ファイナルファンタジー2(ファミコン版)のプレイ感想

FF2をクリアーした
これはFF1の世界を基礎としつつも、独自の新システムを使って世界を再構築し、さらにFF1に不足していたキャラクター性とシナリオを追加した作品だ
グラフィックにおいて格段の進歩があり、特にマップはとてもきめ細やかに描き込まれている その弊害として前作よりかなり広くなり探索が長くなっているが
サウンドは植松氏の優しくも独特でRPG感のある仕上がり ややメロディ主体で一部の単純思考には親和しない部分もあるが、本作の持つドラマ性を重視した結果と思われる また、ボス戦には迫力のある渾身の曲が描かれている
バトルシステムにおいて、革新的とも言えるシステムが多数投入されている 熟練度による武器と魔法の成長、行動の結果としてキャラクターステータスが成長していくシステムなど、サガシリーズディレクターの河津氏が関わったことからもサガを彷彿とさせる多くの特徴を持っている
ゲームをプレイする上で生じる蓄積性を細かく分類し、かつキャラクターの行動による成果の多様性を強調したシステムによって以下のことが起こる
・特異な能力を高めることができる
・ステータスをプレイヤー次第で決めることができる
・魔法をどの程度使用するか、誰に使用させるかを自由に決められる
・強化の程度によってキャラクターの成長に大きな差が生じ、攻略難易度に影響する
ただ、装備品とシステムの調整には偏りがあり、武器については魔法との共存がやや難しく、防具についてはスピード関連ステータスとの共存が難しい分類がある
特にFF1の赤魔道士、後の作品における魔法剣士系のキャラクターを作成することが難しい もしくは作成できても運用するには、バトル中に武器などの装備を付け外ししなければいけないなど煩雑さがある
重装備すると敵の攻撃を防ぐのが難しくなるのは珍しいシステムだが、防御力アップによるメリットと比較しても不利であり、不遇系統と言わざるを得なくなっている
一方で、偏って有利な系統を設けたことで、その有利な系統に集中して育成・強化すると、非常に少ない労力で大きな強化ができる 例えば、
・軽装備に身を固めると、ある程度の防御力を得ながら、高い回避率で攻撃を殆ど受けないようにできる さらに先制を受けないため死亡率が低く、先制しやすいためバトルが早く終わるようになる さらに敵からの逃走もしやすくなるためダンジョン攻略でも有利である
・殆どの敵に耐性の無い即死魔法(主にミニマムとトード)を集中して鍛えることで、殆どの敵を一撃で葬ることができ、ダンジョン攻略がスムーズに進む
・MPリソースを実質無限にするアスピルを少し鍛えるだけで、MP切れが無くなり、魔法を心配せずに使うことができて、ダンジョンを撤退する必要も無くなる
・ブラッドソードは割合ダメージを与えるため、防御力や最大HPの高い敵に対して圧倒的な威力を誇り、終盤の切り札になれる
・バーサクはややバランス崩壊魔法であり、鍛えておくと皇帝戦が非常に楽になる
などのメリットが多くあり、システムを知って利用すると難易度が格段に下がる
しかし、逃げられない敵、即死魔法が効かない敵、アンデッド(ブラッドソード×)などにより、極度に緊張感を削ぐことは避けられている
ストーリーに重みのある構成につき、バトルに過度の比重を置くのを避けたい向きもあったのかもしれない

以下はプレイの回想
※ネタバレあり※

〈序盤〉
貧弱なパーティではどうしようもない ミンウという強力な助っ人を得てランドタートル、サージェントといった絶望的に強い敵に対しても何とか対抗できるようになる
ミンウが去り、ヨーゼフが加入 長丁場となる雪原の洞窟 アンデッドの群れにMPを消費させられ、ボスのアダマンタイマイも強い 何とか乗り切るとヨーゼフが離脱する
ゴードンを迎えカシュオーンへ 彼は最初弱いが鍛えると強くなる 後のFF4吟遊詩人ギルバートをイメージしたキャラクターかと思う 彼を鍛えながら強敵レッドソウルを倒す
序盤最後の試練である大戦艦爆破では、恐ろしい強さを持つキャプテンを避けつつ、開けてはいけないヒルギガース入りのアイスシールドを諦めて、見事ミッションを達成することになる ここで偽物の王女を救出させて主人公を騙すあたりに皇帝の狡猾さを感じるし、ストーリー構成の上手さも伺えた
ifルートとして、フィンのキャプテンで強化して大戦艦を通行証無しで入り、アイテム欄を軽くして、キャプテンやヒルギガースも難なく倒していくこともできるようだ この辺りに後のサガ系統に繋がる自由度の高さも感じられる

