青天の霹靂61(千花の思い)


会社から帰って来て、冬眞が聞いた。 
あっ、この頃には、廉は冬眞の運転する車で出勤するようになっていた。
冬眞が、廉が自分で運転することを、あの事件以降嫌がったからだ。
廉は、苦笑いしながら、冬眞の車に乗ってくれている。
「お前も粘るよな」
呆れたように、廉は言う
「廉さんの体を僕は守ります」
「さいですか。頑張って下さい」
「何かあったら、廉夏に恨まれそうですから」
「本当に頑張って下さい」
呆れ気味に、廉は言う。
家に到着し、二人は己の部屋へと行く。
そして、スーツを脱ぐと、リビングへと行く。 
そこには、廉夏と観月がいた。
「楽しそうだね」 
「冬眞」
廉夏が答える。
「うん、楽しいよ。観月から、最近の遊び習ってた」
廉も下りてきて、廉夏に言う。
「お前も年取ったな」
「廉兄に言われたくない。私より、上じゃん」
「俺は観月がいるから、どうとでも」
「何か、狡い」
「それより、冬眞ちょっと良いか?」
と言って、廉は冬眞を呼び出す。
「はい」
廉の後に着いていく。
「どうしました?」
廉の部屋に入り、冬眞は床に腰を下ろす。
「廉さん、僕が考えている通りなら、丁重にお断りいたします。もう、廉さんっで会社は動き出している。僕の入る余地はありません。それに、僕に継ぐ権利はありません」
冬眞はきっぱり言う。
「参ったな」
そう言って、廉は頭を掻く。
「でも、うれしい誤算だな。俺が思ってた以上に、お前は頭が切れる」
「嬉しい褒め言葉です」
冬眞が言う。
「僕も一つ聞いてよろしいですか?」
「何だ?」
「廉さんも廉夏のように不思議な力をお持ちですよね?」
「正解だ。たぶん、父さんの家系がそう何だと思う」
「廉さんはどのような力を持っているのですか?」
「俺は人の思いが読めるだけだ」
「それも凄いですよ」
「でも、人生はつまらないぞ。賭けとか出来ないし」
「そう言うものか?」
「ああ、でも俺には読むことしか出来ない。救えないんだ」
「でも、読めれば、その人が犯罪起こす前に止められますよね」
「ああ、そこが静かならな。他の人の思いがある場所では、誰の思いかは分からない。邪魔されてしまうんだ」
「そうですね」
「ああ、俺の力は完璧じゃないんだ」
「でも、一対一なら、完璧じゃありませんか?

「そこに気付いたか? まぁ、完璧だな」
「やはり、廉さんには、喧嘩売らないようにします」
「喧嘩売るきだったのかよ? 止めておけ。喧嘩にならずに終わる」
「そうですね」
二人は顔を見合わせ、笑った。

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