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ハツカネズミと人間

初めまして。
この度noteを始めてみました。
特にジャンルを絞らず好きなことを色々書いていければと思います。

今回はJohn Steinbeckの「ハツカネズミと人間」(Of Mice and Men)を読んだので、その感想を書いていきたいと思います。

⚠︎ネタバレ注意⚠︎

Steinbeck(以下スタインベック)は20世紀のアメリカの小説家です。詳しくは分かりませんが、自然主義を重視した小説を書いたそうです。代表作には「怒りの葡萄」(The Grapes of Wrath)や「ハツカネズミと人間」があります。聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

「ハツカネズミと人間」の主人公は小柄な男、George(以下ジョージ)と大柄で頭の弱いLennie(以下レニー)の2人です。2人は渡り労働者でカリフォルニアの様々な働き場を転々としますが、この小説ではある親方の働き場が舞台です。そこには黒人のCrooks(以下クルックス)、老人のCandy(以下キャンディ)、親方の息子Carley(以下カーリー)など個性豊かな労働者がいました。それぞれ共に働きながらもどこか緊張感のある関係性です。ジョージとレニーには夢がありました。それは自分たちの小さな農場を買い、小さな家を建て、ウサギなどを飼いながら「土地のくれるいちばんいいもの」をもらって暮らす、というものです。



⚠︎以下ネタバレ注意⚠︎



ある日、ひょんなことからレニーはカーリーの妻を殺害してしまいます。怒り狂ったカーリーは仲間を引連れ、逃げ出したレニーを殺しに追いかけます。レニーは頭が弱く、仕事で失敗する可能性があったため、その時のためにジョージと事前に逃げ隠れる場所を約束していました。そこで息を潜めていたレニーですが、なんとそこに現れたジョージの手で銃殺されてしまうところで、物語は幕を閉じます。


まず何がすごいかって、最後のシーンへのお膳立てが完璧な点だと思いました。本当にこのシーンを描くための伏線の張り方が尋常じゃないです。レニーが以前にも女性を殺しかけていたことの示唆、わざわざ避難場所を約束していたこと、カーリーとのギクシャクした関係性描写。全てがレニーの殺害の為に準備されています。私は最後のあまりのスピード感、緊迫感に、ジョージが相方であるレニーを殺してしまう理由が、面倒を見ていくのが嫌になったからだと勘違いしてしまいました。よく考えてみれば、カーリーとその仲間にリンチにされる最悪の状況から救うためであったと思われます。物語の最初からジョージはレニーに対して冷たい態度をとっているので、混乱してしまいます。しかしその冷たい態度は本心だったのでしょうか。本心であれば自分で手を汚す必要はなかったはずだなあと。

最後の衝撃で忘れてしまいがちですが、この小説は全編を通して「マイノリティ」がキーワードになっているでしょう。黒人で身体障害者のクルックス、老人で身体障害者のキャンディ、知能障害を患ってるともとれるレニー、働き場で唯一の女性であるカーリーの妻など、社会的マイノリティがたくさん登場します。途中にはこの4人が集まって会話をする件もありました。そもそも労働者というのが社会的に低い立場にありましたので、そういう意味でも少数派が多いです。20世紀前半のアメリカでのこうした格差などを表現しているのでしょうか。

また、ゴールドラッシュとの関係も面白いです。途中で出てくる「American River」はゴールドラッシュの発端となった川であることはとても直接的です。加えて、資金提供をしてくれることになったキャンディがゴールドラッシュを象徴しているのではないかなあとも考えました。ジョージとレニーにとってキャンディの資金はとても期待を膨らませるものでしたが、結果失敗してしまいます。これはゴールドラッシュに便乗して移住したはいいものの成功できかなった当時のアメリカ、イギリス人と同じ構造なのではないでしょうか。


本当に感想を書くだけになってしまいましたが、この辺で終わりにしようと思います。実はこの小説でレポートを書きました。その際参照した論文も面白いものが多かったので紹介したかったのですが、長くなりそうなので断念します、、
文学に限らず色々なことを書いていきたいと思うので、お暇があれば少し覗いて見てください。
もうすぐあるアーティストのライブがあるので、そのレポも書きたいと思ってます。

では、良い一日をお過ごしください。

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