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招かざる訪問者との物語⑥

【精密検査 超音波内視鏡検査】No6
翌週月曜日にA大学病院に再来し予約していた超音波内視鏡検査を受けた。前日午後9時以降絶食し、検査当日は午後から検査だったので、随分とお腹が空いていた。病院では、受付を済ませて、内視鏡検査室に入る前に検査着に着替え、検査室では、ベッドに横になった。マウスピースを咥え、左側に横になり、左腕に麻酔を注射されると意識は無くなった。名前を呼ばれ目を覚ました。内視鏡検査は全て終わりマウスピースも外されていた。少し喉の奥に違和感はあったがストレス無く無事に検査が済んだようだ。麻酔のせいか、身体は怠さを感じたが、徐々に意識もしっかりして会計を済ませて病院を出た。

クーラーの効いた病院を出ると、サウナ風呂のような熱気がムッと襲ってきた。まだ夏本番前にもかかわらず、ここ最近、35度を超える日が続いて、とにかく暑い。
駅前のラーメン屋に寄って急いでラーメンを食べた。朝から何も食べていなかったので、偉く美味い。醤油スープを飲み干して深く息を吐いた。3食口から食べることは幸せなことだとしみじみ感じる。

最寄り駅から電車に乗ると乗客はまばらであった。空いている席に座って車内を見回した。午後4時を少し回り、この時間帯に電車を乗ることも無いので、人間観察するのも面白い。小さい男の子を連れたお母さん、営業で外回りしている若いサラリーマン。買い物袋を一杯抱えたデパート帰りの婦人。楽しそうにぺちゃくちゃお喋りしている女子高生達。穏やかな日常の風景が懐かしい学生時代と重なり愛おく感じる。
普段は出会うことも無い、名もなき人々。今この場にいる自分もそんなこの世の1人に過ぎないのだ。人それぞれ色んな事情を抱えながら、そんな心模様はお首にも出さず生きている。
電車とバスを乗り継いで我が家前のバス停で下車した。
夕焼け空が美しい。今日一日、無事に過ごせたことに感謝する。

                つづく

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