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一杯のコーヒーから 夢の花咲くこともある

午前中は時間が空いていたので、カフェの経営に関する情報を閲覧えつらんしていた。
YouTubeは、事業主による経営の実態や感想がいくつもアップされていて、とても参考になる。

よくわかったのは、開業するにあたって物理的・精神的な垣根の低いこと。
どこに店を開くか、内装にどこまでこだわるか、どんなコンセプトで始めるかなどでかかる経費は大きく異なるが、欲を出さず、最低限で始めようとすれば、数100万円までかけずに済みそうな規模だ。

本格的な料理の腕まで要求されず、もともとコーヒー好きな人がほとんどだから、おいしくれるノウハウは多少なりとある。
アルバイトなどで過去に実務経験があって、軽食くらいならお客さんに喜んでもらえるものを提供する自信がある。自分ならそこそこやっていけるだろう、なんて考える。
ところが、コーヒーの淹れ方や美味しいサンドウィッチを作れるからと言って、お客が必ず来てくれる保証などない。

自分は顔が広いし、オープンすれば友達がたくさん集まってくれるはずだ。彼らが定期的に顔を出してくれれば、それだけでまあまあの売り上げになるんじゃないかとか、安直に思い込む。

その人に100人ものお友達がいるとして、「親友」とまで呼べる存在になると、どれだけの人数が残るか。
なにより、開業したアナタの店の近くに誰もが住んでいるはずもなく、顔が広いほどに日本の北から南まで、あるいは海外にまで、分散していると考えるのが自然だろう。

それでも、一度くらい顔を出してくれそうな友人を(多めに)50人と見積もったとして、客単価はいくらになるか。
仮に飲み物代を600円、セットメニューが1,200円として、2で割った900円を客単価とする。
すると、45,000円(50人×900円)の売り上げになる。

友達50人が毎日来てくれれば、月の売り上げは1,350,000円ほどになる。もちろん、それが全て利益になるわけでない。
たとえば、食材の仕入れに3割の550,000円、毎月の家賃が200,000円。
今どき高い光熱費に50,000円。
Wi-Fiなどの電波環境や通信費、雑費として月に50,000円。

50人分を切り盛りするのは自分一人では不可能で、毎日パートかアルバイトを雇用するとなれば月250,000円(社保・交通費含む1日8,000円として)程度の人件費が発生する。

ここまででざっと、1,100,000円。もちろんこれは机上の数字であり、現実はとてもこれでは収まらないはずだ。
ともかく経営者の手元には、最大で250,000円しか残らないことになる。

常識的に50人が毎日通ってくれるなどありえず、月に1回でも顔を出してくれればおんの字だろう。
それだって、甘い見積もりだ。1回行けば義理を果たしたと、彼らのほとんどはリピーターにさえならないだろう。

従って、友人・知人をあてにした開業では、必ず失敗する。
そして実力で1日平均50人のお客を呼び込めたとしても、先述したように手元に残るのは250,000円ほどでしかない。
ここから税金と保険料、税理士などの外注費や広告宣伝費、アルバイトの求人費など差し引くと、時給換算で最低賃金を下回る収入しか得られないのは確実である。

以上は、毎日50人の来客が見込まれる場合の、カフェとしては「成功事例」になる。
回転率も客単価も、平日の営業日など、その10分の1にも満たない店だって珍しくない。

半日程度、カフェの実情を探ってみたが、「儲かってます」というお店には一軒も出会わなかった。
幸運にも肉親の土地や家屋を改修し、初期投資を抑えた形でスタートできた事例もあったが、まれなケースと言わざるを得ない。
カフェは、儲からない事業なのだった。

ちなみに、なんで「喫茶店」じゃなく「カフェ」なんだろうと思ったが、いまじゃ喫煙できる店がほとんどないのに気づいた。
喫煙OKで煙モクモクな店にしたら、JTとかスポンサーになってくれんかな。
壁にはブルーノートとかトム・ウェイツとかの、タバコ吸ってるレコードジャケット飾ったりしてさ。

イカンいかん。ついそっち方面に意識が行っちまう。この絶望的な前提条件をどうやってひっくり返すか、考えなきゃなるまいて。

イラスト hanami🛸|ω・)و

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