見出し画像

平安神宮 月音夜2023 鑑賞

京都は平安神宮で開催された月音夜2023。中秋の名月を音楽と共に楽しむ催しということで、平安神宮の敷地内に舞台を組む屋外公演です。全4日間の開催で、私は、10月1日、中川晃教さん、ピアニストのござさん出演の会を鑑賞しました。

その日の京都は曇り空。19時の開演ですが、月音夜というのに、雲が厚くて月は見えそうもないし、せめて雨だけは降り出しませんようにと願いました。

夕闇になると、蒸し暑さが後退し、乾いた風が平安神宮を通り抜けます。長過ぎる酷暑と短い秋の交代を感じました。

また、公演前には無事を祈願して神主さんが舞台と観客に対しお祓いをされました。奉納演奏ですね。そして、いよいよ開催です。

前半は、ござさんのピアノ演奏から。今回の公演に合わせてかシックな紺地?の和装に薄い白の羽織をはおわれて、お衣装のせいもありますが、初めましての私は、ござさんに繊細なイメージを受けました。

曲目は、月にちなんだ楽曲をメドレーで、数曲ずつ弾かれました。クラシックから見上げてごらん夜の星を、といったポピュラーソング、はたまたセーラームーンの主題歌まで、様々なジャンルを華麗に弾かれ、両手の10本の指だけなのにゴージャスな世界を表現され見事でした。例えば、ドビュッシーの月の光は、月音夜にふさわしく美しい音色を奏でられ、私は目を瞑りながら、湖面に浮かぶ月の光が波間にたゆたう光景をしばし想像しながら聴きました。

また、この日は、あっきーと、ござさん+園田涼さんのツインピアノによるセッションが2曲ありました。ビリー・ジーンとマイ・フェイバリット・シングスです。JR東海のCM「そうだ、京都行こう」の刷り込みのおかげで、私にとって京都=マイフェバなので、もう前奏だけで京都来たよ〜!と気分が高揚しました。園田さんの流れるようなピアノとござさんのキーボードの跳ねるような音色の対比がとても可愛らしくて、セッションで生まれる音色感ってつくづく良いなあと思いました。

と、色々思い出していると、あっきーの歌の感想になかなか辿り着かない。

さて、気を取り直して、あっきーは、デビュー曲のI WILL GET YOUR KISSをはじめオリジナル多めのセトリでした。10曲くらい歌ったかな?平安神宮の拝殿をバックに、雲に隠れた月を探すように手を伸ばしたり、時に拝殿に自らの歌唱を神に捧げるが如く歌うあっきー。それを、闇夜に照らし出すカラフルな照明と厳かな舞台とが不思議にあいまってなんとも妖艶かつ神秘的な空間に包み込まれる…。ひや〜、マタドールとかチャイナガールはめちゃめちゃ妖しかった〜。

そして、この日、私の印象に残ったのは、この2曲。
漫画家の故松本零士さんを偲び、銀河鉄道999を出だしはピアノ伴奏のみから。すでにミュージカルやステージで何度も歌っているけど、この曲をあっきーが歌うとき、松本零士さんを心から思っていることが私にも伝わってきます。音楽劇、ミュージカルで3度にわたる星野鉄郎役を演じているので、松本零士さんの描きたかった世界や物語に託した思いとか、あっきーはこれまでたくさん受けとってきたのだろうな、と勝手に推察して、勝手に感動している私…。

もう1曲が、マイケル・ジャクソンのEarth Song。この曲を歌い始めると、拝殿から涼しい風が吹き抜けて舞台脇から焚かれたスモークが観客席へとふわあっと向かってきます。スモークは緑のライトに照らされ舞台は更に幻想的な世界へ。そのなかであっきーの歌うEarth Songは、憂いでもあり、叫びでもあり、そして祈りでもあり…。様々な意味がこの1曲に込められていました。

そして、この曲の終盤で、一部の観客の方々が東の方の空を指差しているので、不意に見やると、雲間から月がぼんやりと見えました。歌と神宮の空間と月夜のもつ力に思いを馳せる瞬間でした。

公演後、厚い雲は何処かへ行き、丸い月が平安神宮を照らし出していました。一期一会に感謝ですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?