うるさいテロップは「不快」?
インターネットでサーフィンの波に乗っていると、よく「バラエティ番組のテロップ」がうるさいという意見に遭遇するので、うるさいテロップ大好きな私の所感をここで述べたいと思います。
ただし、私はテレビの関係者ではなく、単純にテロップ好きな素人です。
知識の不足や拙い表現も多いと思いますが、あしからず…。
世論的には、うるさいテロップは「不快」
まず世論としては、バラエティ番組によく使われるようなうるさいテロップは「不快」という流れが強いです。「世論」というと、皆そう思っているかのような言い方になってしまいますが、より正確には大半の人は「どちらでもない」んだと思います。仮にテロップが好きであっても、積極的に「テロップを入れるべきだ!」と主張するテロップ肯定派はそんなにいません(私自身もそこまでは思っていないです)。そもそも存在するかもよく分からないテロップ肯定派と比べると、猛烈に不満を持っているであろうテロップ否定派の方が声を上げる原動力や、感情的なパワーがあると思われます。
したがって、全体的に見ればテロップは不快だという意見の方が強いように見えます。では、テロップが不快だと思う派の人たちは、なぜ不快だと感じるのでしょうか?
テロップが不快だと言われる要因は主に以下の通りです。
・聞き取れるのにわざわざ字で表示されているのが不快
・面白おかしくしている感が不快
・制作(裏方)が主張しすぎていて不快
私としては、テロップ好き側の立場ではあるのですが、ここで挙げられている意見に対して共感する点もあります。テレビの出演者の声は大概クリアで聞き取りやすいので、別にテロップが無くても何ら不自由はないはずです。仮に聞き取りに難がある場合でも、リモコンで字幕機能をONにすれば解決です。それにも関わらず、発言内容が逐一フルテロップで表示される(しかも消せない)のは、人によっては煩わしく感じても仕方がありません。
そしてこれはコメントフォロー(※発言内容の表示用テロップ)に限った話ではありません。例えば、以下のような場合もあるでしょう。
特定の番組を想定したわけではなく、あくまでイメージですが…。
爆発が起こった音にテロップが付いているようなケースです。
実際にここまでしている番組があるかは分かりませんが、猫の「ニャー」という鳴き声や、「シャキーン」という効果音などにまでテロップが付いている場面、頻繁にバラエティ番組(特に動画を紹介する系の番組)を視聴する人であれば何となく既視感があるのではないでしょうか?コメントフォローさえもいらないと思う人なら、この種のテロップはなおさらうるさく感じるでしょう。
それでは、テロップは不要なのか?
では、そんなうるさいテロップは無くしてしまった方が良いのでしょうか?私の結論としては、テロップは必要だと思います。初めからテロップ好き側の人間なので、淘汰されないでほしいという個人的な願望も大いにこもった意見ではありますが、それだけでは納得できないと思うので、必要だと感じる理由も述べたいと思います。
テロップが必要だと思うのは、テロップが番組(動画)の展開を分かりやすくするために非常に大きな役割を担っているからです。
特にテレビは、マスメディアという性質上、誰に対しても分かるような展開を作らなければいけません。視聴者の中には、テロップ無しでは番組の展開やノリについていくのが難しいと感じる人もいるでしょう。また、そうでなくても視聴環境は人によって様々です。最初から最後までテレビ画面を注視しているとも限らないし、家事をしながら「ながら見」をしているかもしれません。そのために、過剰とも言えるテロップの量と装飾で、誰でも展開についていけるように、ぱっと見でも内容が分かるように、補足や演出としての表現を行なっているのだと考えられます。普段テレビを観ない層(の一部)から「テレビはレベルの低い人に合わせているから馬鹿になる」と表現されるのは、こういう所に起因するのかもしれません。もちろん、基本的には内容自体の話をしているのだとは思いますが、彼らの言うバラエティの「馬鹿らしさ」にテロップが一役買っている節は大いにありそうです。
少し脱線してしまいましたが、基本的にはどんな状況の誰にとっても内容が分かるようにしなければいけないテレビにおいて、テロップは重要な役割を果たしているのです。単純に発言内容を示すだけでなく、フォントや色使い、動きによって発言者の感情や発言のニュアンスまでも伝えることで、極端な話、音量0でも出演者の声が聞こえてくるかのような画面作りがなされているわけです。
ここで、テロップの影響力を実感するための例を挙げたいと思います。
以下の3つは「マジでふざけんな!」という、一言一句同じ文言ですが、受ける印象は全く違うのではないでしょうか?
パターン1は、泣きながら訴えかけるように。
パターン2は、激怒して叱りつけるように。
パターン3は、楽しくじゃれあうように。
それぞれ感じるのではないでしょうか。テロップの表現によって伝えられる情報量は思っている以上に多いのです。制作側が意図する面白さを、明確に伝える役割をテロップは持っているのです。
実際、フジテレビ『ここにタイトルを入力』という深夜番組(※こういう番組名です)にて、出演者が全く映っていない無音のスタジオで、テロップのみを乗せることで、まるでそこに出演者がいるかのように見せた試みがありました。画面には映っていない、その場にいないはずの人の声が、脳内で補完されて聞こえてくるのです。番組演出におけるテロップの役割が重大であることを体現した企画でした。
結局は、好みの問題
……と、ここまで色々と書いてきましたが、最終的には個人の好みの問題にはなってしまいます。「じゃあ、この記事の意味ないのでは…」と思うかもしれませんが、実際そうです。
装飾付きのテロップが多用された画面を見て、「観やすい(分かりやすい)し華やか!」と思うか、「不要だし観てて疲れる!」と思うかだけの違い。結局は、各々の感想に委ねられるのです。
テロップを入れる作り手側としても、(先ほど述べた「内容を分かりやすくするため」というのは大前提ですが)何だかんだ言って「画面が華やかな方がクオリティが高く見える」というのが最大の理由に思えます。
「分かりやすい」+「画面が華やか」=「数字が取れる」!
…だから、テロップを多用する人が多いのではないでしょうか。
本記事は基本的にテレビ番組を想定して話を進めてきましたが、Youtubeなど、個人が制作するネット動画の場合は、なんなら前提の「分かりやすさ」をすっ飛ばしている感じのテロップも結構あるので、視覚的に派手にして目を引く以上の理由を持たずにテロップを入れている人も中にはいるのだと思います。
何にせよ、少なくとも私はテロップが好きなので、これからもテロップ演出まで込みで番組なり動画なりを楽しみたいと思っています。私の勝手な想像で書いた部分もかなりあったので、テロップの意義について、よりちゃんとした理由が思い当たるなど、ご指摘あれば賜りたい所です。ここまで読んで頂き、ありがとうこざいました。
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