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ずっと目を閉じていい?

変わらない天井。変わらない壁。変わらない私とこの身体。変わらないこの身体への嫌悪感を。時間が止まっている。時計の針が動いても、時間は止まっている。時間はもう存在しない。私がこのベッドで占める空間を意識するようにしている。意識しすぎるかもしれない。その空間が広すぎて嫌になる。嫌になって吐き気がする。深呼吸をして。
目を閉じたまま、起きているようにしている。「何が起こっても、目を覚まさないで。」
何が起こっても、目を覚ますな。

まず、自分の身体に触る。ずっと目を閉じたまま。身体が触られた最後回は何ヶ月だったと思う。本当は、その時も目を閉じてしまった。だけど、その手は溺愛の彼女のだった。愛した彼女。その身体は私のじゃなかったみたいだった。その感じた感覚を覚えられない。多分、これでよかったかもしれないね。記憶だけでも、気持ち悪い。
やがて、痛みも記憶もなくなっている途中んだろうね。
自分の手で胸に触っているところ。やめたい、やめたいよ!やめさせて!骨をあまり感じられないから、嫌い!誰がやらさせているの?やめさせないなら。。。
「どうするつもりなの?」
「知らない。」
知らない訳じゃないよ。言いたくないだけ。

もう一度、指先は固い鎖骨から肌を接している、必然的にやりこい乳房に触ってしまう。その感覚はどうかなと思う。何も感じないからよくわからない。説明もできない。自分の乳房はずっと嫌いだった。大きすぎるし、重すぎるし、空間を占めすぎるから。服を着ているときの姿が嫌いけど、それよりも裸でいる姿は大嫌い。鏡を通り過ぎるたびに、他人が私をどのように見るかを確認するために自分の外見をチェックする必要があると感じる。最低のは、鏡で自分の見た目を見るのが憎しい。それでも、やめられない。一生懸命頑張っても、やめられない気がする。鏡で自分を見れば見るほど、もっと嫌になるだろう。
いや、自分の視覚を考えたくない。他人の目から見られたこの身体のイメージが頭に浮かんで手に負えないほど振り出させる。シーツの音、ぐちゃぐちゃになった私は怒鳴る。直後に、完全な沈黙に沈む。部屋は息をのむような沈黙で満たされそう。たまらない沈黙。たまらない息の音。「ちょっとだけ、音楽を聞かせてくれて。私の頭と一人に残さないで。」と訴えるけど、誰に話しているか知らず。言うまでもなく、誰もが答えない。私しか聞いていない。

指先を胸郭に向かって流れると、息が詰まる気がする。
気づかずに、泣き出す。涙はけがの上に流されるレモンの滴みたいに燃えている。鋭く切り、深く刺す重い涙。私はただこの場所から消えたい。この地球に生きるのは辛い。空間を占めるということが耐えられない。なぜそう思って成長したか分からない。
私を苛んでいる知らない誰かへ、お願いが一つだけあるけど。自分の身体を忘れさせて。

あらっ、朝が来たかな。まあ、構わないさ。ずっと目を閉じていい?

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