見出し画像

招かざる訪問者との物語③

【かかりつけ医への相談】No3
翌週月曜日、会社を急遽お休みし、かかりつけ医のK先生に改めて相談した。膵臓の腫瘍疑いの所見にあたり、近隣大学病院へ紹介状を書いて頂いたのだった。しかし先週受診した大学病院では、MRI検査予約が1ヶ月先。更に1週間後に膵臓専門医の診察予定で、随分と検査、診察迄に時間を要するため、その不安を伝えた。先生も少し驚き「だいぶ検査が先なんですね。膵臓の所見では、場合によって足先が早く進むケースもありますのでね。そうですか。診察された先生は、まだ若い先生でしたか?」と質問された。「そうです。比較的若い先生でした。」と不安な気持ちで答えた。
大学病院などの場合、初診対応は紹介状や問診で診療科を振り分け、検査を予定表を見ながら調整し、専門医へ繋いでいく診察システムが多い。効率良く診療する為にベストなやり方だと思うが、ルールに従い診察予定が組まれる。しかし私のような所見では、検査を待つ間に病状が悪くなる懸念もある。
そんな心配を抱え、ふとA大学病院のことが浮かんだ。
15年前、私は、営業所長として都内病院営業所を担当していた。都心の私立大学病院の中で、公私共々お世話になった思い出深いA大学病院。確か以前、胃内視鏡検査やMRI検査をして頂いたこともあった。
私は、主治医K先生に「もう一度、A大学病院に紹介状を書いて頂けないでしょうか?」とお願いした。先生も「あなたが希望するなら直ぐに紹介状を書きましょう。」と行って下さった。A大学病院ホームページ外来表を確認すると、消化器内科膵臓専門医は、I教授で、本日ちょうど月曜日は、外来をされていることが分かった。K先生にI教授宛の紹介状を作成頂き、直ぐにバスと電車を乗り継いでA大学病院に向かった。今なら午後の診察に間に合うはず。自然と小走りになって目的地を目指した。
A大学最寄り駅から大学病院までは、徒歩5分。懐かしい街並みは、昔と変わらず病院を行き来する人々で溢れていた。

                  つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?