骨格筋について


今回の投稿は神経による調節と筋線維の組成についてです!

運動単位

1本の運動ニューロンに支配される筋線維群を運動単位motor unit:MU、neuro muscular unit:NMUという。
1つの運動単位を作る筋線維の数は筋によって異なる。
そして1本の運動ニューロンが何個の筋線維を支配しているかを神経支配比とよび、一般に精密微妙な運動を行う筋(眼筋や手指など)は神経支配比は小さく、粗大な運動を行う筋(大腿や体幹など)は神経支配比は大きくなる。
※手内在筋は数個ほどで、殿筋は約200個と言われている。

筋線維組成

①遅筋線維(ST線維、typeⅠ、SO線維(slow twitch oxidative fiber))
収縮速度→遅い
収縮力 →小さい
疲労耐性→最も高い
毛細血管が多く有酸素性代謝によるエネルギー獲得に適した能力が高い。
姿勢保持筋など持続力が求められる筋に多い。
※脊柱起立筋(頚、腰部)、肋間筋、咀嚼筋、三角筋、僧帽筋下部、腸腰筋、股関節内転筋群、ハムストリングス、ヒラメ筋

②速筋線維(FTa線維、typeⅡa、FOG線維(fast twitch oxidative glycolytic fiber)
収縮速度→速い(FG線維と同じ)
収縮力 →ST線維より大きい
疲労耐性→高い
SO線維とFG線維の両方の性質を持つ。解糖系酵素活性と酸化系酵素活性が高い。
※腹直筋、上腕二頭筋、大殿筋、外側広筋、内側広筋深層部、前脛骨筋

③速筋線維(FTb線維、typeⅡb、FG線維(fast twitch glycolytic fiber)
収縮速度→速い
収縮力 →大きい
疲労耐性→最も低い。
解糖系酵素活性が高く、細胞内グリコーゲン貯留も多いので無酸素系エネルギー代謝に適する。
※眼輪筋、上腕三頭筋、前鋸筋、内側広筋表層部、腓腹筋、足底筋、長指伸筋

参考文献:整形徒手理学療法

神経系による調節

中枢神経系による調整は3つの機序により行われる。
大きな筋断面積を有していても神経系による調節が上手く機能しないと大きな張力は発揮できない。
俗にいう「運動神経が良い」というのはこの神経による筋の調節が上手く体をイメージ通りに動かす事ができることを指すと考えます。

①動員する運動単位の種類と総数による調節(Recruitment)
まず1個の運動ニューロンが支配する筋のグループを運動単位と呼ぶ。
例えば30本の筋線維がある筋肉で、1個の運動単位が5本だとするとその筋肉は6個の運動単位を有することになる。
弱い力を発揮する時は1個の運動単位だけを働かせて、力が強くなるにつれて動員する運動単位を3本、5本と増やしていく。

サイズの原理
筋の張力を弱い力から徐々に増加させる時は小さな運動ニューロンから動員される。すなわち弱い筋力を発揮する時はS型の遅筋線維から動員され、大きくなるにつれてFR型、最大収縮力発揮時においては最大サイズのFF型が順次動員される。
※急な運動や伸張性運動、電気刺激による運動は例外となりS型よりF型が先に動員される。

参考文献:身体解剖学

②α運動神経発火
頻度による調節(Red coding)
1回の神経発火に対して筋が示す一回の収縮を単収縮という。
連続的な神経発火に対して筋が完全な弛緩を挟まず収縮し続けることを強縮という。
強縮においては一定の水準までは発火頻度が高くなるほど強い収縮力が発揮される。ただし一定の水準を超えると筋収縮に変化は見られなくなる。
※この水準はS型線維よりもF型線維の方が高い。

③運動単位の活動時相による調節(Synchronization)
運動単位をどのようなタイミングで働かせるかで調節をする。
例えば3つの運動単位の活動タイミングを少しずつずらせば収縮力は弱いが一定の滑らかな運動ができる。(非同期化)
これを3つの運動単位同時に活動させると大きな収縮力を発揮することができる。(同期化)
ただし同期化した場合の大きな収縮力に持続力はない。
同期化の例として最大筋力を発揮している時の振戦がある。
他にも精神的な緊張や疲労時の振戦は非同期化の乱れや筋収縮力の低下を同期化で補うことで起こる。

参考文献:身体解剖学

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