日本を豊かに強く
当選を確実にしたトランプ前米大統領は、バイデン政権が進めた気候変動対策を大転換し、石油や天然ガスの生産拡大を進めると主張している。
電気自動車(EV)推進を撤回し、温室効果ガス削減に向けた国際的枠組み「パリ協定」から、再離脱する方針だ。
化石燃料に関する規制を緩和し、エネルギーコスト削減を目指すとした。
「パリ協定」とはなにか。
パリ協定(Paris Agreement)は、気候変動に対処するための国際的な取り組みになる。2015年12月、フランスのパリで開催された国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のCOP21会議で採択されたことから、この名称となっている。
協定の主な目標は、地球温暖化を2度未満に抑え、気候変動の影響を最小限に抑えることだ。
温暖化の根拠とされるものは、以下の通りとなる。
気温上昇
観測データによると、地球の平均気温は過去100年間で顕著に上昇している。この気温上昇の傾向は、特に20世紀後半から顕著になっている。
氷床と氷河の減少
グリーンランドや南極の氷床、世界中の氷河が急速に縮小している。これにより海水面の上昇が引き起こされている。
海面上昇
過去数10年間で海面が上昇しており、地球温暖化の根拠の一つになっている。海面上昇は、氷床の融解と海水の熱膨張によるものとされる。
気候モデル
(一部の)科学者は気候モデルを使って過去の気候を再現し、将来の気候変動を予測している。これらのモデルによれば、人間活動による温室効果ガスの増加が、地球温暖化を引き起こしていることになる。
生態系の変化
動植物の生息地の変化、季節の変動、植生の変化など、生態系全体にわたる変化も、地球温暖化の根拠とされている。
大気中の温室効果ガス濃度の増加
産業革命以降、特に二酸化炭素(CO2)やメタン(CH4)などの温室効果ガスの濃度が急増している。これらが地球の温度上昇に大きく寄与しているとされている。
異常を理由に「パリ協定」に参加する各国は、自国の状況に応じた温室効果ガスの削減目標(NDC:Nationally Determined Contributions)を設定し、定期的に進捗を報告する義務が生じたわけだ。
実は今後の地球は、寒冷化に向かうという真逆の説がある。地球温暖化に、科学的根拠はないという立場だ。
僕が子供の頃、夏の気温は今ほど狂暴でなかったし、暑い時期も8月の下旬にはおさまっていた記憶がある。半世紀前と比較して、確かに日本は「温暖化」していると感じる。
それを、地球46億年の歴史に置き換えてみるとどうだろう。
海の中で単細胞生物が活動し始めたのが35〜40億年前、哺乳類誕生が2億3000年ほど前、地球を支配した恐竜の絶滅が約6500万年前、そして現人類のホモ・サピエンスが誕生したのは、わずか20万年前とされる。
地球の長い歴史の中では、恐竜が絶滅した6500万年前は現在よりもかなり温暖だったことがわかっている。
以降、温暖化と寒冷化を繰り返しながら寒冷化が進んできている。人類誕生前の数百万年を振り返っても、温暖化と寒冷化を繰り返し、それは現在も続いているのだ。
気温の上昇は事実であるが、大気の0.04%に過ぎないCO2が地球温暖化の原因になるとは考えにくく、他に要因があるのではないかとの見解もある。
今から約1万年前、現代と同じくらいかそれ以上に気温が高い時代が存在していた。すると、氷期(寒い時期)・間氷期(暖かい時期)と呼ばれる自然サイクルが起きているだけであるとの解釈も、充分成り立つ。
ひとまず僕たちは、諸説ある中の一つに「地球温暖化」があるくらいに捉えておいた方がいい。
では、現実の方に目を向けてみる。
「パリ協定」がしっかり機能し、いま頑張れば人類に(少なくとも日本に)恩恵をもたらすものになるのだろうか。
温室効果ガス排出量・世界第1位は、断トツで中国となる。
その中国だが、「パリ協定」を批准しながら、2030年までCO2等を増やし続けるという計画を変えていない。ゼロにする時期も2060年としていて、2050年に前倒しをする姿勢は示していない。
真面目に取り組む気など、皆無なのがわかる。
そして来年、排出量第2位のアメリカが「パリ協定」から離脱することが、ほぼ確定している。第3位のインド、第4位のロシアにしても、この取り決めを守っている気配などない。
全体の3,4%に過ぎない日本だけがクソ真面目に協定を守ったところで、何の影響もないどころか、陰で冷笑されるに過ぎないだろう。「パリ協定」を遵守しようとすればするほど、国力は確実に削がれていくからだ。
なにより日本は、世界が大騒ぎする以前から、すでに「省エネ」世界一の国だった。何も対策を講じてこなかった他国から、文句を言われる筋合いなどないはずである。
人間の産業活動を全面的に否定する立場であるならいざ知らず、日本を豊かに強くしたいなら、まずはアメリカ新政権の方針に耳を傾けるべきだろう。
メガソーラーや風力発電など、今となっては明らかな自然破壊を進める環境省とか言う名の「環境破壊省」は、真にクリーンな環境に意識が向かうよう、即座に気持ちを改めるべきだ。
イラスト Atelier hanami@はなのす