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寺地はるな著「ビオレタ」を読んで、藤井風の”ガーデン”を思い出した

寺地はるなさんの小説が好きです。

「水を縫う」「ガラスの舟を渡る舟」「大人は泣かないと思っていた」に続いて、今日読み終わったのが、「ビオレタ」でした。
寺地さんの作品は、誰もが感じるであろう、日常のちょっとした違和感や偏見を掬い取って、丁寧な言葉でその気持ちを紡いでくれて、心に寄り添ってくれる優しい作品だと感じています。

「ビオレタ」は、スペイン語で”花”という意味。
主人公の妙がアルバイトしている雑貨屋の名前で、それはオーナーの名前、菫さんからきています。
妙、菫さん、千歳さん(妙の恋人であり、菫さんの元夫)、蓮太郎くん(菫さんと千歳さんの息子)が、主な登場人物。

この小説に、心の象徴として庭の描写が登場します。

蓮太郎くんが、妙に向かってこう言います。

「みんなさ、人になにかしてもらうことばっかり考えてさ。みんな、お父さんの『やさしさ』とやらを掠めとっていくだけじゃないか。そんなのはおかしいよ。妙さんもお母さんもずるいよ。誰もお父さんの庭になってやろうとしないなんて、お前らはずるいよ。」
「ビオレタ」より

この文章を読んだ時、私は藤井風の”ガーデン“を思い出しました。

私は、風さんの音楽を聞いて、風さんの美しい庭で休んで、美しい至福の時間を過ごさせてもらっていると感じている。
いつの間にか、その美しい庭にある草花を少しだけ…と採ってしまってはいないだろうか、もっともっと、と与えてもらうことを当然のように思っているのではないか、ということを考えました。

私だけでなく、風さんのファンの人たちはみんな、風さんに笑っていてほしいと思ってる。精神的にも健やかでいてほしい、風さんを煩わせるものから守ってあげたいと思っている。

私が実際に風さんに出来ることは何もないから、自分の周りの人を大切にしようと改めて思いました。
自分を愛してあげて、周りの人を大切にして、笑顔が連鎖して、そういう風に幸せが広がれば、それが美しい庭となり、風さんが安心して過ごせる庭になるだろうと考えました。
やさしい人になりたい。

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