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親戚のおじさん

この日のラジオのテーマが「面倒くさい人」でした。みなさんの周りにも「面倒くさい人」っていますよね?笑

私は真っ先に、遠方に住む父方の親戚のおじさんが浮かびました。

自称経営者、山をいくつか持っていて、そこで採れたみかんやお茶の葉を売っているおじさん。80歳を超えた今でも動ける範囲でお商売をしているという。

家族含め、親戚達から面倒くさい人認定されています。しかし本人はそんなことには全く気づいておらず、面倒くさい人なのだがなんだか憎めない、というおじさんなのです。

子供の頃は3日〜4日ほど我が家に滞在して、豪快な儲け話を繰り広げていました。

しかし、母は「儲け話は嘘っぱちよ」とよく言っていました。自慢好きで、見栄っ張りなのよ、と。自慢する割にはみかん一つ送ってきたことがないし、泊まりに来ても手土産すら持ってきたことがない、財布の紐は誰よりも堅いのだとこぼしていました。

数年前に一人暮らしになってからというもの、二日置きに実家や親戚の家に電話をかけてきて、こちらの話は聞かずに自慢話ばかりしているという。

そんなおじさんの家に、顔を見に行った日のことです。


夜が明ける前に実家を出発。おじさんの家は一度だけ行ったことがありますが、ほとんど記憶にありません。片道5時間以上の道のりを父と交代で運転して行ってきました。

家に到着すると、待ち構えたおじさんが、さあさあ上がれ!とソファーとこたつのある和室へ通してくれました。

朝早くに出たので、家族三人疲れていました。挨拶をしてお土産を渡し、ソファーに腰を下ろすと、
「今年のみかんはよく売れたのさ〜」
と早速自慢話。

息つく間もなく喋り通しである。5分で飽きてきた。

しかし大儲けしたと話す割には、家の中は羽振の良さそうな気配はない。庭の隅に置いてある車もかなり古い。

母と頃合いを見計らって、「おじさん、少し休みたいな」と言うと、「そうか、そうかー、それなら2階でゆっくりしたらいいよ」
と2階へ案内してくれました。

やっと休める…と思ったら。2階の部屋にある箪笥の引き出しを一番上から順番に引いて、
「これは、おばさんの着物でな、◯◯万もしたんだよ〜」
と着物を広げて自慢話が始まった…。

ここからも長かった。やっと少しだけ横になって休んだが、おじさんの声が頭の中でぐるぐるまわって休まらない。下にいる父はおじさんの話に相槌を打っているのだろうか。


お昼ご飯時になり、下に降りると
「今日は鰻でもご馳走しようかと思ってるのさ〜」
とおじさん。

「いえいえ、そんな高いものいいですよ」
と母が言うと、
「そうかい?せっかく連れて行こうと思ってたんだけど〜」
と、おじさん。残念そうにおじさんが冷蔵庫を開けると。

アルミに入った火にかけて作るだけのうどんがきっちり四人分入っていた。

母が白けた目で私を見ている。

鰻なんて連れていく気なかったんじゃん。


食べ終えると「見せたいものがある」とおじさん。倉庫(小屋?)には、自家製のお茶の葉を袋に詰めた段ボールが沢山置いてありました。

「うちのお茶は高級だから、高く売れるのさ〜」「うまいぞ〜」
と袋を見せてきた。お茶好きな母は、目を輝かせていたが、おじさんは見せた手を引っ込めて、袋を段ボールに戻してしまった。

母が白けた目で私を見ている。


夕方にはおじさんの犬の散歩に付き合い、夜は近くに住むおじさんの子供達とご飯を食べました。

「ここはこっちで持つよ〜」と私たちはご馳走になったのだが、母曰く、支払いは息子達がしていたとのこと。偉そうに言ってたけど、お金だしてなかったわよ、と。ちゃっかり見ている母。

その日はくたくたに疲れ、流石に爆睡しました。

翌朝、朝ごはんを食べ終え、「遅くなるので帰りますね」とおじさんに告げると、

「ありゃ、お土産渡そうと思っていたのに、買い忘れてた〜」「明日にでも宅急便で送るよ。近くの親戚の分も送るから楽しみに待っといてよ〜」
と、おじさん。

「いえ、お気遣いいただかなくて結構ですよ」
と母が白けた顔で言うと、

「そうだった」と、おじさん。倉庫にある(高級)お茶の葉の袋を一袋だけ持ってきて、「いるかい?」と差し出してきた。すると「要ります!」と、母がすかさずおじさんから袋を受け取った。(失笑)


さて、あれから半年以上経とうとしていますが、いまだにおじさんからは何も送られてこないらしい。ま、いいのだけど。

そのわりに自慢話の電話はしょっちゅうかかってくるという。


こんな面倒くさいおじさん、親戚に1人や2人いますよね?(笑)

くだらない身内のお話でした。