少女漫画の男

少し耳の不自由な友人に付き添い、役所の手続きに行きました。
窓口の担当者は、何と柔かなウェーブの髪を、なびかせた青年!色白・長身・ハンサムと、三拍子そろった人。

私と友人は、思わず顔を見合せました。色々な書類を書き判をおして、約一時間かかりました。

(ご親切に有り難うございます。年寄りにも、分かりやすい説明でした)頭を下げる私の横から「貴方とても綺麗なお顔で、モデルか俳優さんみたいね」
友人が大きな声を出しました。

多分耳のせいで、音量が調節出来なかった?ので、回り中にこの言葉が広がりました。笑いが小波の様に起こりました。

言われた彼は照れたのでしょう。頬が薔薇色になりました。「ほらそんな様子は、少女漫画の主人公みたい」またも大声です。

(ごめんなさいね、この人耳が悪いので声が大きいんです)再び頭を下げました。こんどは窓口内部の、役所の人まで笑っていました。

帰りのタクシーの中で「あっ思い出した!エースをねらえと言う、少女漫画に出て来た人よ」というので(私は知らんがな)冷めた返答をしました。