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ムティったらカラーフィルムを忘れてなかったのね。

注: 本記事は、筆者が以前に運営していたブログからの転載です。転載時に改変をしています。ブログを閉じたので、Noteに転載しました。ネットアーカイブを調べると同じ記事が出ると思いますが、筆者は同一です。
なお、元記事は2021年12月7日に投稿しました。


きょうはドイツの話。個人的に驚いたことがあったので書き残しておく。

ムティとはアンゲラ・メルケル首相の愛称。

「あなたったら、カラーフィルムを忘れたのね」(意訳)とは、東ドイツの70年代の流行曲。ドイツ語のタイトルはDu hast den Farbfilm vergessen.

ベルリンで2日にGroßer Zapfenstreichという式典があった。これは要するに「観兵式」と理解して良い。ものものしい言葉だが、ドイツでは普通に実施されている行事。 Großer Zapfenstreichはドイツ首相が退任するときの恒例行事となっている。

ぼくは暇つぶしに仕事のBGMとしてZDF(ドイツ最大の報道局)のGroßer Zapfenstreichライブを見ていた。すると、知ってるメロディーが聞こえてきた。


「あれ。。。この曲は、どこかで聴いたことある。なんだったっけかな?」と記憶を巡らせる。ZDFアナウンサーがNina Hagenと言ったのを耳にしてやっと思い出した。そうだ、この曲はNina HagenのDu hast den Farbfilm vergessenだ!

たぶん、この驚きを伝えるのは難しいだろう。感覚的にはイギリスの軍楽隊が公式の式典でイギー・ポップを演奏する、というと近いだろう。 [1]
または日本で言うならば、自衛隊の音楽隊が公式行事でブルーハーツを演奏する・・・みたいなイメージ。

[1] イギー・ポップって知ってる人いるのかなぁ。。


Nina Hagenは東ドイツ出身で、パンク歌手と分類されている。Du hast den Farbfilm vergessenは70年代のNinaの代表曲、というか、東ドイツ発の世界的流行曲。

東ドイツ地域ではいまだにDu hast den Farbfilm vergessenの歌詞を言える人が多いのだとか。

ぼくたち外国人は、ドイツ語の授業で習うことが多い。ぼくは、西ドイツはNenaの99 Luftballonsで東ドイツはNinaのDu hast den Farbfilm vergessenと、東西ドイツと関連づけて授業で習った。どちらも2重の意味がある歌詞とされている [3]

Du hast den Farbfilm vergessenはとにかくメロディと歌詞が強烈に頭に残る。外国人のぼくでさえ、歌詞の半分くらいを未だに覚えている。

歌詞だけではない。Nina Hagenの容姿もまた強烈。たしか、ドイツ語の授業で見たビデオはこれだと思う。

シンディ・ローパーみたいな外観をしてNinaがしゃがれた声で、頭に残るメロディを歌うのだ。忘れられるわけがない。

[2] 日本人でも知ってる人はちらほら居る
[3] ぼくはDu hast den Farbfilm vergessenのダブルミーニングをいまだに理解してない。


Du hast den Farbfilm vergessenとはそういう曲である。

リアルタイムでこの曲に触れていたメルケル首相にとっては、きっと思い出に残る曲なのだろう。

Großer Zapfenstreichで曲を演奏しているビデオがYoutubeにあがっている。この曲が持つ強烈なパワーと背景を知った上で、ぜひ見て欲しい。


ちなみに、日本のメディアではテレビ東京が報道してた。さすがテレビ東だ。報道の中で「退任式」訳を使ってたのは、少し疑問に思うけど。日本人にGroßer ZapfenstreichやMilitary tattooの意味を伝えるのは困難なので、退任式にしたのかもしれない。そう考えると良い訳にも思える。

筆者注。本来、ここでトレ東のニュース報道ビデオをリンクしてましたが、ビデオが削除されていました。

これについてはBBC Japanも同じ訳をしてるので、暗黙の了解でもあるのかもしれない。


で、そもそもGroßer ZapfenstreichでDu hast den Farbfilm vergessenが流れた背景だけど・・・Großer Zapfenstreichでは「退任者」が選曲できるのだそうだ。

一つ知識が増えた。ありがとう、ムティ。そしてお元気で。


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