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犬も食わない喧嘩を食ってみた




寒い季節になると、寒冷刺激がストレスになるようで

色々な事件が勃発する


特に、認知症の方々は環境下での影響を受けやすいので

心理、周辺症状や不穏状態がおこりやすい


今日は、午後から電話が入って

「大変です!AさんがBさんに殴りかかってしまって!」





いやいや


「すんでのところで止めたんですけど」


あ、よかった


「とにかく大変なんで、すぐ来てください!」


‥‥‥


行っても、殴り合いはとめられないよ?非力だし


仲裁して、話を聞けという事らしいので、早速向かう



部屋に向かい

ベットに寝ている奥様を睨みつけて座っているAさんに話を聞く


昼寝から起きると、部屋にいるはずの奥様がいない

探していると、奥様と友人女性がBさんの部屋に入っており

ベッドに座って話をしていたとのこと


「あいつが女房を部屋に連れ込んだんや!」

Aさんは杖を振り回し、殴りかかろうとしたところ

職員に制止されたらしい



うーん

まあ、そりゃ

腹たつよね、きっと


「あんたやったらどう思う?なんかあったら、どうするんや!」


なんか、なんかね、うん

そうなんだけど


Bさんはかなり重度の認知症で、Aさんの妻も同様

一緒にいた女性も同じくらいで

いずれも、要介護3、要介護5の車椅子、もう1人は要介護3の

歩行器である

そしてAさん含め全員が90オーバー、四捨五入したら100で

この元気さに、驚きの方が勝る


睨まれている妻が、ベッドで横になったまま怒り出す

「この人は、いっつもそうや!腹が立つ!」

いつも?

「叩いたろか!ほんまに!もう、里へ帰るわ!」

「私かて、みてくれる人はおるんや、里には親もおる!」

around100の娘の親が‥‥いたら、ちょっと怖い


「言うたってくれ、男の部屋に入ったらアカンのや!」

「何をしょうもないこと言いよるんや!アホか!」

もう止まらないので、黙って怒鳴り合いを聞いていた



妻には、他の人の部屋に入ってはいけませんと説明し

Aさんには、みんな認知症で悪気はないのだから許して欲しい

部屋に入れないようにBさんにも、Bさんの息子さんにも

きちんとお願いしておくからと伝えて説得する



そんなこんなで1時間以上かかってしまった



事務所に戻り、ケアマネ仲間に話すと3人が3人とも

「良いなあ、そんな風にやきもち焼かれて〜」と口にする


Aさんの妻、可愛いもんね、いやいやAさん若いよね〜等々

羨ましいと言う結論に達した



夕食時には、何事もなくみんな夕食を取れたと報告を受けた


犬も食わない喧嘩を食ってみたら

羨ましいと言う味がしたと言う話である

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