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中国軍はますます共産党の軍隊になる

 私は日頃、日本の新聞記事を読んでいて不思議だと思うことがあります。
 中国軍のことを「中国人民解放軍」と呼ぶことです。
 「自衛隊」は自分たちの国の軍隊だし、憲法で「軍隊」は存在しないことになっていることもあり、当然「自衛隊」と呼ぶべきだと思っています。左右双方の立場で納得できるでしょう。
 でも、外国の軍隊はどうでしょう。正式名称を使うのはほぼ中国軍だけと言っていい状況です。
 例えば、ハマスのテロ攻撃に対して反撃しているイスラエルの軍隊のことを「イスラエル防衛軍」と呼んでいるでしょうか。
 各国には「防衛軍」だけでなく国名に「連邦軍」「国防軍」などを付けて正式名称とする例が大半です。

 英語の新聞を見ていると、たいていこれらの略称が出てきます。だから、最近の記事でもイスラエル軍のことを”IDF”と表記しています。この延長線上で、英語のメディアは中国軍のことを”PLA”と書いています。“People’s Liberation Army”の略です。英語メディアは自衛隊のことも”SDF”と記します。”Self-Defense Forces”のことですね。
 だから、問題はないとは言わないものの、英語メディアでは全体の整合性は取れています。

 しかし、日本メディアはどうでしょうか。「イスラエル防衛軍」と書かないのに、「中国人民解放軍」という書き方はおかしいでしょう。いや「中国」すらなく、「人民解放軍」としている場合だってあります。

 毛沢東の時代から「人民解放軍」という言い方に馴染んでいるということかもしれません。しかし、特定の呼称にはイメージというものがどうしてもつきまといます。左翼が全盛だった時期の幻想と共に「解放」に肯定的な意味合いを感じる人はいまだに多いのではないでしょうか。
 予備知識がない子供が「中国」「人民」「解放」「軍」という文字を見れば、「中国の人々を自由にする軍隊」と解釈するでしょう。
 中国軍は、ウイグル、チベットを占領し、虐殺してきました。決して「解放軍」ではありません。

 前置きが長くなりましたが、ここから本題です。
 中国軍は歴史的に見ても、今の実態においても「中国共産党軍」です。
 中国軍の創設は公式見解として、1927年8月1日。中華人民共和国の建国は1949年10月1日です。
 国ができるよりも先に軍があるわけです。
 政府高官よりも軍司令官の方が偉そうにしているのは当然のことです。
 ここから先は中国官制メディアの最新情報です。

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