2022年8月3日(水)映画『車線変更-キューポラを見上げて-』プロデューサー國枝秀美さんに伺う地方創生の映画作りとは?GR大学🏫ゲスト深堀り共和国🌹グローバル共和国 41
ゲスト:國枝秀美さん、モデレーター:加藤まみさん、サブモデレーター:Yoshie Sakagamiさん、議事録:沼尻淑子 MAX114/57人
【広告業界から映画業界へ】
広告業界から40代で女性映画プロデューサーになり映画人生がスタート。岡山の孤児院の石井十次さんを描いた映画で、松平健さん、永作博美さん出演の『石井のおとうさんありがとう』の衣装担当をした。撮影現場は歴史に名を残す美術監督や編集チームで、70歳の女性監督が演出、プロデューサーをする現場だった。“自分は幸運を持っている、幸せだった“と今となって恵まれた環境だったと知る。広告畑で働いてきて、映画を作ることは夢にも思わなかった。厳しい日本の映画事情を知った。広告CM現場は数千円するお弁当だが、映画は数百円のお弁当で製作費が厳しい。できる限りお金をかけない。職人気質の人たちが映画を作る。テレビCMは自分の名前が出ないが映画ではエンドロールで個人名が出てくるのが大事だと知った。1作目は個人名ではなく会社の名前を入れた。映倫の許可を得ないで作った作品や、友人や知人のお手伝いで入った作品は検索しても出てこない。プロデューサーは資金集め、お金を作ることが主な仕事。大手の東映、東宝、角川、松竹などは資金集めに苦労しないと聞く。例えば、大手は大きな代理店、テレビ局、企業、で1億円ずつ出して5億円で作りましょうという流れ。一方小さな団体は善意の個人、団体、など資金の集合で映画制作をしてきた。出演環境は良くないのに、「出演者の方々は作品に出たい」と言ってくださる。テレビドラマと違って、映画は歴史に残る。地方地方のその時の風景、人などが残る。その素晴らしさに焦点を当てて作る、というのがモチベーションになっている。
【映画製作とライフワーク】
日本の知的障害者施設、滝乃川学園に尽力した石井筆子さんを描いた『筆子・その愛 天使のピアノ』のプロデューサーをしたことが今の自分のライフワークにも関係している。15年前に作った作品で、障害者のお嬢さんがいる監督で、本当の障害者を出演させた。ダウン症、自閉症、知的障害者についてスタッフは皆知らなかったのでクランクイン出来るのだろうか?とスタッフが不安だった。主演の常盤貴子さん、市川笑也さん、障害者の方々をお呼びして交流会を開いた。ダウン症の特性、視野が狭い、ものを握る時は軍手をはめたような感覚、などを保護者の方から教えてもらった。その数時間の交流が映画製作の自信になった。「日本は遅れている。欧米ではカンヌでダウン症で俳優賞を取った男優もいる」と教えてもらった。障害者は自分には関係ないと思っていた。障害=恥だという環境で育った。保護者の方に色々教えてもらった。撮影後にロスに飛んで俳優事務所で障害者の方々のレッスン風景などを見た。日本に戻り、障害者の方々の舞台オーディションをした。知的障害のあるお子さんたちを舞台に出そうという親御さんたちが沢山いることに気付いた。見てもらうことで世の中を変える。今も歌とダンスと演技のレッスンをやっている。障害者の方々の子の価値を広告業界は知らないとならない、と思い、企業に交渉。大きな所のブランドは会って話を聞いてくれたが「そういうことはそちらでやってください」と言われた。世の中では健常者と障害者の線が引かれている、ということを知った。一般社会の多くの方は見ない、聞かない。以前は障害者のことを知るまではダウン症の子どもの顔が同じに見えていたが、今は個性に焦点を当ててみることが出来るようになった。業界のキャスティング、大きな所に広告を打ったら、映画やテレビ業界からお声がけ頂いた。堀北真希さん主演の『生まれる』のテレビドラマに障害者の子たちも出演させてもらえるようになった。今までは、障害者の子たちがテレビに出ることは24時間テレビなどの特別枠に出演するぐらいだった。
【『車線変更-キューポラを見上げて-』について】
地方に伺うと皆さん喜んでもらえる。小さな町や村になるほど、映画の方々が来たと喜んでもらえる。長野の阿智村で撮影の時は古民家を借りてやったご近所さんにきゅうりやトマトを頂いたりした。映画製作は一体感、地域の方々との歴史作り。自分が住んでいる場所で何でこれをやらないんだろうか?と思った。歴史、産業を映像に残していきたいなと思い実現までに数年かかった。川口は鋳物の町で素晴らしい産業の一つ、残そうとしている社長さんたちもいる。また川口はオートレースでは日本で一番賑やかな場所。
【映画を通して伝えたいメッセージとは】
川口で見て、聞いて、体験した内容を盛り込んだ。オートレーサーの花形な男性が怪我をして障害を乗り越えて再生していく、という内容。主演の平田雄也さんは『ウルトラマンR/B』(ウルトラマンルーブ)の主演をした方。村上弘明さん、岡江久美子さんが両親役。コロナ禍を経て、やっと上演に。KFC研究会(ビジネス交流会)で「この作品を寝かしてはいけない」という声が周りから沢山起こった。ひとりじゃないと知り、春に桜を撮って、秋に公開へ。舞台挨拶付きで完成披露試写会を11月に準備している。来年、全国公開をする。人の力はすごいということを実感している。北海道から沖縄まで、うちの町で上映会をしたいとお声がけ頂きたい。“人は生きていく上で壁に当たる。それでも道は一つではなく選択出来る“ということを伝えていきたい。
【質問タイム】
山口育子さん:東日本大震災の、障害のある人と支援者の物語『星に語りて』を観に公民館に行きました。障害者の方が出られていて学ばさせて頂いた。ぜひ、『車線変更-キューポラを見上げて-』も観たいと思いました。
山口正乃さん:『車線変更-キューポラを見上げて-』のクラウドファンディングのキックオフ会に行った。彩の国のクラブハウスでも試写会を立ち上げたいと思っています。
幸田照代さん:川口在住。全国、世界に広める映画を制作されていて感動しました。小さな所から応援出来ることを知って、母の名前で支援させて頂きました。エンドロールにも名前を載せて頂きました。
Junさん:住宅、設備関係、川口素晴らしい町だと思っています。自分も障害があって、今回のお話は自分ごとのように感じました。素晴らしいお話でした。
国枝玲子さん:福祉関係に音楽講師として回っている。障害者の方々、すごくリズム感が良かったり、現場で素晴らしさを感じています。ご活躍楽しみにしています。
がおかおさん:鳥取大学で、ダウン症の子たちとダンスを踊るイベントをしていた。上映会の条件があれば。
國枝秀美さん:少しでも多くの方に観て頂きたいので、上映会に関しては個人的にメールを下さい。
【最後に一言】
短時間ですが、とても濃い時間を過ごせました。今後一生のお付き合いになる気がしました。ホームページからコンタクト取れますので是非メッセージ下さい。
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