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思春期の頃

冴えた色をまとった
あの世界の華やかな
その香りにぼくたちは勇気をもらった
励まされた夢を見た大空を見上げた
そしてまたデカイ墓石でつながった蛇口の水を今日も飲み口逆さにあげてそれが当たり前かのように顔を洗う喉を潤す。

野球部は頭から水をかぶれてとてもきもちよさそうでうらやましかった。


ウォータークーラーは順番待ちでなんだったら気の毒にきらわれてる先輩の並んでる列にはならばないなんてそんなことを平気でくちばしる女性ともいて

聞こえてしまいそうでもし私がそうおもわれたら悲しくなるから絶対に私は口には出さなかったし思いも依らない意地悪を平気で言えるその子達はなんでそんなに無神経に言葉を発せられるのかふしぎだった。

じぶんは、墓石蛇口で水を飲むことも顔を洗う、こともなしていない。
足洗い場、だと思っていたしあいにくタオルなんぞ持ち合わせていなくて。
うちにあるタオルはなんだか皆がもちあわせているモノとはかけはなれているように感じていたのでそれが面倒で持っていなかったのかも。更のタオルは水を弾き肌馴染みが悪くまた極端に分厚く上等で普段使いのはどうも親父の旅先ものの持ち帰りおまけに柔軟ざいなんてしゃれたもんうちにはそんな概念じたいなかったからどちらにせよカシカシシカシカしたもん年頃のもんが使うにはあまりにみすぼらしくて…‥
あるものなんて使えやしないと信じていた。

あのときまでは。

かのじょはよくわらう少し意地悪も言うし私にライバル視さえしてすぐに拗ねるので厄介に感じた友人にするにはちょっと距離を起きたくて
そんなこだったんだけど、よく観察してみると半透明のタッパーにどっちゃりとつめたまるで冷蔵庫に保存するために一時的につめた家族のためのおかずみたいなのをそのまま学校持ってきてまるで主婦の昼飯ってのをなんとも中学生がもつには艶かしいようなばば臭いようなそんなハンケチでつつんできたのをなんの臆面もなくひろげて満足そうに食べている
なんて素直な生きざまの女なんだとあっぱれ尊敬心が湧いたんだ。

つよいやつってこれだよって。

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