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Drive Me Crazy

朝いちで済ませたい用事があって、久しぶりに平日7時ごろ、街を目指して車を走らせた。
現役のころは日常の光景でも、数年ぶり渋滞する時間帯に通りに出てみると、行き交う車の殺気立っているのにビビらされる。

十字路で信号を右折しようとして、向かいの直進車が途切れず通過していく。信号が変わってからも「黄色は急げ」の解釈なのか、躊躇ちゅうちょなく突っ込んでくる。
さらに赤に変わってから1台、その後続車までもがためらいもなく突進してくるのは、いくら何でもヤバい。オイオイ!

運転手の顔をまじまじ見つめるも、前方を凝視したまま突き抜けていく。
非難の目で睨まれているのは十分承知、やったもん勝ちの感覚でしらを切り、通過してしまえば「オレの勝ち」くらいな気分でいるのかもしれない。

では、直進車が黄色信号で交差点に進入し、一方の右折車が青信号で交差点に進入し事故になった場合の、過失割合はどうなるのだろうか。
この条件だと基本の過失割合は「A:B=70:30」(Aが直進車、Bが右折車)となるようだ。
直進車の過失が大きいと判断されるのは、あらゆる事故の条件において信号を遵守できているか否かが、重要な考慮要素になっているためである。

今回のように直進車が赤信号、右折車が青信号で進入し、赤信号になってから右折しようとして事故が発生した場合は「A:B=90:10」(Aが直進車、Bが右折車)になる。圧倒的に直進車の過失割合が高くなるが、そうであっても右折車だって、1割の責任は問われるわけだ。

ドライブレコーダーに記録された違反車の動画をSNSやYouTubeに投稿する人がいるが、その気持ちはわかる。
まずもって腹立たしいし、意図的な信号無視など危険極まりない行為を「罰して」やりたいと思うのが人情だ。
では、SNSに”無法者”をさらす行為に、問題はないのか。

まず、撮影する行為自体に違法性はない。公の場所を行き来する人やクルマを、ドライブレコーダーや防犯カメラで撮影することを規制する法律はないからだ。
しかし、その撮影した動画をSNSなどで公開するとなると、ハナシは違ってくる。
個人を特定できる情報が含まれている場合には、肖像権の侵害として訴えられてしまう可能性があるのだ。

映像を公開するのであれば、クルマのナンバープレートを消して、ドライバーや同乗者の顔などにモザイク処理を施し、個人を特定できないようにするのが大前提になる。

あおり運転や当て逃げなどの被害に遭い、その様子がドライブレコーダーに映っていたとしても、SNSやインターネット上に投稿するのではなく、まず警察や弁護士などに相談する。
先方に非があると明らかな場合も、インターネット上にアップして相手がそれを見つけた場合、名誉毀損で訴えられる可能性が高いからだ。

では、録画した危険運転を警察に提出したとして、先方で対応してくれるのか。
仮にその車が危険行為をした後で事故を起こし、被害者がいる場合などは、他車のドライブレコーダーの映像が有力な証拠となり、捜査がスムーズになることがある。
ただし、今回のように危険運転行為の映像だけで罪が問えるのかというと、実際のところは微妙そうだ。
危険運転行為を警察が確認しない限り、ドライバーが記録したドライブレコーダーの映像のみで「逮捕」となるケースは少ないらしい。

いいか悪いか別にして、この国の法律は発生主義であり、予防的な観点に欠けている気がしてならない。
せっかく普及したドラレコなのに、事故が起きない限りは物的証明とはなり難いわけだ。なんか宝の持ち腐れみたいな気が、しないでもない。

別に「逮捕」までいかずとも、明らかな危険運転の映像が提供されれば運転手を特定し、「厳重注意」するくらいやってもいいと思う。
一般から映像を募れば、同一人物による危険運転が、複数の提供者から見つかる場合もあるだろう。
そういう危険な行為を未然に防ぐには、いい機会になると思うのだが。

しかしねぇ。
たまにラッシュ時間に出くわしたくらいの事で、こんだけストレスになるんだからなぁ。
こんなの毎日繰り返している現役の皆様、ご苦労様です。さぞやお疲れのことでしょう。
ワシャ田舎暮らしで、ホントよかったよ。

イラスト hanami🛸|ω・)و

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