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青天の霹靂46(体育祭2)

昨日は何かご迷惑をおかけしました。日向の家族殺されるから何かおかしくって、もう一度あげ直しました。書き直しはしてませんので、昨日の体育祭1から読んで下さい。


そして、競技が始まった。
廉夏の午前中の競技で廉夏は、100メートル走に力を使ったが、廉夏はビリから2番目で落ち込んでいた。冬眞は苦笑いして慰めるそれが肯をそうしたのか、二人三脚は1位だった。こうして、午前の競技は終わった。
午後は廉夏がなぜか燃えていた。
なぜと首を捻る冬眞の元に謎での集団が取り囲んだ。
「神崎先輩ですか?」
少し恐縮しながら聞いて来る。
「そうだけど?」
もう、11年経っているのに、冬眞は未だに知られているらしい。
仮装に身を包んでいる6人の男たち【女装している、何とも妙チクリンな男性達】が言う。
「王子がお待ちです」
「王子ねぇ」
冬眞は何か嫌な予感がする。
「行って来いよ。王子がお待ちかねだ」
笑って廉は言う。
「廉さん他人事だと思って楽しんでいますね」
「当然」
冬眞の反応を迎えに来た男の子達は困って見ている。
「あぁ~、分かりました。もう行って来ます」
仕方なく冬眞は、彼らを促す。
ここは、歳上の項(コウ)だろう(笑)
「じゃあ、行こうか?」
「はい」
途端に嬉しそうな顔になる。
着替えるために、教室へ向かう。
彼らの様子に冬眞はため息をついて、ついて行く。
その途中で、冬眞はハタッと気付く。
「おい、ちょっと、待て。お前ら確か、今王子が待っているとか、言わなかったか? ってことは、俺は何だ?」
「えっ、姫ですけど?」
「って、俺には女装する趣味ないぞ」
「それは、困ります。これは、愛を描いたものですから」
「それはそちらの都合だ僕には関係ないね」
そう言うと、男の子達はオドオドする。
だから、冬眞は聞く。
「愛ね。で、これは誰が描いたって?」
あまりにオドオドするから、優しく聞く。
これでは、こちらが苛めている見たいじゃないか?
けして、苛めてないぞ。
そして、冬眞の予想通りの名が帰ってくる。
「話しを書いたのは、京極さんで・・・」
「やはりな」と、深々と冬眞はため息を付く。
(あのお嬢さんは、僕の女装が見たいのか? 本当に良い趣味してるわ)
考え込んだ冬眞に、迎えに来た学生は、怒ったと思い慌てる。
「神崎先輩が気に入るには、どうすれば?」
「そもそも、この話はどういう設定なんだ?」
「えっと、神崎先輩が囚らわれた姫で、それを勇者である京極さんが助け出すと言う」
「ふ~ん。ということは、それを囚らえた奴がいるってことだよな」
「ええ。魔王ですね」
戸惑ったように、青年が言う。
それを聞いて、冬眞は指を鳴らす。
「それだ」
「えっ、何がですか?」
指を鳴らすと、冬眞はこう言った。
「この中に魔王役の子はいるか?」
「僕ですが?」
一番ナイーブそうな子が言った。
この子は魔王って、感じじゃないだろう。
良いとこ村人Aとかだ。
配役からして、間違い過ぎてる。
「なぁ、ものは相談なんだが、その役を俺に譲ってくれないか? 俺と役の交代を」
「えっ、魔王をですか? でも、勇者によって倒されちゃうんですよ」
魔王役の子が驚く。
「ああ、だが、魔王は勇者に恋してしまう。魔王にとっては、世界よりも、勇者を征服することに野望が変わるんだ」
「それって、面白いかもな?」
と、聞いてた男の子たちはみんな色めき立つ。
「俺が魔王をやれる衣装はあるか?」
「もちろんです。ありとあらゆるサイズの衣装が、揃えてありますから。僕が来れなかったとき、誰もが代役出来るように」
「じゃあ、ストーリーを変えよう。京極さんには内緒でな。サプライズだ。忙しくなるぞ」
「はい」
返事は元気だ。
「さて、どうするかな廉夏は?」
ニヤリと冬眞はほくそ笑む。
そして、ナレーションが始まった。
「その世界は暗黒の世界だった。その中でただ1人希望を失わない者がいた。彼の名はユーリ。その彼が今、暗黒の世界に囚われてしまった姫を助けようと、暗黒の世界に飛び込んだ」
と、始まった話しだが、突如ナレーションは廉夏の知らないものへと、変化していく。
魔王を倒そうと魔王城に行くと、突如ユーリの前に魔王が現れた。
台本にない筋書きだ。
廉夏は戸惑う。
えっと、これはどういうこと。
廉夏は校舎の端へと目をやる。
そのまま、やれと言う合図が出ていた。
すると、突然魔王が聞いてきた。
「そなたが選べば良い?」
冬眞が出てきた瞬間に観客のボルテージはMaxまで高まる。