〈中盤〉
船を入手し、強敵が集うディストの洞窟を目指す 装備強化のため、ミシディアやミシディアの洞窟、南の島に行くこともできる 本作の竜騎士は物語上で重要な役割を持ち、その所縁のある地としてディストがあるが、中盤から登場して終盤に至るまで印象が強い
南の島では大地のドラムという対プリンにぶっ飛んだ性能を持つ消費アイテムが登場する 私はこれは初心者又は怠け者を救済するために意図的に性能を上げて登場させたお助けアイテムなのではないかと思った これがあればこの時点での殆どの敵(厄介なプリン、面倒なアンデッド、HPの高い敵など)と有利に戦うことができるようになる 価格が6000ぎると高いが、壊れる確率は5%と低く、2つ持っていれば無くなって困るという事態にはまず陥らない 熟練度を上げられないのが残念だが、どうせいなくなる4人目(この時点ではレイラ)に使わせる分には問題が無いし、レイラを鍛えるよりドラム係にする方が楽である もちろんレイラを鍛えてもいいので、そこはプレイヤー次第ということだろう
ディストの洞窟をクリアして王女救出のため闘技場へ ここでのイベントは手が込んでおり、初登場となるベヒーモスにはボスバトルの曲まで当てられる念の入れよう 皇帝が真のボスであるという印象をプレイヤーに与える
中盤はどこまでだろうか、それはおそらくミシディアの塔ではないか その前座であるミシディアの洞窟、ここが私は最も辛かった この時点では戦闘は単調になりつつあり、フリオニールとガイは打撃(レイラも)、そしてマリアは鍛え始めた魔法を使っていくというスタイルで、長いダンジョンで同じ繰り返しの入力を続けるのは精神的に鍛錬になった
これを終えてクリスタルロッドを手に入れるといよいよ塔に乗り込むわけだが、メンバーチェンジと装備強化を兼ねたリバイアサンが待っていた ところで、これは後の作品で召喚獣になるリバイアサンの初登場になるわけだが、あのリバイアサンのイメージが全くといっていいほど存在しない(ビジュアルとして) ハード制約上仕方なかったのだろうが、津波→腹の中→脱出のいずれにおいてもあの魅力的な爬虫類感と海蛇感が見られないのは残念だ これらのシチュエーションからそのビジュアルを想像し楽しんでくれと、プレイヤーの想像力に委ねられたイベントである
新たに加わるリチャードは武器特化型といっていい ミシディアの塔はこれでもかと長いダンジョン 変化の即死魔法を鍛えておくととても楽になる ミンウ、なぜあなたが死なねばならないのですか…そして得られたアルテマは鍛えても弱い残念性能とは…無念

〈終盤〉
終盤になって敵が急に弱くなり落胆させられるRPGもある中、本作は終盤のダンジョンごとに徐々に敵が強くなるというきちんとした調整がされている ただ、反則級の装備や魔法が増えてきてその強くなった敵すらも温くなってしまう感も無いではない
一方で盛り上がるのがこういった反則級の装備や魔法を手に入れるためのプレイである 竜巻ではそれはアスピルの本を落とすウィザードだろう 中々出現しない上にアスピルの本を落とすかどうかもランダムであり、多くの試行を必要とするが、手に入るアスピルは魔法が強力な本作において欠かせない魔法であり、実質無限の戦闘継続力を得ることができるため粘る価値はある ただ、武器と魔法を両立するのが困難な本作では魔法使いの分だけでもいいのかもしれない(計2~3冊くらいか)
パラメキア城ではジェネラルが最強の斧であるルーンアクスを落とすので粘ることになる ただし、この斧は最強の武器であるマサムネとエクスカリバーに対してどうしても見劣りするので最後にはちょっと残念な感じになるが、それまでは一線級の武器である
ラスダンには最強の武器マサムネがあるほか、リボンも有用な防具である リボンはラミアクイーン、デスライダーがよく落とすので意図しなくても入手でき、自然に最強装備を入手してラスボス戦に望めるように調整されている
ラスボス戦では反則級の戦法として、アスピルによる全行動抑制、ブラッドソードによる大ダメージ圧勝があると思う それらを避けてもバーサクがあれば1000以上のダメージを与えることが容易で、あっという間に勝つことができる 隕石による豪華な効果、死に際のリッチなエフェクトを楽しむのが一番の醍醐味かもしれない

エンディングではレオンハルトのことが気になる描写をされて終わる これは前作には無かった味方の中に存在する闇という要素であり、ただ明るさ一辺倒ではなく物語性を高めるために暗さを持ち込む手法である 一方で犠牲になった面々が一瞬だが登場してプレイヤーの心情を和らげる効果を演出している こういった悲喜こもごもな終わり方というのもドラマティックな物語には欠かせない
レオンハルトの存在は、4のカインやゴルベーザであり、5のギルガメッシュであり、6のシャドウであり、7のセフィロスであり、8の魔女であり、9のクジャであり、10のジェクトであり、12のガブラスであり、13のファングとヴァニラである 引っ掛かる終わり方がある方がプレイヤーの共感を得ることができるからだ
また、犠牲になった面々の登場は、4では最後の戦いに現れる仲間たちの幻影であり、5では暁の四戦士であり、6では幻獣としてのティナやマディンであり、7ではエアリスであり、8ではレインであり、9では黒魔道士たちであり、10では召喚獣であり、12ではバルフレアとフランであり、13ではセラとドッジなのである 彼らは逆転、失望からの復活、強い意思といった概念、つまり一種のカタルシスを象徴している

まとめると、今作は、革新的なシステム、シリーズの特徴であるドラマ性の原点、ビジュアルとサウンド面でのコンピュータゲーム体験の向上という挑戦を行ったRPG作品である

プレイ時期:2022.11/16~12/23

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