2024年1月31日(水)GRアワー🌏人材育成/組織開発の室伏順子氏が日本に導入し自ら活用する『ソーシャルスタイル』とは? 112

ゲスト:室伏順子さん、モデレーター:加藤まみさん、サブモデレーター:Yoshie Sakagamiさん、小林妙高さん、議事録:沼尻淑子

【生い立ちからソーシャルスタイルに出会うまで】
母方の祖母が徳川清水家のお姫様だった。平民に恋をして駆け落ちをした。葵のご紋のついたお道具を持っての駆け落ちで、お付きのものは切腹したと聞いている。祖母は110歳まで長生きした。認知が危うくなってくると、お屋敷にあった妖刀を思い出すのか「刀が人を斬りたくなる、危ないから上田のお殿様に預けて」などと言うこともあった。人は先代の記憶を持っているようだ。母たちは晩年、城攻めなどの夢を見て苦しんだ。幼稚園から高校まで女子のミッションスクールで育った私は、大学進学を決める頃にこのままだと世の中に役立たない人間になると思い、文化が違い男性の多い早稲田大学の法学部を選んだ。心のどこかで世の中の役立たなければと考えていた。法学部の授業に、法哲学はなく法解釈学ばかりで虚しくなった。3年生で心理学を学び始め、河合隼雄先生率いる山王教育研究所に入った。そこでは当時多かった心身症を、ユング的な方法でケアしていた。法律のアルバイトをしながら心理学を勉強した。ある時、世界最大の「人と組織のコンサルティング」会社、ウィルソンラーニングの子会社が新聞広告で研究開発職を募集していた。300人の面接者中、一人、合格した。そこで、当時最先端の提案型営業やソーシャルスタイルを日本に導入し、ビデオ撮影やマニュアル作成、インストラクター養成などを行った。人を4つに分類するソーシャルスタイルを初めて見たとき、こんな簡単な理論で会社がよくなるはずない!と思ったが、10年以上取り組んできてこの理論の素晴らしさに気づいた。

【ソーシャルスタイルについて】
個性心理學は生まれた月で決まるが、ソーシャルスタイルは後天的に形成されるもの。子どもは生まれてからずっと、どのようにコミュニケーションをしたら良い結果がもたらされるか実験を続けている。そして社会に出る20~25歳頃に一つのスタイルを無意識に選び取りそれが定着する。そのスタイルごとに、仕事の仕方も違うし、意思決定の仕方も違う。なので、これを知っていると大変仕事がしやすくなる。一方で、企業内で、35分など短時間で1日10名以上もコーチングする場合、秘書が作ってくれた動物占いの資料を参考に質問することもある。
IBMやTOYOTAなど社員教育を重視する会社が、いちはやくソーシャルスタイルを取り入れた。ソーシャルスタイルはシンプルで人に優しく、使えば誰でも結果が出せる理論。4つのスタイルは、どれがいい悪いではなく、すべてのスタイルが異なる形で組織に貢献する。

ソーシャルスタイルは、心理学ではなく行動科学。「言動」だけを観察し、それを「思考表現度」「感情表現度」という二軸で分析する。思考表現度が高い方は、5、6人の会議中、「意見を発言して下さい」と言われた時、率先して口を開く方。声は大きめ、ペースも早め、語尾まではっきり言う。一方、思考表現度が低い方は間を取ってから声をあげる方。ゆっくりめに話し声も張らない。語尾もソフトだ。会議では誰もが遠慮なく発言するのがいいと思われがちだが、それは「対応力」という別の問題。ソーシャルスタイルはどれも素晴らしい。
さて、感情表現度というもう一つの物差しは、感情が変化したときに、表情やジェスチャーに出たり、声の抑揚に出るかどうか。出る方は高い、出ない方は低いと判断する。これは感情がないのではなく、あくまで外に出るかどうかで決まる。

【4つのソーシャルスタイル】
4つのスタイルを戦国武将に当てはめてみる。
単刀直入のドライバーは織田信長。思考表現度が高くて、感情表現度が低い。ノリが命のエクスプレッシブは豊臣秀吉。思考表現度、感情表現度が共に高い。和み重視のエミアブルは徳川家康。思考表現度が低くて感情表現度が高い。冷静沈着のアナリティカルは明智光秀。思考表現度、感情表現度共に低い。明智光秀はたいへんな戦略家で、実は生き延び、徳川家康に仕えて風水で江戸を守った天海となったのではないかという説もある。それぞれ成功の仕方が違う。1時間のミーティングでタイプがわかるのは10人中3人くらい。それ以外は質問をしてどのタイプか、自分から当てに行く。大企業の社長さんはその場に応じて使い分ける対応力がある。最終的には目の使い方や使う筋肉の大きさで見ていく。スタイルは古代脳、対応力は大脳新皮質に関係している。スタイルにより意思決定方法やリスクの捉え方が異なるので、相手のスタイルが分かればプレゼンテーションや交渉の時に有利になる。

【4つのスタイルに向けた対応の仕方】
明智光秀タイプの人には事実情報をしっかり話す、時間をかけてじっくり検討する。原理原則をしっかり守る。用意周到にするとうまくいく。織田信長タイプの人は事実情報で決めるが、時間が大事。そこで結論から言う、ポイントは2つに絞って要点をだけ話す。仕事を任されたらポイントは?と聞くとよい。間をとらず素早く回答する。大部の資料には表紙に1枚要約したものをつける。新人の頃、社長がドライバーだったので15分で話す内容を7分で終えたら褒められた経験がある。
徳川家康タイプは空気を読み、水面下で動いてみんなが仲良くなるように動くタイプなので意見は気持ちよくお伝えする、協調的な話の仕方をする。意思決定を迫ることは緊張してしまう。会議開始時のアイスブレイクで、心理的安全性を高めることをするといい。豊臣秀吉タイプは楽しく仕事をしたい。ロジックよりも、「素敵!楽しそう!それをやったらどんなすごいことになるの?」と聞いていくといい。活気がいいのを好む。間があくのを嫌うので、なんらかの声、音を出していくといい。
色にも好みがある。ドライバーは黒に赤でインパクトをつけるとよい。アナリティカルはブルー系が好き、エミアブルはパステルカラーやアースカラー、エクスプレッシブは原色を好む。コミュニケーション力を磨いていくと開く扉がある。スキルを身につけることで、悩まず、仮説をたてて会話を進めることでいい結果を得てほしい。

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