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青天の霹靂24(警察に通報)

その通報を受けて、日向隊訝(ヒュウガタイガ)は、頭を抑えた。
『何やってるんだよ』
友達の顔を思い浮かべる。
日向とは、警視だ。
廉の友達である。
その日向が今回の事件に名乗りをあげた。
みんなの思いはそんな摂政(セッショウ)なだった。
警視のくせに、凄い身だしなみに気を付けていて、警察と言うと、皆から驚かれる。
そんな、日向と組んでくれる者はなく、日向とは正反対のトメさんだけだった。
それには、苦笑いを禁じ得ない。
トメさんは人のよいじいさんだ。
それに、対して日向は、香水プンプンの警視とは、言えない男だった。
日向は、トメさんと若手刑事と共に現場に行く。
「どうしてこんな辺鄙なところに建てるのかね?」
「土地が安いからでしょうね?」
日向は、つまらなそうに言う。
「そんなものか?」
「ええ、そんなものですよ」
日向は笑って言う。
そして、現場へと向かった。
向かうが、そこで待っていたのは、凄い罵声だった。それに、警察官は皆タジタジになっていたが、日向だけはその中、違った。
「ちょっと、黙ってろ。早く犯人をあげたいならな。ここにでも座ってろ」
それを聞いて、他の刑事たちは顔を真っ青にした。
言われた当主は顔を真っ赤にした。
だけどその中、凄く廉だけが笑っていた。
「相変わらずだな」
「ほっとけよ。教師を精神的に追い詰めて、病院送りにした人間に言われたくないさ」
「ふん、正義感ばっかり振りかざして、教師を病院送りにした人間が何を言う?」
と、二人は子供っぽく、言い合う。
それに、冬眞はやれやれと肩を竦める。
「つまり、教師には思い出したくない、暗黒の時代って奴ですね」
冬眞が二人の言葉をまとめて言う。
「おい、なんだあのガキ? 生意気だぞ」
簾に聞くと笑って言う。
「お前も知ってるだろう? 彼には、お前も高校の時に会ってるぞ」
「会ってる?」
少し考える。そして、あっと口を開く。
「そうか、あのときの」
「そうだ」
と二人だけで納得するが、冬眞は首を捻る。
「何処かでお会いした事ありましたっけ?」
それを聞いて、日向は驚く。
「まさか、覚えていないのか?」
それに、答えたのは簾だった。
「ああ。こいつだけじゃない」
「えっ、まさか」
驚いた顔をする。
「ああ。こいつも覚えてないが廉夏も覚えてない。あれは子供にはキツいものがあるだろう?」
「確かにな」
「どうしたんですか?」
彼が来てから、廉夏は何故か怒っている。
「そやつは私に不名誉なあだ名を付けたばかりか、私の会瀬を邪魔しくさった。あー、今思い出してもムカつく」
ちなみにあだ名は、『金魚のふん』である。
「ムカつくってね。あのね。俺の努力が……」
「私は簾に会えればそれで良かったのじゃ」
「君はね」
苦笑いして、日向はそう言う。
つまりは、廉夏に何かした者に簾が何もしないですませられるか? 廉にそうさせないため、日向は邪魔をしてたのだろう。
「邪魔はしたけど、でも、それで俺は怒られた覚えもないぜ」
「なら、感謝されたか?」
と言うと、日向は苦笑いする。
たぶん、感謝されてたのだ。
そう思うと、廉夏の回りには、何て優しい人ばかりなのだろうか?
でも、それと同じくらい廉夏は苦しむのだろう。
そう思うと、冬眞はやるせなかった。
「それより、日向警視。本当に取り調べしないと怒られますよ」
と、まだ刑事なりたての男が言う。
「そうだったな」
そう言って始まる。
鑑識が入り、その間話を聞かれる。
「で、お前らは何か気づいたことは?」
「別に何も、あっ、ただ私をルリカが殺そうとしてたわ」

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