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青天の霹靂(プロローグ)

「何時か私と結婚しよう。私、お兄ちゃんのこと大好きだもん。誰にも渡したくない。お兄ちゃんも廉夏のこと好きだよね?」
目に涙をいっぱいにして、必死に京極廉夏(キョウゴクレンカ)は聞く。
この時、廉夏はまだ9つ。
対する言われた子は18歳、神崎冬眞(カンザキトウマ)。ちょっと、面食らう。
「お兄ちゃん、好き」
そう言うと、少女は泣きながら、冬眞に抱き付く。
「僕も好きですよ」
冬眞は廉夏を優しく抱き止めた。
「良かった。断られたら、何て言おうかって、思ったもん」
廉夏がなんて、言おうとしたかが冬眞は気になり、聞く?
「何て言おうとしてたんですか?」
「ここは京極の名に笠を着せて、脅そうかって思ったよ」
廉夏はホッとしたように言う。冬眞は、それを聞いて、聞かなきゃ良かったと思った。
「う~ん、それは怖いですね。辞めて下さい」
冬眞は驚いた顔をしたが聞く。
「でも、急にどうしたの廉夏ちゃん?」
すると、廉夏は驚くべきことを口にする。
「私ならお兄ちゃんが長年欲しがっていたものをあげられるわ。これは、他の女には出来ないものよ。私だけが持っている特権ってやつね」
廉夏の言葉を聞き、冬眞は驚く。
「廉夏ちゃんはそれが、何か分かってるの?」
「分かっているわ。だから、言ってるのよ」
「それを、僕にくれると?」
「私にしかあげられないもんね」
「そうですね。欲しいです、下さい」
「うん、あげる。だから、私も、もらってね」
「はい。喜んで」
そう約束してから、7年経った。
7年経ったが、何も変わったことはない。
ある意味廉夏も忘れていたが、それを覚えている者がいた。
冬眞だろうか?
いや、覚えているが違う。
冬眞は何れ、貰いに行くつもりでいた。
でも、それは意外な形で廉夏にもたらされることとなる。冬眞には、もう少し早くその情報はもたらされているが、驚いたことには違いない。それを聞いたとき、やられたなって冬眞は、思った。

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