そして、頭から足まで入るだけの大きさの墓穴に埋められる。これがパホームに必要な土地だったのである。(トルストイ民話集)



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