「民の幸福か、自分の幸せか? 好きな方を選べ。まぁ、どちらを選んでも、そなたが私の元へ来るのは、変わらないけどな。あっ、姫はもういらないから返してやる。俺には興味ないからな。興味あるのは、騎士のお前だけだ」
という訳のわからん、冬眞=魔王のせいで、話は大幅に変わった。
たぶん、こんな上手く話を変えたのは、冬眞だろう。
「なっ」
廉夏は固まる。
それを冬眞は面白そうに見る。
「さ、選べば良い、そなたが。民の幸福か、自分の幸福か? 天秤に懸けろ。お前なら、どちらを選択する」
そう言われては、どちらか選らばなきゃ話は進まない。
選ぶ方も自ずと答えは決まっている。
だって、民を助けるために立ち上がった勇者だ。
自分の幸せ何て、選べるはずがない。
廉夏は悔しそうに下唇を噛む。
廉夏は冬眞の手を取るしかなかった。
話を進める上で、他に選択肢はなかったのだ。
廉夏は震える手を冬眞に重ねる。
「では、この勇者は私がもらい受ける」
そして、廉夏ごとマントで覆うと、その場を後にする。
教室へ行くと廉夏が怒る。
「これはなんだ? 私は聞いてないぞ」
「僕も聞いてませんよ。あくまでも、僕は見に来ただけのつもりでしたから」
涼しい顔して、冬眞が言う。
回りは冬眞の仮装にうっとりとした。
だって、冬眞は完璧な魔王になって見せたのだから。
廉夏のクラスには、もちろん女性もいるが、その女性達はみんな男装をしている。
と言うことは、もちろん男子は女装である。
「でも、廉夏かっこよかったですよ」
「そうでしょ? 私も自信あったんだ」
ニンマリと笑う。
「でも、ごめんなさい」
素直に頭を下げる。
「廉夏は、どんな終わり方を望んでいたんですか?」
冬眞は聞く。
「終わり方?」
それに驚いたように、廉夏は目を見開く。
「ええ、そうです。だから、僕にあの役を押し付けたのでしょう?」
冬眞が言うと、逆に冬眞に質問を返す。
「私と言うより冬眞がどう終わらせたかったのかが、見たいから冬眞にあの役をふったの」
「だったら、こんな回り口説い手をつかわず、直接聞けばいいじゃないですか?」
そう言って、廉夏の顎を指でくいっと持ち上げる。
「ほら、言ってみ。廉夏の望みを」
目が合うと廉夏は真剣な目をして聞く。
「だったら、聞いちゃう。冬眞なら姫は助けられるべきだったと思う?」
「さぁね。ただ、僕は護らなきゃいけない女(ヒト)は、そもそも好きにはならないんじゃかな?」
「あっそ」
呆れたように、廉夏は言った。
「だって、廉夏は、ただ守られるのは好きじゃないでしょう? 共に相手と、闘うことを選ぶでしょ?」
それに、廉夏は驚く。
冬眞は私を主体に考えてくれていたんだと気づく。
「僕は結婚式の時にも言いましたよね。『あなたが討たれることを良しとするなら、僕はそれからあなたを守る壁となる』って」
「私は壁なんていらない。でも、嬉しいよ」
廉夏は泣く。
そして、冬眞に抱き付く。
冬眞は驚きながら、抱き止める。
「廉夏、どうしました?」
「冬眞のバカ~。壁になんかになって欲しくない。それより冬眞は京極の名に負けないで。押し潰されたら、赦さないんだからね。今まで、じい様と廉兄しか、勝てた者はいなかった。それほど、京極は大きくなっちゃたの。人が統べるには大きすぎたの。だからなるなら、剣になって私が冬眞を守る盾になるから」
冬眞は、弾かれたように、廉夏を見る。
そして、笑って言う。
「畏(カシコ)まりました。他に僕に言っておくべきことはありませんか?」
「ずっと、横にいてね」
「ええ、ずっと一緒にいます。僕でよければ」
そう冬眞は言ったのだった。
そして、二人は静かに口付ける。
廉夏は泣いて喜んだ。
泣き止むと、廉夏は廉のところに行く。
「お兄ちゃん、お疲れ様会に、焼き肉食べに連れて行って」
「って、お前のクラスが優勝したわけじゃないじゃないか。まして、お前のクラスは何位だったっけ?」
「えっと、9位かな?」
「お前それ、ビリじゃないのか?」
「違うわよ。ビリから2番目だよ。でも、お疲れ様会には、順位は関係ないんじゃない」
と言って、廉夏は笑う。
それに、廉は呆れる。
「まぁ、連れていくよ」
「有り難う。冬眞はケーキ買ってね」
「理由を聞いて良いですか?」
「どうぞ」
ニッコリ笑う。
「なぜ、僕は見るだけじゃなく、役までやらされた上げく僕がおごらなきゃいけないんですか? 逆ならわかりますが?」
「私が気付かせてあげたのよ? 感謝して欲しいな」
「何をですか?」
「冬眞は何をしてもいけるって、教えて上げたんだよ」
「それを人は言う。『ありがた、迷惑』と」
「えー、感謝するの間違いだと思う」
膨れる廉夏に、廉は笑う。

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