2024年2月21日(水)GRアワー信仰を深掘り🌏「宗教2世サバイバルガイド」正木伸城さんに伺う、自分の人生を生きる 114
ゲスト:正木伸城さん、モデレーター:加藤まみさん、サブモデレーター:坂上よしえさん、小林妙高さん、議事録:沼尻淑子
【宗教2世として体験してきたこと】
宗教組織No2のロイヤルファミリーの子供として生まれた。宗教を信じる行為は自然な行為。祈る瞬間は誰でもある。例えばサッカーの国際試合で同点になり、PK戦で観客席で祈る場面。宗教の信仰は身近なもの。昔は農耕民族は豊作を祈った。占う立場の人がいて祭りが行われた。もののけ姫の最初のシーンで村の長が石を投げるとバランスが崩れて予言となる場面がある。踊りや仏像を作る、絵を描いてきた。絵を描く、ダンスを踊る、は宗教が起源。祭りを作ることによってアートが作られる。宗教は生活に溶け込んでいるもの。新興宗教のロイヤルファミリーとして生まれて生活してきた。幼い頃から信仰させられてきたが違和感を持つ瞬間もあった。幼少期にマハトマガンジーのドキュメント番組を見て教団の集まりでガンジーのことを語っていたら、教団のおじさんから「ガンジーは大したことない。教団の教祖の方がすごい」と言われた。何を持って、そう言えるのか。そこから疑問を持って自分で勉強するようになった。制約があるので教団の信仰はおかしいと思っていた。教団の中で育ってきたので違和感を自分の中で納得させて“これは世界平和のために役立つんだ“と言い続けてきた。それでも解決出来ない悩みがあった。この教団おかしいんじゃないか、僕の生活にマッチしていない宗教団体だと感じるようになった。俺が変えてやると、教団の宗教法人に入って働いた。バックヤードを見ていくうちに会員さんに見せられない現実を知る中で変えられないと思った。この世界にいたら自分の心が病むと思った。自分の心を守るために教団の職員を退職した。統一協会問題が盛り上がる中で、宗教2世を扱うようになり自分が注目されるようになって本を出した。宗教2世に向けて書いた本だが、宗教あるなしに関わらず人間関係に悩む人にいかに人間関係を修復していくか、対話を成り立たせていくか役立つ本だと思う。アート思考、哲学思考が大事だと言われるが、この本は自分の頭で考えるには何をしたらいいのか参考になると思う。自分の頭で考えることを徹底した先に教団から去る決意をした。
【自分の頭で考えることについて】
久しぶりに会った同級生に対して「お前結婚したの?」と聞く。この会話には沢山の前提が含まれている。まず日本の婚姻制度に従って結婚するという判断、そして30歳なら結婚しているだろうという考え、きっと女性と結婚するだろうという前提。人は前提を持ちながら会話をしている。仮に同性愛者だったら傷つくかもしれない。暗黙の前提としていることを理解することが大事。IT分野にいたので専門用語が多い。専門用語、わかるよね、という前提で話す。一般の人に向けて講演する時に専門用語を使ってしまう人がいる。自分が当たり前だと思って空気のようにしている価値観を見つめ直すことが大事。祈れば願いが叶うよ→ほんと?。世界平和を目指している→世界平和って何?と考えてみる。気づくことが第一歩。前提を疑って批判する。30歳までに結婚しているだろう、を疑ってみる。現代日本の50年間当たり前とされる価値観であって昔は10代、20代前半に結婚していた。自分が前提としてきた言葉を新しい言葉で言い換えられる。愛、平和、幸せとは。危害を加えられない、傷つけられない人生。別の言い方だと、誰からも邪魔されない、介入されない。自分の信念、価値観を大事に生きる。自分の本音に素直になって生きること。前提としてきたことが言い換えによって豊かなバリエーションになる。ふさわしい言い方で相手に言葉を投げかけてあげることが出来る。前提としていることをあぶり出して、批判して吟味して言葉を選別してから投げかけることが出来る。ガチガチに信仰していたけれど、信仰を相対しながら数ある1つとして見られた。これはビジネスでもよくあること。御社の製品の強みは何ですか?と聞かれて会社の強みを知らない人がよくいる。