びんごぼんご92

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最近の記事

小話5

導入がさ、 うみねこのなく頃にを思い出しちゃった。 かがみの特殊少年更生施設、めちゃめちゃ楽しいです ※※※ その日、唐突に絶縁の手紙が届いた。 彼とは中学の友達の一人で、大人しい気質同士と漫画が好きな点で気が合った。 彼の描く世界観に魅了された一番の読者だった私と彼。 私たちは間違いなく、学校という小さな箱庭の中の数少ない同志だった。 あの事件が起こるまでは。 その日も夕闇が迫る頃だった。 陽があたる世界から隔離されるかのように忽然と居なくなった彼。誰もそれを咎め

    • 小話4

      『不条理』 採用通知を手にして喜んだ日を覚えている。 あれが地獄の始まりだった。 始まりは無視。 次は仲間はずれ。 その次は仕事を私だけ外して他の人たちに根も葉もない噂話での孤立。 それから備品隠し。 公然の嫌がらせは公認の嫌がらせに変わる。 ため息を吐きながらこの10年を振り返る。 泣いたなー。 乾いた笑いを死んだ目でしながら求人を読む。 証拠を揃えて訴えた日もあった。 喧嘩両成敗って、一方的にやられただけで あちらの言いがかりを信じるの? なんて日もあって、なん

      • 小話3

        君の目を見つめると ここに一枚の古びたブロマイドがある。 過ぎた年月をものがたる据えた匂い、今にも破れてしまいそうな色褪せた写真には大輪の花のように美しく微笑みを溢すスタァの姿が映っていた。 この笑顔の裏での苦労を微塵と感じさせない。 見る人全てを笑顔にする、そんな完璧な笑顔。 その胸のうちを知るからこその尊さを思う。 『おばあちゃんってすごい美人だったんだね』 葬儀の用意で慌ただしく動いていた母が休憩に来た部屋に、先程片付けで見つけたこのブロマイドを見せる。 母は

        • やってらんねぇ。

          健康だけが取り柄だと思っていたから不整脈ですねなんて医者に言われた時は宇宙猫の気分だった。 おいおい、まじかよ、何が原因だよって調べたらストレスだってなもんだから『明らかに会社じゃーん!!』と携帯片手にトイレで声が出た。トイレから聞こえる叫び声。怖い。ウケる。 今もシャチョーが癇癪起こして大暴れしている。 お前ほんとふざけんなよ、こちらに関係ないだろうが何が『俺は体が痛いのに』ってその理由は。 床にばら撒いたクリップ拾えとぎゃーわー大声でキレまくっている。他人が見てたら面

          小話履歴2

          満天の星空なんて都会ではほとんどご縁がない。 高層ビルにネオンライトが煌々と輝く不夜城では 星の微かな瞬きは掻き消えてしまうだろう。 今日も残業を終えた帰り道。都会の片隅でひっそり生きていると、ふと別世界に行きたくなる。 異世界転生が流行る理由なんてこんなものかも知れない。日常に疲れた人はふと、全く違う世界に生きる自分に夢を馳せることでなんとか必死に生きている、そんな。 銀河鉄道に乗ってみたいな。 ジョバンニのように、あるいはカンパネラのようにそのままどこか遠い世界に。

          小話1

          テスト投稿してみたい。 胡散臭い神職者っていうとどうしても声が子安さんか石田さんになるなぁという妄想からの産物でも。 『大事なものは瞼の裏に。』 『本当に大切なものは目に見えないんですよ』 片田舎の小さな教会の牧師様は、ニコニコしながらそう仰った。人の良さだけが形作ったような、掴みどころがない浮世離れした目の前の牧師は、実は世俗の穢れと誰よりも向き合っている。 今この場にいる生きる事に疲れて懺悔を前に、この牧師はにこやかに微笑むとそう告げたのだ。 『大切なもの…で