言語化をしてみると気づかなかった強みがあるんじゃないか?IT企業では広報やマーケティングをやった。広報は新しい新製品にはこういう素晴らしい価値があってストーリーがあって、と伝えられる。サバイバル術を書いているけれど、信仰を手放した後のサバイバル術としても参考になる本。どんなに苦しくても、幻想でも希望を抱いて生きる。苦しさが人生の糧になる、可能性を広げることに役立てる。13年間うつ病を経験して隔離病棟にも入り、鉄格子に入れられていた。窓から見える景色は病院の中庭しか見えなかった。本部職員を辞めることは団体からは信仰を捨てて裏切ったと思われてしまう。妻もいる、子どもも2人いた。どうやって食べて生きていけばいいか。家族にも迷惑、負担をかけた。父もものすごく反対して父親を説得するのにも1年かかったが家族から理解も得られた。将来はJAXAに行こうと思って宇宙工学を勉強していた。友達はJAXAに行ったが、本部から教団に入るように説得され自分が入ることで教団を良くして社会に貢献していくことが出来ると思った。でも私1人がどう頑張っても巨大組織を変えられない。父がかえられなかったので偉い立場になったとしても無理だと思った。出版社からうつ病体験記の出版企画も出ている。
【リスナーからの感想】
でぐさん:体験されたお役目、体験したことは響く、沢山の人に広がる。お役目があると感じました。
坂上よしえさん:貴重な体験が書かれたご本「情けは人のためならず」なども響き感動した本でした。母が10年間うつだった、当事者が書かれる本を期待しています。
沼尻淑子:政治と宗教について。友達が宗教2世で選挙の時期になると電話がかかってきたり、投票のお願いの訪問が度々あってあまりにもしつこくて心が病んでしまった。政治と宗教についてお聞きしたい。
正木伸城さん:どうしても自分たちがやっていることが正しい、正義だと思うと、相手が迷惑だと思うなど思いやりが出来なくなってしまう。自分たちのやっていることにあぐらをかいてしまう。教団自体も信頼をなくしてしまう現実がある。選挙は教団にとって信仰を試す場、投票に行ってもらう=信仰の願いが叶った、信仰が正しいとなる。信仰から抜け出せなくなる。いかに客観的に切り離せるかが大事。
さぶろうさん:救い、助けになると知っていても発信できる人なかなかいない。お役目だと思う。政治や宗教、学生時代に友達がある宗教の青年部に入っていた人がいて、政治と宗教の話はタブーという所があった、何となくやり過ごしてきた所があった。宗教に限らず、政治の話ももっとフランクに話せる社会になった方がいいのでは?と今は思う。いろんな考え方の人がいる、僕はこう思うと言えたらいいと思う。
【最後に一言】
正しいことをしていることが逆に人を傷つけてしまう。正義という概念をどう使うかは人類の課題だった。
正義のためにみんな戦争をする。正義という概念をどう使うかを書いている『フェアネスを乗りこなす』という本がある。人は何が善かでは一致出来ない。何が悪か、何が避けるべきかで人は団結できる。“子どもを戦争に行かせる“はどこの国でも悪となる。正義をうまく使うには何を避けるべき悪とするか、対話をどう成り立たせるか。僕らの生きている社会ではわずかずつ我慢や負担を負いながら、皆、自重しながら生活している。社会をうまく回す責任が一人一人にある。社会を壊す行為は避けるべき悪。例えば市場は買い物客、眺める人、人に会いに来る、売る人、スリ、いろんな利害を持つ人の集まりとして成立している。社会を壊すことだけはやめよう、これだけはやっちゃダメだよねということがある。Twitterの場面で喧嘩をしていて、相手を黙らせる論破も見かける。その時点でうまく回っている社会を壊しちゃっている。それを認識することが正しさを乗り越えるヒント、と本に書かれている。そういう考えを持つと信仰している人との付き合い。人間関係の付き合いでも役立つと思う。『仏教思想入門』という本が今年の夏に出版予定です。
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